横山泰明七段を破り、タイトル初挑戦まであと2勝

永瀬拓矢王座への挑戦権を争う、第68期王座戦挑戦者決定トーナメント(主催:日本経済新聞社)の2回戦、▲大橋貴洸六段-△横山泰明七段戦が6月30日に東京・将棋会館で行われました。結果は113手で大橋六段の勝利。二次予選決勝で藤井聡太七段を破って初出場した挑決トーナメントで、いきなりのベスト4進出となりました。

振り駒で先手番になった大橋六段は横歩取りを選択。横山七段は定跡型から変化し、実戦例の少ない形に誘導しました。序盤早々に後手が馬を作る力戦となり、構想力の問われる展開となります。

後手は馬を作れたものの、手損をしており、なかなか他の駒を前線に繰り出していけません。一方、先手は手得を生かして右桂を活用し、1筋からの端攻めの準備を整えます。そして馬取りで攻防の要所に角を据えました。後手としてはせっかく作った馬を消されてしまうわけにはいきません。交換には応じませんでしたが、先手の角が安定してしまいました。

先手は角の利きを生かして1筋の端攻めを決行。後手も馬と飛車の協力で6~8筋から攻めていきます。しかし、角の利きで飛車先を止められてしまい、攻めが頓挫。その間に先手も桂香を取りつつ馬を作って、優勢となりました。後手唯一の主張は馬があるということだったのに、先手にも馬を作られては劣勢は明らかです。

横山七段は手にした香で8筋をようやく突破したものの、大橋六段の攻めを受け流す好手により、相手の玉へ迫ることができません。後手の攻めがもたつく間に、大橋六段は桂2枚と香で5筋に狙いを定め、5三の地点から集中砲火。たちまち横山玉を寄せてしまいました。

これで大橋六段はベスト4に進出。次戦で久保利明九段-飯島栄治七段戦の勝者と対戦します。

大橋六段は2016年10月にデビューした若手棋士。藤井聡太七段と同期です。毎年好成績を残し、通算勝率は7割3分を超えています。また、若手棋戦の第3回YAMADAチャレンジ杯、第8期加古川青流戦で優勝しています。これまでタイトル挑戦に絡む活躍はありませんでしたが、ついにこの王座戦で初挑戦が見えてきました。

藤井聡太七段に勝ち越している数少ない棋士の一人、大橋貴洸六段
藤井聡太七段に勝ち越している数少ない棋士の一人、大橋貴洸六段