旭酒造では10月1日より、新丸の内ビルディング7階に期間限定のコンセプトバー「獺祭バー」をオープンする。獺祭の代表作「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」など、各種獺祭が楽しめる趣向だ。都内ではオープンに先立ち、メディア内覧会が開催された。
獺祭バーは、人が出会う場所に
まずは獺祭バーがオープンするまでの経緯について説明したい。プロジェクトが立ち上がったのは昨秋だった。当初は東京オリンピックで来日する海外の人たちに向けた、東京のナイトシーンを楽しめる場を企画していた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大によりオープンは一旦、延期に。再びプロジェクトが動き出したのは「元気な東京の夜を取り戻したい」「飲食店さんに恩返ししたい」という想いがあったから、と旭酒造では説明する。
はじめに、旭酒造 会長の桜井博志氏が登壇して挨拶した。桜井氏は「もともと、外国人に獺祭を紹介するスペースとして建築家の川添先生にバーの設計をお願いしました。コロナによりオリンピックは1年、伸びてしまいましたが、それでも私たちの生活は続いていきます。人間は楽しみがないと生きていけない、ということで、この獺祭バーを皆さんのコミュニケーションの場として使ってもらえたら、と思っています」と話した。
また、建築家の川添善行氏は「獺祭とは何か、をデザインに盛り込みました。お酒を通じて人と人が出会い、話をして、絆が生まれる。目指したテーマは、そこにあります。これを実現するため、光を放つグラスを使いました。獺祭を持った人の手元が光り、それが集まることで店内に光が満ちていく。そんなバーになっています」と説明。
続いて、新丸の内ビルディングのフロアを統括する玉田泉氏は「7階は飲食フロアでありながら、様々な情報を発信する場にもなっています。そこには街づくりに貢献し、丸の内の未来をつくっていきたい、という三菱地所の想いが込められています。再開発が進む丸の内において、人と人がつながるリアルな場所となることを期待しています」。
最後に、旭酒造 社長の桜井一宏氏は「獺祭バーは、マーケティングとしては効果が分かりにくい面があります。また『この時期に飲食店を始めるの?』と仰る人もいました。でも今、これをやらないといけないと思うんです。なかなか人と人が会いづらいご時世ですが、会えるのなら、より特別な環境が欲しい。そこで獺祭バーを、人が出会う最初の場所として利用してもらえたら嬉しい。また、飲んだら同じフロアの別の飲食店さんに行ってもらうことで、普段からお世話になっている飲食店さんへのご恩返しにもつながります。もちろん純粋に、日本酒を楽しむ場としても提供していけたら」と説明した。
獺祭バーは1年半の期間限定オープンとなる。獺祭のほかに、つまみも何種類か提供される予定。また、フロアは飲食の持ち歩きが可能となっており、天気の良い日はテラスで飲むのも良い。営業時間は17時から24時まで、定休日はなし。毎週末に旭酒造の社員や蔵人も参加し、ここでしか楽しめない酒類を提供したり、あるいはイベントを実施することも考えている。関係者は「丸の内の周辺エリアで働く人が、ぶらっと気軽に立ち寄れるような、そんな空間を目指していきます」と話していた。