JSCPは、法律に基づいて国として自殺対策を推進する組織として、今年4月1日に厚生労働大臣指定法人として発足したばかり。自殺対策を策定する地方自治体への支援や研修、また自殺や自殺対策に関する様々な調査研究などを事業としている。自治体支援などはこれまで、清水氏が代表を務める「自殺対策支援センターライフリンク」という民間のNPO法人が主に担っていたため、「国の組織が業務として行うようになったのは、大きな一歩です」と語る。
今後の活動については、「万が一、有名人の方がまた急逝することがあれば、今回のようにメディアへの呼びかけを行うことになると思いますが、毎回呼びかけを行わなくていいような状況にできるよう、新型コロナが落ち着いたらメディアの関係者を集めた勉強会もやっていきたいと考えています」と構想。
自殺報道の先進国であるオーストラリアでは、プレス協会がWHOのガイドラインを踏まえた独自のガイドラインを作成しているそうで、「日本でもどういったメディア独自のガイドラインが作れるのか。それは理想論だけを掲げても実際に運用されないと意味がないので、現実と理想の狭間の中で、ギリギリがどこなのかというところを、メディアの方たちと一緒に議論して、各社がガイドラインを作る支援を進めていければ」と話している。
悩んでいる方の相談窓口があります。下記の公式サイトをご覧ください。
・電話:よりそいホットライン
・SNS:生きづらびっと
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●清水康之
1972年生まれ、東京都出身。国際基督教大学を卒業後、97年にNHK入局。01年に『クローズアップ現代』で、自殺により親を亡くした子供たちを1年がかりで取材したのをきっかけに、自殺対策などについて取材を続けるが、推進役のいない日本の対策に限界を感じて04年に退局。同年、NPO法人自殺対策支援センターライフリンクを設立、09年「自殺対策緊急戦略チーム」メンバーとして内閣府参与に就任(11年まで)、19年一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターを設立し、代表理事に就任。