東京商工リサーチは7月20日、2020年度「賃上げに関するアンケート」調査の結果を発表した。それによると、2020年度に賃上げを実施した企業(一部予定含む)は前年度比23.4ポイント減の57.5%となり、定期的な集計を開始した2016年度以降で最低を記録した。

ベースアップ実施率は3割

  • 賃上げ動向 年度推移(出典:東京商工リサーチWebサイト)

実施率が80%を割り込むのは初めてで、下げ幅も過去最大。3月27日~4月5日に実施した中間集計では、「実施する(予定含む)」が72.1%だったが、3カ月で14.6ポイントも下落した。同調査では、「新型コロナによる経済活動の停滞」が落ち込みの要因と分析している。

産業別(全産業)にみると、実施した割合が最も高かったのは製造業の62.8%。一方、最も低かったのは金融・保険業の29.4%で、次いで不動産業が45.9%、サービス業他が49.6%と続いた。

規模別では、大企業の実施率が65.9%となった一方、中小企業は55.9%と、10ポイントの開きがでた。詳細をみると、大企業は農・林・漁・鉱業、建設業、製造業で70%を上回ったが、中小企業では70%を上回った産業はゼロ。特に製造業は大企業の73.4%に対し、中小企業は60.3%と、13.1ポイントの差がついた。

賃上げを実施した企業に内容を聞くと、「定期昇給」が84.8%で最多。以下、「ベースアップ」が30.8%、「賞与(一時金)の増額」が23.5%と続いた。

賃上げ率は、「2%以上3%未満」が26.7%と最も多く、次は「1%以上2%未満」が23.6%となり、「1%未満」(7.4%)を含めた「賃上げ率3%未満」は6割近い57.7%に上った。

調査期間は2020年6月29日~7月8日、有効回答は1 3,870社。