お笑いトリオのネプチューンが出演するフジテレビ系バラエティ番組『ネプリーグ』(毎週月曜19:00~)が、ゴールデンタイムに進出して15周年を迎えた。

5文字の言葉を5人で完成させるゲーム「ファイブリーグ」に始まり、CGやセットの進化に伴って様々なクイズが誕生しているが、ここまでの長寿番組となった秘けつは何か。23時台の番組立ち上げから携わる、演出の中村秀樹氏(IVSテレビ制作取締役)に話を聞いた――。

  • 『ネプリーグ』に出演するネプチューン(左から 堀内健、名倉潤、原田泰造) (C)フジテレビ

    『ネプリーグ』に出演するネプチューン(左から 堀内健、名倉潤、原田泰造) (C)フジテレビ

■テーマパーク“ネプリーグランド”が増築中

「単なるクイズ番組として作っていないというのが正直なところです」という中村氏は「クイズの“側”を借りた、人間のプライド・連帯感・悔しさからくるチームメイトへの叱咤激励、うれしさからほめ合うなど、人間の喜怒哀楽が出る、クイズをダシにした“人間関係バラエティ”になったことで、ここまで続いてきたのだと思います」と分析。

他のクイズ番組にはない“アミューズメント性”も強みの1つで、クイズの内容が分からない子供の視聴者も、不正解での「ドカーン」「プシュー」といった音を楽しんでいるそうだ。

「クイズ番組って座って解答するスタイルがほとんどなので、それを変えたいというのが最初からありました。僕の頭の中で、某・夢の国のような『ネプリーグランド』があるんです。そこに、地下に落ちてマグマのそばを走るトロッコのレールが這っていて、その一方で英語を答えると宇宙まで飛んでいく近未来高層エレベータがあって…という世界が広がっていて、それがまだまだ増築中というイメージです」

この15年でCGの技術も進化しており、「スタジオはほぼグリーンバックで、あれだけの表現ができているので、360度カメラを回すと全部夢の世界が広がっているとか、今後ももっと進化していくと思います」と、アイデアは尽きない。

一方で、2013年に予備校講師の林修氏が加入したことで、アトラクションとクイズのバランスが、より良くなったと振り返る。

「それより前は、“クイズ番組のふりをしたお笑い番組”という感じだったんですけど、林先生の色もあって、東大生や官僚といったもともと知識がある人たちのプライドの削り合いという要素も出てきたんです。番組としても、そこからまたグッと調子を上げてきたというのがありますね」

■ネプチューンvsEXITの好相性

15年という年月で、ネプチューンが常識力をどんどんアップさせているのにも注目だ。1回の放送で約60問出題されることから、とてつもない数の問題を長年解き続けていることになる。

「最初はボコボコ間違えていてそこも笑いになってたんですけど、今はもうほとんど間違えないですよね。名倉(潤)さんは有名大学を卒業した方よりも漢字が書けますし、堀内(健)さんも歴史や政治経済に詳しくなって。(原田)泰造さんは今でも『チョリソー』と『チュロス』の違いが分かっていないようですが(笑)、時を見てまた出題したいと思っています」

これにより、ゲストが間違えることによってそれが際立つという新たな構図が生まれ、「それが良かったかなと思います」と変化を歓迎。

最近では、ネプチューンと第7世代との対決が1つの軸にもなっているが、「EXITさんはネプチューンさんとめちゃくちゃ相性がいいですね。『ネプリーグ、乗っ取ってやる!』という食ってかかってくれる感じがあって、それに対してネプチューンさんもやりやすくなっていると思います」と、前述した人間関係の面白さが表れている。

グリーンバックでの収録とは言え、新型コロナウイルスの影響を受けないわけではなかった。

「リハーサル室からのリモート収録になった時期は、座っている中で背景だけ合成するという形で、トロッコや宇宙船に乗ることができなかったんです。その時に、やっぱりこれじゃ『ネプリーグ』じゃないなと思いましたね。アトラクション感がないと、見ている方の期待とは違うなというのを感じたので、最近またスタジオで収録できるようになって、ようやく本来の『ネプリーグ』が戻ってきたなと実感しています」と、手応えを語っている。

  • 『ネプリーグ』演出の中村秀樹氏

●中村秀樹
1973年生まれ、埼玉県出身。獨協大学卒業後、96年にIVSテレビ制作入社。『鉄腕!DASH!!』『ザ!鉄腕!DASH!!』 (日本テレビ)や、『世界の日本人妻は見た!』(TBS)、『世界!極タウンに住んでみる』(フジテレビ)などを担当し、現在は『ネプリーグ』演出のほか『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジ)総合演出、『ウルトラマンDASH!!』(日テレ)企画演出を務める。テレビ以外でも、GYAO!で『完全車内同棲 LOVEドライブ』の制作を手がける。