8月23日、東京都新宿区で「セイコーゴールデングランプリ陸上 2020 東京」(セイコーGGP 2020東京)が無観客で開催された。2021年夏に延期された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の会場となる新・国立競技場で、国内のアスリートたちが熱戦を繰り広げた。

  • 無観客で開催された「セイコーゴールデングランプリ陸上 2020 東京」 写真提供:フォート・キシモト/日本陸上競技連盟

国内在住者限定かつ無観客で開催されたセイコーGGP 2020東京

本来であれば、東京2020で大会の開閉会式が行われ、スポーツの歴史にその名称が刻まれるはずだった国立競技場。新型コロナウイルスの影響によって、この「セイコーGGP 2020東京」が初の陸上大会となった。

開催にあたっては、新型コロナウイルスの感染を予防するためにエントリーを国内在住競技者のみに限定、かつ無観客で開催されるなど、細心の配慮が行われた。

開催種目は、男子100m、200m、400m、800m、1500m、110mH、400mH、走高跳、棒高跳、走幅跳、やり投。女子100m、400m、800m、1500m、100mH、400mH、3000mSC、走幅跳、やり投。

  • 有力選手らの激闘が繰り広げられた男子100m 写真提供:フォート・キシモト/日本陸上競技連盟

激闘の男子100mを制したのは!?

男子100mには、2017年に100mの公認記録で日本人史上初の9秒台(9秒98)を実現した桐生祥秀選手(日本生命)、2019年ダイヤモンドリーグ・ロンドン大会で日本人3人目となる9秒98を達成した小池祐貴選手(住友電工)、2016年リオデジャネイロオリンピックの4×100mリレー銀メダリストであるケンブリッジ飛鳥選手(Nike)などが出場。

激戦の結果、桐生選手が“10秒14”で大会を制した。

「今年は、本当にレースを何本走れるかがわからないので、1本1本を重視している。そのなかで今日、勝ちきれたことは大きいし、自信になる。(来年の)オリンピックでは、この会場がいっぱいになって盛り上がると思うので、その盛り上がりに負けないような走りがしたい」(桐生選手)。

女子1500mで14年ぶりの日本新記録

女子1500mでは、2019年の世界陸上ドーハで女子5000mファイナリストになった田中希実選手(豊田織機TC)、2019年の日本選手権において女子800m/1500mの2冠を達成した卜部蘭選手(積水化学)らが出場。田中選手が、同じ小野市出身の小林祐梨子さんが2006年に樹立した“4分7秒86”を上回る日本新記録“4分05秒27”をマークし、栄冠を勝ち取った。

  • 日本新記録“4分05秒27”の快挙を成し遂げた田中希実選手 写真提供:フォート・キシモト/日本陸上競技連盟

「ラストで、卜部さんがついているということは薄々わかっていた。練習でラストスパートの自信はつけていたので、『本当に(力を)出しきろう』という思いだった。それをしっかり出すことができたと思う。(日本記録が出ると確信できたのは)ラスト100mくらいのところだった」(田中選手)。

高校生らが躍動した“ドリームレーン”

2020年は、新型コロナウイルスの影響により、多くの大会や競技会、そしてインターハイが延期や中止を余儀なくされた。高校生活の中で積み上げてきた練習の成果を発揮する機会を失ってしまった高校生に向け、セイコーGGP 2020東京では“ドリームレーン”と題した舞台を用意された。

陸連登録している全国の高校生を対象に公募が行われ、選考委員会による選考の上、各種目(棒高跳・走高跳は除く)1~最大9名が本大会に出場。最終的に25名の高校生アスリートが競技に挑み、出場選手のうち8名が、自己新記録を達成するという結果を残している。

なお同大会は、アシックスジャパン、大塚製薬、久光製薬などが協賛企業としてスポンサードした。

  • 写真提供:フォート・キシモト/日本陸上競技連盟