新型コロナウイルス関連の支援策のひとつとして、経済産業省による「持続化給付金」があります。これは、コロナ禍により仕事に大きな支障をきたしている事業者が受け取れるもので、中小企業などのほか、個人事業主やフリーランスも対象となっています。では、この持続化給付金は、誰が、いくら、どのような方法で申請すればもらえるのでしょうか。今回は、持続化給付金の具体的な内容を、個人事業主・フリーランス向けに解説していきます。

  • 持続化給付金、個人事業主・フリーランス向け

持続化給付金の概要

持続化給付金は、新型コロナウイルスの感染拡大により、営業自粛等で仕事に大きな影響を受けている事業者が対象となります。事業を継続し、再起の糧とするために受け取れる給付金であり、事業全般に広く使うことができます。

■対象者

持続化給付金の対象者は、中小企業など「中小法人」と、個人事業主やフリーランスなどの「個人事業者」に大きく分かれます。なお、会社に勤めながら副業をしている人の場合、確定申告を行っており売上高(事業収入)があると認められれば、対象者に含まれます。

持続化給付金をもらうためには、2つの条件を満たしている必要があります。まず、2019年以前から事業をしていて売上高(事業収入)があり、今後も事業を継続する意思があるということです。次に、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(対象月)があることです。対象月は、2020年1月から申請を行う日の属する月の前月までの間で、ひと月を申請者が任意で選択できます。

たとえば、2019年2月の売上高(事業収入)が100万円、3月も100万円だったとします。そして、2020年2月は60万円、3月は50万円だとします。この場合、2020年3月は前年同月比で事業収入が50%減少していることから、持続化給付金の対象月にできます。ちなみに、対象月にできる月が複数ある場合、売上の減少率がより高い月を選択すれば、その分、持続化給付金の給付額が多くなる可能性があります。

一方、事業収入が減少しているにも関わらず、給付対象とならないケースもあります。たとえば、2019年2月と3月の売上高(事業収入)がともに100万円で、2020年2月は55万円、3月は60万円だった場合です。事業収入は減少しているものの、減少率が2月は45%、3月は40%であるため、持続化給付金の給付条件に当てはまらないのです。

なお、これまで持続化給付金の対象外だった2020年1月1日から3月31日までの創業者にも対象範囲を拡大することが検討されています。今年1月から3月末までに創業した人が給付対象となるには、どのような条件をクリアしている必要があるのでしょうか。

この場合、2020年1月1日から3月31日までに創業した事業者であるほか、新型コロナウイルスの感染拡大後の任意のひと月の事業収入が、1~3月までの平均売上高より50%以上減少していることが条件です。

■給付額

個人事業者の場合、受け取れる持続化給付金は、次の1または2のいずれか少ない方になります。

1.100万円(個人事業者の持続化給付金の上限額)

2.2019年の年間総売上(年間事業収入)-(2020年の対象月の売上×12ヶ月)

たとえば、2019年の総売上は1,200万円、2019年と2020年を比較した時、2019年3月の事業収入が100万円、2020年3月の事業収入が40万円で、2020年3月を持続化給付金の対象月にするとします。この場合、「2020年の対象月の売上×12ヶ月」は「40万円×12ヶ月=480万円」となり、上記2の計算式に当てはめると、「1,200万円-480万円=720万円」となります。上記1と2を比較すると、720万円より100万円の方が少ないため、この場合の給付額は100万円となります。

持続化給付金を申請するには

次に、持続化給付金の申請方法を解説します。持続化給付金を申請するには、まず、必要書類を揃えましょう。個人事業者が持続化給付金を申請するための書類は以下の通りです。

<持続化給付金の申請に必要な書類>
・2019年の確定申告書
青色申告の人は確定申告書第1表の控え(1枚)と所得税青色申告決算書の控え(2枚)の計3枚、白色申告の人は確定申告書第1表の控え(1枚)

・2020年の対象月の月間事業収入がわかるもの
売上台帳、帳面その他2020年分の確定申告の基礎となる書類を原則とする

・申請者本人名義の口座通帳の写し
通帳の表面、通帳を開いた1、2ページ目の両方
※電子通帳など紙媒体の通帳がない場合は、画面コピー
※金融機関名、金融機関コード、支店名、支店コード、種別(普通、当座)、口座番号、口座名義人がわかるように

・本人確認書類の写し
運転免許証(両面)、個人番号カード(表面)、写真付きの住民基本台帳カードなど

これらの書類が用意できたら、デジカメで撮影したりスキャンしたりして、PDFまたはJPG、PNGに変換してパソコンに取り込みます。そして、持続化給付金の申請サイトから申請を行います。申請の流れは、以下のようになります。

<持続化給付金の申請の流れ>

1.申請サイトの「申請する」をクリックし、仮登録を行う。仮登録で入力したメールアドレスに送られる本登録の手続き方法に従い、本登録する。

2.本登録でIDとパスワードを入力すると、マイページが作られる。

3.マイページから申請情報を入力し、必要書類のデータをアップロードする。

申請は以上です。その後は、経済産業省の持続化給付金事務局が申請内容を確認し、内容に不備がある時はマイページに通知が届きます。不備がなければ、登録した銀行口座に給付金が振り込まれます。なお、申請期間は2020年5月1日から2021年1月15日までです。

給付の対象となるなら必ず申請を

持続化給付金は、事務局が申請内容を確認のうえ通常2週間程度で振り込まれるとあり、実際に給付金を受け取った事業者も多くいます。一方で、申請開始日に申請したにもかかわらず、未だ振込がないといった声も一部では聞かれます。いずれにしても、給付の対象となっているなら、必ず申請を行い事業継続の資金に活用したいものです。