普段はあまり自分からは後輩に話しかけないタイプ。でも、グラビアの先輩として伝えたいことがずっとあった。一つは年々過激化するグラドルの露出。雑誌の表紙を飾るグラドルたちが、撮影会やSNSで露出を前面に押し出したことで、露出こそ正解と見られるようになった。

「あんなにスタイルが良くて、雑誌の表紙を飾る子たちが大きな撮影会で際どい衣装を着てくる。プロ意識だしすごいと思うけれど、衣装にラインを引いてもらわないと、新人の子たちが『雑誌の表紙の子があんなに頑張って露出しているのに、なんでお前はできないんだ』と言われてしまう」

実際に菜乃花が撮影会にゲストとして参加すると、登場するグラドルがみな信じられないほど過激な水着で青ざめた。

「もちろん露出することが快感な子もいるし、それは否定しないです。でも今やっている子はみんな本当に納得してるのかなって。撮影会で人に来てほしいから、SNSで『いいね』を増やしたいから露出する。それでいいのかな。グラビア業界自体が安っぽく見られてしまわないかな」。

グラドルたちがSNSで過激な水着写真の投稿をするようになったのも気になっている。

「先輩のグラドルたちがSNSの写真投稿を『私がやってきたことは間違っていなかった。グラドルはこうやるべき』と大々的に出していくと、ただエロい自撮りを出すことがイコール頑張っているという勘違いにつながっちゃう。実際は露出だけじゃフォロワーは増えないんです。一見そう見える人も工夫をして投稿している」

グラビアという仕事が好きで、誇りを持っている。だからこそグラビアを本気でやりたい子には不幸になってほしくない。

「女の子が使い捨てになるのは嫌だし、夢を追いかけてるからお金をやらなくていいと思っている大人の思惑にみんな気付いてほしい」

一方でバイト感覚のグラドルが増えていて驚いた。

「OLやるより週3回撮影会をやる方が儲かるからという感覚の子もいて、どれだけの子がこの仕事で食べていこうと思っているのか。グラビアの仕事をしていると小金持ちの社長くらいは寄ってくる。だからどこか良いところで結婚しようって思ってるのかも」

以前とは違い、撮影会やSNSで水着になるだけで誰でもグラビアアイドルと名乗れてしまう。グラビアに誇りをもっている菜乃花だけに、現在の状況には納得いってない様子だった。菜乃花自身は日テレジェニックに選ばれたときも、ワインバーのアルバイトをしながら芸能の仕事を続けた。派手な生活を想像されがちだが、普通と変わらない感覚の持ち主だ。

「正直いうとモテないわけない。寄ってくる人にお金持ちもいますけど、人に家賃を払ってもらうのも、人のお金で旅行に行くのも性格的に嫌なんです」

「芸能界の女の子って、デビュー当初は夜に飲みに行って人脈を作ろうと思うことが多いんです。でもそれは仕事にはつながらない。せいぜい旅行に連れて行ってくれるくらい。だいたい自分の身分をひけらかして飲んでいるやつにロクなやつはいない。人脈を作るのが近道に見えてしまうかもしれないけれど、地道にファンを作っていくのが本当の近道なんです」

テレビの有力者が来るからと飲み会の誘いもあるが、一度も行ったことがない。

「たとえ1回テレビで使ってもらっても、自分のレベルに合ってない仕事は『あの子ダメだったね』で終わって次につながらない。グラドルがテレビに出るときは誰々さんに口説かれたという暴露か、意味もなく脱ぐか。それをやった先ってあるのかなと思う。変なネタで面白おかしくされるからテレビに出ても意外とSNSのフォロワーって200人くらいしか増えないんですよ」