初めて一人暮らしをする方や、「いつかは一人暮らしを」と考えている方にとって、生活費がどのくらいかかるかは気になるポイントでしょう。毎月の生活費がわかると、自分の収入で無理なく一人暮らしができるのかどうかもわかります。

本稿では、一人暮らしを始めるときにかかるお金や生活費について、相場や節約方法を紹介します。

一人暮らしの生活費の平均は約18万円

一人暮らしの方の生活費の平均は18万1,784円で、具体的な内訳は下記のとおりとなっています。

■1世帯あたりの1カ月間の収入と支出(単身世帯のうち勤労者世帯)

項目 毎月の平均額
住居費 2万7,437円
食費 4万4,348円
水道・光熱費 9,972円
通信費 7,825円
衣類・履物 7,233円
家具・家事用品 4,731円
自動車関連費用 1万1,897円
交通費 8,184円
教養・娯楽費 1万9,727円
医療費 6,647円
その他(交際費、たばこ、美容院など) 3万3,783円

※総務省「家計調査報告(家計収支編)」2019年

上記を見て、「住居費が安い」と感じた方もいるでしょう。これは、あくまでも平均値なので、実家住まいや家を持っていて家賃がかからない方なども含まれているために、金額が低く出ています。

総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、家賃の平均額は5万5,695円です。家賃は、地域差や選ぶ家によって大きく異なりますが、都心を避ければ、5万~6万円程度でも平均的な一人暮らし用の住まいを借りることができるでしょう。

また、項目の中にある「自動車関連費用」は、自動車を持っていなければ必要のない費用であり、たばこなどの嗜好品に、どのくらいお金をかけるかによっても個人差が大きいでしょう。

賃貸物件の初期費用と、節約するためのポイント

新たに一人暮らしを始める際には、ほとんどの場合、賃貸物件を探すことになります。初期費用として敷金や礼金など、まとまったお金が必要になるため、事前にどのくらいの費用がかかるのかを知っておきましょう。

賃貸契約にかかる初期費用の目安

賃貸契約にかかる初期費用は物件や仲介会社によって異なりますが、およそ家賃の4~5カ月分程度といわれています。内訳は下記のとおりです。

・敷金 : 1カ月
・礼金 : 1カ月
・仲介手数料 : 1カ月
・前家賃 : 1カ月
・その他(鍵の交換代、火災保険料、保証会社使用料等) : 1カ月

仮に家賃が6万円程度の物件を探す場合の初期費用は30万円程度と考えておきましょう。

敷金・礼金とは?

敷金とは、オーナーに対して、家賃の滞納分や部屋の修理代の担保として、先に預けておくお金のことです。家賃の滞納がなく、キズやにおいなどの損傷が借り主に責任のないものであれば、退去時に返還されます。

ただし、これまでの民法では明確な規定がなく、通常生活する上で起こる部屋の破損・設置後の跡などの修理にも敷金は充てられ、オーナーとのあいだでトラブルになることがしばしばありました。2020年4月の民法改正によって、家賃の滞納やペットやたばこのにおいなど、借り主の責任で起こる損傷を差し引いて、敷金は原則として返ってきます。

一方の礼金とは、大家さんに「部屋を貸してくれてありがとう」というお礼の意味で払うものです。お礼でお渡ししているため、返還はされません。

賃貸契約にかかる初期費用を安く抑える方法

東京など都心エリアは人気のため、敷金・礼金は1カ月分ずつかかることが多いのが現状です。しかし、千葉県など都心に近いエリアでは、敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」という条件が増えてきています。

ゼロゼロ物件は初期費用が抑えられるためお得に見えますが、敷金の代わりに原状回復代としてクリーニング代を請求される場合があります。

民法改正により、敷金は基本的には返還することになったため、お部屋の原状回復代を敷金ではなく、クリーニング代として別で請求しようという動きがあります。初期費用が抑えられるのはうれしい反面、どんな費用が請求されるのかは事前に確認しておきましょう

  • 「ゼロゼロ物件」を見る際には、初期費用だけでなく「退去費用」も視野に入れましょう

また、ゼロゼロ物件はまだ少ないため、お部屋の選択肢が減ってしまいます。初期費用がかからない代わりに、家賃が少し高めの設定になっている場合もありますので注意しましょう。

関西では敷金ではなく、保証金などという名目で名称が異なる場合があります。どういった項目なのかは必ず確認することをおすすめします。

そのほか、仲介手数料がかからない不動産会社を通して契約をすることで、初期費用を抑えることができます。また、契約後、一定期間家賃が無料になる「フリーレント」というシステムのある物件を選べば、前家賃も必要ありません。

ただし、初期費用を抑えることだけに注目していると、住みづらい物件や、交通の便が良くない物件などを契約してしまう可能性もあります。再度引越しとなると、二重に初期費用や引越し費用がかかりますから、長く住めるかどうかについても検討しましょう。

無理なく払える家賃は収入の3分の1程度が目安

無理なく支払える家賃の目安は、おおよそ手取り収入の3分の1程度までといわれています。

ただし、これはあくまでも目安です。家賃を低く抑えることができれば、それだけ余裕のある暮らしを送ることができます。

駅からの距離や居住エリア、築年数、設備など、理想の住まいを追求していくと、どうしても家賃は高くなってしまいます。自分の中の譲れない条件とは何かを考えた上で、現実的に無理のない範囲の住まいを探すことが大切です。