• 演出・プロデュースの中江功氏

この制作手法のノウハウを生かして、「シリーズ化したいですね」と意気込む中江氏。

「相手役と芝居が噛み合わないということが絶対ないわけですから、演じるのが好きな役者さんにはたまらないドラマだと思います。放送したら『やりたい!』と言う人、いるんじゃないかな」と期待しつつ、「その代わり、ちゃんと演じ分けないとドラマにはならない、“ただつくり手が楽しむ企画”で終わってしまうので、あらためて今回は林遣都さんで良かったなと思います。やはり彼じゃないと成立しなかった」と再確認した。

■「こういうときこそ、何かやらなきゃ」

本編では“どこにでもいそうな若者3人のアフターコロナ、ウィズコロナの今を切り取ったリアルな物語”が描かれるが、「一番やりたかったのは、この時期に、この環境を生きた人のドラマを作ること。だから、実は1人3役とか、合成とかはおまけなんです」と強調。

「新型コロナに遭遇して、みんないろんなこと経験し、いろんなことを考え、価値観とかも変わったと思うんです。僕にとってもプライベートで悲しい出来事があり、仕事が手につかない時期があったんです。でも、こういうときこそ制作者の端くれとして何かやらなきゃいけない、という思いもあって動き出した企画でもあります」と、今作にかける思いを語っている。

●中江功
1963年生まれ。法政大学卒業後、88年にフジテレビジョン入社。これまで演出を手がけた主な作品は『愛という名のもとに』『ひとつ屋根の下』『若者のすべて』『ピュア』『眠れる森』『空から降る一億の星』『Dr.コトー診療所』『プライド』『ようこそ、わが家へ』『教場』など。映画『冷静と情熱のあいだ』『シュガー&スパイス 風味絶佳』『ロック ~わんこの島~』の監督も務める。