事務所を辞めフリーになると、数社から写真集のオファーが舞い込んだ。ある担当者からは「事務所に写真集を出したいと話をしていたけど、なかなか進めてもらえなくて」と聞いた。
新しい写真集の版元として選んだのは伝統的な出版社ではなく、新興の出版社LIKTEN.LLCが運営する「マレットガール」という出版レーベル。このレーベルはオークション形式で写真集を販売するという新しい試みを行っている。
30代初となる写真集『Chantilly(シャンティー)』は通常の流通は行わず限定200部のみで、購入者は定められた期間の間に入札していく。菜乃花本人は出来栄えに100%満足しているという写真集だが、あまりの露出度の高さに驚いた。
「違う出版社からは女性向けのかわいい写真集を作ろうと言われました。ありがたい話だったんですけど、フリーになった瞬間にぬるい自己満足の写真集を出したくなかった。良いものを作りたいし、ファンのみんなの需要も考えたい。まだまだグラビアをやるぞと意思表示の写真集にしたら、今までで一番過激になりました」
菜乃花にとってオークション形式は初めての試み。入札がどれだけあるかスタート前は不安だったが、いざオークションが始まると限定200部に対し、700以上の入札があった。高額の入札も集まり、「マレットガール」の過去の作品に比べ2倍の売り上げを達成した。
「まだグラビアの仕事を続けられるなと思いました。本当にファンに感謝の気持ちだけです。うれしかった」
グラビアアイドルが写真集を出す場合、不特定多数の人間に購入されるために最低限は"手ブラ"など多くの露出を編集者から求められる。写真集は多くのグラドルにとって夢だけに抗うのは難しく、結果グラドルたちはほぼ裸となった作品を出さざるを得ない。一方、マレットガールは少量出版でコアなファン向けのため、グラドルたち本人が希望した内容を作りやすい。
「今回みたいなオークション形式って、本人が満足いって、本人が楽しんで撮影する。だからこそ本人が自然に『写真集を買ってね』とファンに言えるんです。固定のコアなファンがいれば出せるので、全国的な知名度はなくて今まで写真集を出すのが難しかった子にもいいと思います」
新しいやり方での写真集だが、収入面に問題はない。
「私の収入は確保されていて、一定冊以上売れた場合はさらにバックがあります。今、私はフリーなこともあるのですが、事務所時代の写真集に比べて5倍以上の収入になります」
オークションを使った写真集は、グラドルにとっての新たな選択肢になると思っている。