――霜降り明星の「しもふりチューブ」や、かが屋の「みんなのかが屋」など、YouTube作家としても活躍されていますが、テレビで活躍している方の中にはYouTubeを敵対視している方もいます。白武さんはYouTubeをどのように考えていますか?

今は、テレビ画面を使ってHuluやNetflixも見られますし、一方でテレビ番組も今秋からネット同時配信が始まります。きっとテレビ番組は、YouTubeでもどんどん流れるようになるでしょうし、テレビもYouTubeもそんなに変わらなくなっていくのかなと思います。僕が理想としているのは、YouTubeチャンネルでテレビ番組っぽい作り方をしたチャンネルができるとか。そうなるとアメリカのテレビ局のように、100チャンネルの中から自分の好きなメディアを選んで見ることになってきて、より面白い番組が生まれると思います。

――変わっていくメディアの世界で、白武さんはどういう立ち位置でいたいですか?

僕は、YouTubeで番組が見られるようになっていく、その前線にはタッチしていたいですね。テレビは60年の歴史があり、継承されている技術や制作力がすごく、全国の家の中にテレビが置いてあるという届けやすいシステムがあるので、そこでも面白いことをやりたいですし、YouTubeラジオ局の運営も始めたので、いろんなところで得た知見を生かして、最適なメディアで最適な企画をやっていけたらなと思います。

――テレビのバラエティ番組については、今後どのように期待されていますか?

コロナの影響もあってか、タメになる番組よりも『有吉の壁』に代表されるような、「楽しい」「笑える」番組が増えてきている印象です。僕個人としては、お笑い濃度高めの『めちゃイケ』や『はねトび』のようなムーブメントを起こすパワーのある、毎週やっていることが違う総合バラエティを同世代の人たちと作れたらと思います。

――そういったパワーのあるバラエティ番組が誕生するには何が必要だと思いますか?

若い世代に見られている番組が広告として価値があるという方向に完全にシフトしてきています。今、お笑い第7世代の番組が今後も増えていくと思いますし、大型のネタ番組も各局作っているので、ここからまた戻ってくると思います。

――霜降り明星さんやかが屋さんら同世代の芸人さんと、『ガキの使い』などで知られる放送作家・高須光聖さんとダウンタウンさんのような関係を築いていきたいという思いがあるそうですが、放送作家としての今後の活動への意気込みをお願いします。

霜降り明星

20代の芸人さんだけで今までとは違うパワーなり面白さがある番組を生み出せたらなと思います。テレビマンもしばらく総合お笑いバラエティを作っていないのでお笑いスタッフが育っていないと聞きます。コント一つやるにしても、どうやってセットを作ったら面白く見えるのか、罰ゲームをするにしても熱々ってお湯は何℃でやるなど継承されていない。このまま途切れるのではなく、なんとか次の世代にもバトンを渡せるよう面白い番組を作れたらなと思います。

――最後に、放送作家を目指している方たちに向けて、放送作家として成功するカギを教えてください。

僕はテレビ作家としてはまだ成功していませんが、YouTubeやネットテレビなど違う場所でも活動しているので、こうやって本を出させてもらったりしているのかなと思います。放送作家として、他の人に負けないめちゃくちゃ詳しい分野があるといいと思います。僕の場合は、お笑いやYouTube、映画などに詳しく、上の世代の人にも共通言語があると思ってもらえたのは一つあると思うので、誰にも負けない詳しい分野を持つことは大事だと思います。

■白武ときお
1990年12月17日生まれ、京都府出身。放送作家。担当番組は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)、『霜降りミキXIT』(TBS)、『霜降り明星のあてみなげ』(静岡朝日テレビ)、『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』(TBS ラジオ)、『かが屋の鶴の間』(RCC ラジオ)。YouTube では「しもふりチューブ」「みんなのかが屋」「ジュニア小籔フットのYouTube」など、芸人チャンネルに多数参加。