俳優の高橋英樹が主演するテレビ朝日系スペシャルドラマ『西村京太郎トラベルミステリー72 十津川警部のラストラン』が、26日(21:00~22:54)に放送される。

『西村京太郎トラベルミステリー』シリーズが72作目まで続いたことについて、高橋は「70話くらいで終わると思っていた」とおどけつつ、「うれしかった」と喜びを表現する。

そして今後の目標として、「孫がテレビを見て、十津川警部がおじいちゃんだと分かるようになるまではやれたらいいなとは思います」と決意を新たにした。

また今作では、北海道・新十津川町でロケを敢行し、この春に一部廃線となったJR札沼線と、それに伴い駅としての役目を終えた新十津川駅も登場。高橋が北海道ロケについても語った。

■「私がやっている作品の中でも1番長い」

  • 左から高橋英樹、高田純次

    左から高橋英樹、高田純次 -テレビ朝日提供

――『西村京太郎トラベルミステリー』シリーズに、高橋さんは第34作から出演されていますが、今作で第72作目となります。

うれしい限りですね。70話くらいで終わると思ってたんですが(笑)。72作目に巡り合えたことはうれしかったですね。

――高橋さんは2000年9月から出演されていますので、ほぼ丸20年、十津川警部を演じています。

考えてみたら、私がやっている作品の中でも、1番長いです。たいがい他の続いた作品でも、5年ぐらいしかやってませんでしたから。20年もひとつの作品を続けて来られたというのは、それだけ大勢の方たちにご支持いただいたということです。それを作る側も踏まえて、次の作品にすべてぶつけ、また新しい作品を大勢の人に見ていただけるために頑張るだけですね。

――どこまで続けたいという目標はございますか。

役者としてはできる限り続けたいです。欲としては、80歳までは。これだけ長く続けさせていただけたわけですから、できることならもうちょっとやりたいなという欲望が湧いてきます(笑)。孫がテレビを見て、十津川警部がおじいちゃんだと分かるようになるまではやれたらいいなとは思いますね。

――台本には、十津川警部が「(人生の)ラストランはまだまだずっと先だ」と語るシーンが登場していましたが、高橋さんご自身の“ラストラン”もまだ先ですね。

そうですね、はるか先だと思ってます。我々の年代は、もう終活に入ってまして、友達も「終活している」と言っていますが、私はラストランという意識はまだないですね。

純ちゃん(高田純次)もいろんな街を歩く番組をやっていて、かなり健康になったみたいです(笑)。撮影のときも、毎晩そんな話をしながら、「とにかく元気でいようよ。あの2人は異常だねって言われながらやろうぜ」って言ってました(笑)。純ちゃんとは元気で一緒に、また次の作品に向けて取り組んでいけたらと思います。

――今作の台本を読まれての感想はいかがでしたか。

台本を読んで1番感じたのは、人生というものに、電車が非常に似ている感じがしました。どこまでも続く線路に未来を感じたり、その先にどんな未来があるのか、挫折があるのか…。電車、線路の持つ魅力が、人生とも一致するのかなと。

  • 高橋英樹 =同

――「人生=線路」ということですね。

僕は千葉県出身なんですけど、東京方面への線路を見て、「この線路の向こうに東京があるんだ」って幼心にすごく感じたんです。「この線路をずっと行くと東京につながるんだ」「東京に1回行ってみたい、東京に行ったらどんな生活になるんだろう」という人生の先行きを感じとれるし、人生に見立てられるなと。

今は地方から出てきた人も多くて、その人たちは地元の駅や線路を見て育ってきたわけですから、いろんな駅や線路を見て、「昔、自分はこうだった」と自分の原点を思い出すのではないでしょうか。だからこそ日本人って、電車が好きだったり、電車が走ることにワクワクしたり共感したりするのかなと思いましたね。

  • 左から高橋英樹、高田純次 =同

――北海道・新十津川町での撮影を振り返り、いかがですか。

新十津川駅が駅としての役目を終えるということで、ロケのときにも、たくさんの鉄道ファンの方が写真を撮りに来てました。「本当に惜しいよね」って僕も記念写真を山ほど撮っちゃいました(笑)。

新十津川町は、100年以上前に水害によって奈良から移り住んだのがはじまりです。それからみんなが努力して、今の生活を築きあげました。そこを通っている線路がなくなってしまうことに対する寂しさも感じながら、撮影していました。実は、一昨年ぐらいに十津川町で講演を頼まれたことがあるんですが、スケジュールの都合で行けなかったんですよ。で、今回お話をいただいたときに、「本当に行けるの!?」って。新十津川町の町長さんをはじめとした町の方々も本当に良い人が多くて、感動しました。

――今作の見どころをお聞かせください。

まずは景色ですね。札沼線に乗らせていただいて、新十津川町をバックに撮影させていただきました。その景色を映しただけで、こうグッとくるものがありますね。役者にとって1番ありがたいのは、我々が一生懸命芝居しなくてもその景色があるだけで雰囲気が出てくれるんですよ(笑)。ただ撮影は、かなり寒かったです(笑)。それと、新十津川町の町長をはじめとした多くの方々にご協力いただき、とても人情を感じました。そういうのも含めて、良いドラマになったなと思います。

今作は、札沼線をテーマにつくりあげています。そこで生まれ育った青年たちがどう生きて、どうして罪を犯すような人物が出てしまったのか。作品としてもよく練りあがったものだなと思いますので、ぜひ家族みんなで見ていただいて、喜んでいただけたらうれしいです。

■テレビ朝日系スペシャルドラマ『西村京太郎トラベルミステリー72 十津川警部のラストラン』7月26日(21:00~22:54)
ミステリー界の重鎮・西村京太郎氏が生み出した人気キャラクター"十津川警部"が時刻表や鉄道にまつわるトリックを解明、事件の背後に潜む人間ドラマを浮かび上がらせていく『西村京太郎トラベルミステリー』シリーズ。第72弾は北海道・新十津川町で撮影され、この春“ラストラン”が大きな話題となったJR札沼(さっしょう)線と“日本一最終列車が早い駅”として鉄道ファンに親しまれてきた新十津川駅が舞台となる。

■高橋英樹
1944年2月10日生まれ。千葉県木更津市出身。1961年、日活第5期ニューフェイスとして日活に入社し、同年に映画『高原児』でデビュー。その後、『男の紋章』シリーズ、『桃太郎侍』、『遠山の金さん』など数多くの作品に出演。『西村京太郎トラベルミステリー』シリーズには、2000年の第34作から登板している。