HSPとは?
HSPとは「非常に感受性が強く繊細な人」という趣旨の意味を持っており、HSPの人は周囲の刺激に敏感であったり、他人に対する共感力が強かったりします。HSPの人は外部からの刺激に敏感であるため、生きづらさを感じるケースも少なくないと考えられています。
本稿では、HSPの意味や特性などについて詳しくご紹介します。
HSPの特徴とは?
HSP(Highly Sensitive Person)とは、感受性が強く敏感な人のことを指し、心理学者のエレイン・アーロン氏がうみだした概念です。先天的の気質と言われており、他者の感情や行動を気にしすぎたり光や匂いに集中を奪われたりするため、日常生活の中で疲れてしまうことが多いようです。
病気でもないため、正式な治療法はありません。アーロン氏の書籍『ひといちばい敏感な子』の翻訳を手掛けた心療内科医の明橋大二医師によると、世界の人口の5人に1人ほどがHSPだそうです。
アーロン氏は、HSPはその特性によって以下の4タイプに分類できると考えています。
【Depth of processing】
人の気持ちや空気を読む能力に長けており、情報を深く処理する人がこのタイプに該当します。
【Overstimulated】
暑さや寒さの変化に弱く、痛みや刺激を受けやすいなど、体の内外のことに敏感で刺激を強く感じやすいタイプです。
【Emotionally reactive and high Empathy】
共感力が高く、つらい思いをしている他人の気持ちが手に取るようにわかったりする人が該当します。
【Sensitivity to Subtleties】
人の髪型をはじめとする物事の小さな変化によく気づく人が当てはまります。
この4タイプの頭文字をとった「DOES」という概念がHSPではよく用いられています。
HSPとHSS
HSPとは別にHSS(Highly Sensation Seeking)というものがあります。HSPの中にHSSが含まれる形となっており、HSPの約3割がHSSだと言われています。そのため、HSS型HSPと呼ばれることもあるそうです。
HSSは、HSPの繊細さを持ちながら非常に好奇心が強く、外界からの刺激を求めています。そのため外交的で挑戦的な人が多いようです。ただし、刺激に敏感なのに刺激を求めてしまうため傷ついてしまうことも少なくなく、最終的に自分を追い込んでしまうケースもあるようです。
HSPにみられがちな特性
HSPの人には「物事を深く考える」「刺激に敏感である」「共感しやすい」「疲れやすい」「不安感が強い」「自己否定感が強い」「一人の時間を欲する」「優しい」といった特性があります。
上述の「DOES」に沿って一つずつ詳しくみていきましょう。
傾向1:物事を深く考える
この傾向は、DOESの中のDに当たる特性です。何かに挑戦しようと思ってもさまざまなことを考えてしまうため、なかなか行動できないことも少なくないようです。また、他人の思考についても深く考えてしまい社交辞令の裏にある感情まで想像してしまうこともあると考えられています。
傾向2:刺激に敏感である
これはDOESの中のSに当たります。五感が鋭いため、「音」「匂い」「気温」などほんの些細な物事に対して反応してしまいます。そのせいで本来集中すべきことに集中できないといった支障が出てしまうケースもあります。
傾向3:共感しやすい
DOESの中ではEに当たる特性です。感情移入しやすい状態を指し、その度合いを「心の境界線が薄い」と表現する心理学者もいるほどです。この特性のせいで自分の考えが他人の感情に左右されたり、自分とは全く関係のないことや悲しいニュースでも傷ついたりしてしまうこともあります。
傾向4:疲れやすい
これはDOESの中のOに値します。物事を考えるときは他の人よりも深く考えてしまって疲れてしまったり、普段の生活の中でも小さな刺激に反応するので疲れてしまいやすい傾向にあります。
傾向5:不安感が強い
HSPの人が他の人よりも不安を感じやすいというのはここまでの内容で想像がつきやすいですが、それ以外にもはっきりとした要因があります。
HSPの人はそうでない人と比べると、ストレスを処理する扁桃体という部位が活発です。さらにストレスに対して反応するホルモンの分泌量も多いので、不安を感じやすい体質であると言えます。
傾向6:自己否定感が強い
HSPの人は人一倍刺激を受けやすい傾向にあります。その結果、自分の責任であると感じやすく自己否定感が強くなりやすいと言われています。
傾向7:一人の時間を欲する
「一人の時間を欲する」ことは、DOESの中のOやEの特徴が大きな原因となっている可能性があります。
例えば、人混みの中にずっといると他人の話し声や行動から五感を刺激され、疲れを頻繁に受けてしまいます。さらに、共感性も高いため人と関わるだけでも相手の表情などからさまざまなことを感じ取ったりして、感情が揺さぶられます。
こういったことから、一人の時間を欲しやすいと考えられています。
傾向8:優しい
HSPの人は共感力が強く、小さな変化に気づくため他の人に対して優しく振る舞うことができます。
共感力が強いと他の人が落ち込んでいれば親身になって寄り添えます。さらに小さな変化にも気づくため、すぐに行動するといったことも可能になるでしょう。
HSPについて知ろう
ここまでHSPについて紹介してきましたが、まだまだ世間的には知られていない部分も多くあります。
HSPは病気でもなく、人によって特性も異なります。そのため、何となく生きづらさを感じているのによくわからなくて悩んでいる方もいるでしょう。
しかし、自分がHSPであるとわかれば「それが自分の個性である」といった風に受け入れ、向き合うことができるはずです。
疲れを溜めこんでつらくなってしまう前に、HSPについて知ることが何かの助けになるかもしれません。