時間管理ーー新しい言葉ではないが、在宅勤務になりそのスキルの必要性を再実感している人は多いのではないだろうか。Amazonで"時間管理"に関連する書籍を検索すると1970年代まで遡り3,000以上がヒットする。考え方や方法論から、ツールを使った効率化まで実に多種多様なテーマが並ぶ。この古くて新しい課題といえる時間管理について、Harvard Business Reviewの記事「Time Management Is About More Than Life Hacks」が実験に基づいたアドバイスをしている。今年のはじめに掲載された記事だが、ウィズコロナ時代を念頭に、時間管理を改めて考えるには最適な記事だ。

時間管理ツールは数多あるが、どれを使ってもうまくいかないという人が多いのはなぜかーーDePaul Universityでマネジメントを教えるErich C.Dierdorff教授は、シェフが使うような包丁セットなどハイエンドのキッチン機器があり、素晴らしい素材があれば誰もが5つ星レストランのシェフになれるというわけではない。時間管理もこれと同じことだという。「各種時間管理ツールは、使う人が土台のスキルセットがあることを前提としているが、時間管理のスキルがなければこれらのツールやアプリの効果は出ない」と。つまり、前提条件である時間管理スキルなしにスケジュールアプリを使っても、大した効果はないということになるのだ。

時間管理スキルでは、

1.Awareness(時間の認識):時間を制限のあるリソースとして現実的に考えることができる
2.Arranegment(時間の配置):目標、計画、スケジュール、タスクを効果的な時間の使い方になるように設計して管理すること
3.Adaptation(時間への適応):活動のパフォーマンスを見ながら時間の使い方をモニタリングする

の3Aが大きな柱になるというが、記事ではこの柱に関する1200人を対象に行った時間管理の実験を披露している。実験の参加者は自分がフリーランスのデザイナーになったと仮定して、30分の間にメールやテキストメッセージなどのやりとり、クラウドストレージなどのツールを使った作業など、タスクをこなしながら同僚や顧客など関係者とのスケジュール管理を行う。競合の対処やクライアントの要求の優先順位付けなど、締め切りと相手がいる複数タスクが出入りするものだ。実験の結果として、次の4つを導き出している。

・3つのスキルはどれも同じぐらい重要であり、どれか1つだけ改善しても時間管理全体は改善しない。
・最も難しいスキルは2と3で、これらは自然に発達するタイプのスキルではない。
・マルチタスクを好むことと時間管理スキルは別物。
・自分の時間管理に関する自己評価が正確にできていない。

では、具体的にどのようにして時間管理スキルを改善すればいいのか?まず、フォーカスすることを決めることが第一ステップとしている。そのためには自分のスキルレベルをしっかり把握することだという。

自分の時間管理スキルを正しく評価するマイクロシミュレーションなどのサービスや同僚や上司など他人からのフィードバックなどから客観的な評価で自身の時間管理能力を把握する。また、マルチタスクを好むなど、時間管理が関連した自分の好みや個性を理解する。これにより、既存の習慣のどこを変えるべきかが分かってくるのだという。そのうえで改善すべきスキルを識別して重点的に取り組むことで改善されるというわけだ。

マルチタスクがあまり好きでは無い筆者だが、タスクがあまりにも無謀に重なる場合にはカレンダーのような日付ベースの時間認識では到底タスクが把握できず、タスクベースのガントチャートもどきを汎用性あるExcelで即席で作った。これが意外に有効だった。タスクごとに開始日と終了日を入力すると横(時間軸)にマーク(■)が伸びていくだけのものだが、メモやファイル、Webへのリンクも簡単であるため時間管理以外のノートとしての役割も担えて重宝した。なによりも、唐突に舞い込むスケジュールで変化する翌日以降の別のタスクとの兼ね合いを重層的に把握できるようになる。少なくとも大雑把な時間の"Awarness"は行える。1日あたりのタスクが増えると他の視座が必要になり、時間管理の評価を振り返るためには別シートに進捗の記録も残さなければならないがこれもExcelでは不可能ではない。

  • Excelで作った簡単なタスクベースのスケジュール管理

    Excelで作った簡単なタスクベースのスケジュール管理

有料ツールを使えば、より優れた時間管理が可能でチームや管理機能が豊富で3Aを十分にカバーする。しかし、身近なツールからはじめることは継続的な取り組みの一歩としては悪くない。カスタマイズしていると、自然とExcelの関数やセルの基本的な使い方が覚えられたり、自分自身に必要な機能を自分で増やせる楽しさもある。