リモートワークでも生産性は維持できているが、オンライン会議には疲れを感じているーー米Adobeが米国の調査からこのような結論を導き出している。同社の公式ブログ記事「Say ‘buh-bye’ to WFH stigma: COVID-19 proves remote workers can still be productive」では、このほかにもリモートワークで欠けていると感じることやツールについても調査結果を明かしている。

Adobeのこの調査は、米国在住の働く人約1000人を対象に5月末から6月はじめにかけて、在宅勤務について聞いたものだ。生産性については77%が「在宅の方が生産性が高い・在宅でも同レベルの生産性を維持できる」と回答した。これについてAdobeは、柔軟に仕事時間を調整できたり、通勤がない、集中を妨げるものが少ないなどの理由を挙げている。

その背景として、Adobeはコラボレーションなど、遠隔からの作業に必要な環境が整備されている点を指摘している。82%が「コラボレーションを促進するために適切なツールがある」と回答したほか、63%が「新型コロナの前と同じレベルで同僚とやりとりできている」と述べたという。

では、オフィスと比較してリモートワークで欠けていると感じるものは何か?最も多いのは、「対面でのチーム間のコラボレーション」で、25%がこれを挙げた。続いて、「雑談やおしゃべり」(23%)、「同じ場所にみんながいることで生まれるエネルギー」(11%)などと続いており、仲間と対面でのやりとりを求めていることがわかった。なお、6%が「オフィスでの食事や外食」と答えたり、7%が「仕事ができる静かな場所」を選ぶなど、オフィスならではの設備や環境を懐かしむ意見もあったようだ。そんな中で、14%が「欠けているものはない。リモートで仕事する方がいい」と答えている。

オンライン会議については、ネガティブな意見が多かったようだ。「対面でのミーティングほど生産性は高くない」という人が67%もいたほか、66%がオンライン会議が急増しており疲れを感じていると明かしているとのこと。ファイル共有では、どのツールを使っているかを聞いたところ「Microsoft Office 365」が最も多く、続いて「Google Drive」「Adobe Acrobat」の2種類が2番目に多く挙がったという。ファイルを送るときの手段としては、「電子メール添付」が最多で90%、しかしメール添付は生産性が低いという人も88%。もっとも使われるツールメールの使い勝手が悪い状況が課題として浮かび上がっている。

ファイルに関連して、デジタル署名についても調べている。日本では"ハンコを押すために出社"も話題となったが、米国ではデジタル化が進んでいるようだ。ドキュメントに署名する方法として、50%が「デジタル」と回答、「デジタルと物理サインが半々」とした人は26%、「物理サイン」の23%を上回った。なお、積極的に使っているのは米国では"ミレニアル"や"Gen Z"と言われる若い世代。仕事上のやりとりで最も多いのは、「電子メール」と「電話」だったが、「インスタントメッセージ」「ファイル共有」「企業向けソーシャルネットワーク」「ソーシャルメディア 」も多かったという。ここでも、若い世代ほど新しいツールを使う傾向が見られたようだ。