内閣府が2020年6月21日に公表した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」により、全国でテレワークを経験した人の割合は34.6%であることがわかっています。

テレワークという働き方は以前から存在していたものの、「コロナ禍の影響で、より身近な働き方になった」と感じる人も多いのではないでしょうか?

本稿では、需要の高まるテレワークの全国での実施率や、業種別の実施割合、今後もテレワークを継続していくために企業が抱えている課題などについて紹介していきます。

  • テレワークする女性

    急速に普及した「テレワーク」の現状は?

全国のテレワーク実施率は?

緊急事態宣言が起爆剤となり、急速に普及したイメージのあるテレワークですが、その実施割合は企業ごとに異なります。完全にテレワークに移行した企業もあれば、半分にも満たない企業もあります。

「全国でテレワークを経験した人は34.6%」と先述したものの、その詳細はどのようなものなのでしょう。内閣府による調査資料のうち、「経験した働き方とテレワークの実施状況」という項目において、就業者がコロナ禍においてどのような働き方を経験したのかがまとめられています。

ここからは、以下の図を基に、それぞれの比率ごとに特徴を見ていきます。

  • 「感染症の影響下において、経験した働き方をすべて回答してください」 (出所:内閣府)

    感染症の影響下において、経験した働き方とテレワークの実施状況 (出所:内閣府)

「ほぼ100%テレワーク」は約1割

「ほぼ100%テレワーク」の働き方となっているのは、全体の10.5%でした。地域別で見ると、コロナ感染者が多い東京23区においては、20%以上という高い割合でこの働き方を実現していることがわかります。

「50%以上がテレワーク」も約1割

「50%以上がテレワーク」の働き方となっているのは、全体の11%となり、ほぼ100%テレワーク」の働き方よりも0.5ポイント上回りました。オフライン作業を必要とする業務や、会社の設備でなければ触れられない情報などもあることを考えると、この働き方の割合が多いことにも納得がいきます。

テレワークで完結できる業務とそうでない業務を持ち合わせている企業においては、この働き方が適切といえるかもしれません。

「50%以上出勤しているが、テレワークも実施」というケースも

「50%以上が出勤であり、定期的にテレワークを実施している」割合は、全体の6.9%となりました。

感染症対策においては、オフィス内における密集を避けるために社員にテレワークを推奨することは効果的です。50%以上出勤しているとしても、職場で「出社する日・しない日」のローテーションをうまく組めば、常にソーシャルディスタンスをとった状態での業務も実現できることでしょう。

「基本的には出勤だが、不定期にテレワーク」が最も少数

「基本的には出勤で、不定期にテレワークを実施している」割合は、全体の6.1%です。このパターンは、東京・大阪・名古屋などの都心部では少ない割合になっていますが、地方圏では4分の1程度の割合を占めています。

テレワーク実施率の高い業種4選

テレワークを実施している企業が増えていることは周知の事実ですが、業種によっては「すべてをテレワークに切り替えられるケース」「テレワークを導入したいけれどできないケース」などがあります。

次は、特にテレワークの割合が高かった4つの業種を紹介していきます。

  • テレワークで働く男性

    テレワークの実施率が高い業種は?

1位:教育・学習支援業

まず、テレワークの実施率が一番高かったのは、教育・学習支援業です。実施率は、50.7%と半数以上。特に、テレワーク中心で定期的に出社を併用している割合が高くなっています。

学校や学習塾などにおいては、オンラインでの授業や、動画教材の活用などが一般的になりつつあることが影響しています。こうした流れは今後も継続していくことでしょう。また、講師の働き方についても、自分のタイミングで講義の録画をできるので、テレワークが効果的に働く業種だといえます。

2位:金融・保険・不動産業

教育・学習支援業の次に高い割合となったのは、金融・保険・不動産業です。こちらの実施率は47.5%で、半数弱がテレワークを利用しています。こちらの業種においても「テレワーク中心で、週に何度かの定期な出社があるケース」が最も多く占めています。

リモートワークの実施においては、ITシステムの整備や社員へのPC・タブレット端末の配布など、事前の準備が必要となります。こうした業界においては、コロナ禍となる前より積極的にリモートワークを取り入れていたことが、高いリモート実施率の実現に寄与しているといえるでしょう。

3位:卸売業

金融・保険・不動産業の次に高い割合となったのは、卸売業です。こちらの実施率は45.5%で、「ほぼ100%もしくは50%以上のテレワーク」が3分の1程度占めています。

4位:製造業

卸売業の次に高い割合となったのは、製造業です。こちらの実施率は43.3%で、「ほぼ100%のテレワーク」の割合が最も高い比率を占めています。

生産工場においても、ここ数年のトレンドであった「IoTを用いた工場の省人化」などが寄与したといえそうです。

テレワーク継続のための課題

調査によれば、テレワークを経験している多くの人は、職業の選択や仕事と生活のバランスを鑑み、「テレワークを継続していきたい」と考えています。

  • テレワークの利用希望者の割合 (出所:内閣府)

    テレワークの利用希望者の割合 (出所:内閣府)

しかし、テレワークが普及してきたとはいえど、継続していくためにはさまざまな課題があります。最後に、テレワークを継続していくために考えられる課題について、例を紹介します。

課題1.情報共有

テレワークが普及したことにより、働く場所での感染リスクを気にせず働けるようになりましたが、仕事の進捗情報や共有の仕方が確立できておらず、社内での情報共有に課題を感じる人も多くなっています。

対面でのコミュニケーションの機会がなくなったことにより、社内での都度の相談や連絡に時間がかかる、取引先との情報共有に時間がかかってしまう――といったケースもしばしば。素早く正確にやりとりができるように、新規のチャットツールやWeb会議システムを導入するなどの対策が必要とされています。

課題2.セキュリティの確保

テレワークの導入が増えてきている中で、セキュリティに関する問題意識は必ず持っておかなければなりません。

会社に関する貴重な情報を漏洩してしまう可能性があるために、慎重に取り組む必要があります。そのために社内でのメールの暗号化、パスワードの管理などを徹底し、万全を期してテレワークに臨みましょう。

なお、コロナに便乗した不正サイトへ誘導するメールなども発生しているため、ご注意ください。

今後のテレワークの実施率・普及割合に注目

以上、テレワークが実際に世間でどれほど普及してきたのか、全体の比率や業種別に割合の紹介、そしてテレワークにまつわる課題について紹介しました。

今後、感染者が増加・減少していく中でこうした数値はどのように変化するのか、注視しておくとよいでしょう。