京都の老舗ライブハウスを取材したドキュメンタリー番組『磔磔(たくたく)というライブハウスの話』が、フジテレビで7日(26:55~27:55 ※関東ローカル)に放送される。

小泉今日子

磔磔は、京都で47年間にわたって営業を続けてきたライブハウス。四条河原町近くの街中に建つ築100年を超える木造の蔵で、一見、ライブハウスにはとても見えないが、70年代から現在に至るまで、日本や海外のミュージシャンたちが毎晩演奏を繰り広げてきた。

「ライブハウス」とは、新旧のミュージシャンが交錯する文化的な「ハブ(交差点)」として重要な場所。東京や大阪だけでなく、全国のいたるところに名門と呼ばれるハコがいくつも存在する。決して広くもなく、莫大な利益が出るわけでもなく、街中にちょこんとあり続け、その多くが個人経営でもある。

近年、山下達郎などのベテラン勢が自分たちの出発点となったライブハウスでツアーをするという動きも出てきている。ライブハウスとは、新しい才能を生み出す音楽文化のボトムとしての機能だけでなく、場所が持つ力が過去から未来を照射するという小さな一点の光源としての機能も持ち続けている。

今年で開店47年目に入った「磔磔」も、このコロナ禍により、4~5月のすべてのスケジュールを中止・延期し、フードのテイクアウトのみで営業。6月からは定員を制限したライブを細々と続けている。もちろんこの苦境は「磔磔」だけでなく全国のライブハウスでもほぼ同じだ。

実は、この「磔磔」を7年間にわたって取材してきた、『SWEET HOME TAKUTAKU』という、まだ製作途中のドキュメント作品がある。まだ世に出ていないこの作品は、開店した1974年から現在までの「磔磔」をめぐる、店主・水島博範さんと息子で2代目の浩司さん、そして、数多くのミュージシャン・関係者の証言、数多くのミュージシャンの演奏を記録してきた。

今回の番組は、コロナ禍を受けて、今こそライブハウスの魅力と意義を世に問いかけたいと、「特別編集版」を地上波放送。31日まで、FOD・TVerで無料配信される。

ナレーションを担当する小泉今日子は、オファーを引き受けた理由について「信頼する制作者の方が時間をかけて音楽を追ったということにまず興味がありましたし、わたしは、今、この時代だからこそ、ドキュメンタリーが一番エンタテインメントだと強く感じているんですよね。コロナの影響がすごくあったと思うんですが、歯の浮いたような物語を見る気がしない人が多いんじゃないかな、って思ったときに、ドキュメンタリーの強さというのを感じていて。これを初めて見させていただいたときも、すごくエンタテインメント!とワクワクしたし、泣きそうにもなったし、走り出したい、という気持ちにもなったんですよ。それが決め手かもしれないです。今ドキュメンタリーを一番信じている、ということでしょうか」とコメント。

番組を見て、「すごく…おもしろかったです。と言うのは、わたしは関東育ちだし、ライブハウスに通った青春時代はあまり経験していないんですけど、何度かライブの“熱”を感じた経験はあって、その感じを思い出しながら見られたことと、初めて知った磔磔というライブハウスには、皆さんの汗とか涙とか…音とか匂いとか…染みついているんだろうなということが映像を通してすごく伝わってきたことと、ライブハウスの歴史はイコール音楽の歴史でもあり、その土地の文化の歴史でもあるんだなということもすごく感じられたからです。そして、(番組に登場した)懐かしかった人たち…少年ナイフって聴いてたなとか、B-52’sが大好きだったなとか…京都のライブハウスのお話だけど、自分の青春もよみがえってきて、途中から体を動かさずにはいられないような感じになりました。本当にたくさんの人に見てほしいです」と呼びかけた。

出演者は、以下のとおり。

水島博範、水島浩司、ウィルコ・ジョンソン、近藤房之助、仲井戸“CHABO”麗市、麗蘭(仲井戸麗市、土屋公平、早川岳晴、JAH-RAH)、細野晴臣、友部正人、泉谷しげる、鮎川 誠・シーナ(シーナ&ロケッツ)、木村充揮(ex.憂歌団)、有山じゅんじ(ex.上田正樹とサウス・トゥ・サウス)、石田長生(ex.ソー・バッド・レビュー)、平成トリオ、永井“ホトケ”隆(ex.ウェスト・ロード・ブルース・バンド)、遠藤ミチロウ(ex.ザ・スターリン)、M.J.Q(遠藤ミチロウ、クハラカズユキ、山本久土)、山野直子(少年ナイフ)、玉城宏志(ex.ローザ・ルクセンブルグ)、三宅伸治、トータス松本(ウルフルズ)、大木温之(Theピーズ)、中川敬・伊丹英子(ソウル・フラワー・モノノケ・サミット)、うつみようこ(YOKOLOCOBAND)、チバユウスケ(The Birthday)、岸田繁(くるり)、竹安堅一・グレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)、増子直純(怒髪天)、コヤマ・シュウ(スクービードゥー)、なべ(騒音寺)、キセル、台風クラブ、寺田国敏(拾得)、篠田純(ROCK A GOGO企画)、南部裕一(SMASHWEST)、鏡孝彦(greens)、角張渉(カクバリズム)、ほか。

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