多くの地域で緊急事態宣言が解除されたとはいえ、新型コロナウイルスが収束するまでには長い道のりが必要と言われています。月々の収入に影響が出ていたり、ウィルス問題がなければ期待できたはずのボーナスも出るかどうかわからなかったり、という方もいるかもしれません。

このような状況のなかで住宅ローンを抱え、返済に苦心されている方も多いと思います。そこで今回は新型コロナウイルスの影響で住宅ローンの返済が厳しいときの対策法について説明します。

  • 新型コロナで収入減! 住宅ローンの返済が厳しくなったらすべきこと、しない方がいいこと※画像はイメージ

一番にやるべきことは、借入れ銀行への相談

住宅ローンの返済が厳しくなってしまう前に、まずは借り入れしている金融機関に相談してみましょう。新型コロナウイルスに関する個人への経済支援は給付金や公共料金等の支払い猶予などに限りません。ローン返済が困難になった方への返済相談サービスなども実施されています。

相談しても返済が厳しいことに変わりないケースはあるかもしれません。それでも何の連絡もしないまま返済が遅れることだけは避けてください。返済が遅れることで数々のデメリットに見舞われてしまいます。たとえば次のようなデメリットがあります。

・金利の高い遅延損害金が発生する
・優遇金利を受けている人は、優遇金利の適用がなくなり金利が上がる(返済額が増える)
・個人信用情報に延滞の記録が残る(信用情報に瑕がつく)

引き続き返済するという意思表示をし、「返済をどうするか」という具体的な方法を探していることを金融機関に伝えることが大切です。

毎回の返済額を減らし、返済を続ける

困難な状況のなかで返済を続けるためには、毎回の返済額を減らす方法があります。1回当たりの返済額を減らすと、完済までの総返済額は増えることになってしまいますが、困難な状況を乗り越えることができれば、少しずつ繰上げ返済をして利息負担を減らすこともできるでしょう。

「フラット35」など、住宅金融支援機構が提供している住宅ローンでは、次の3つの方法で毎回の返済額を減らすことができます。

1:返済期間を延長する
返済特例制度として最長15年間延長(完済時の年齢上限80歳)することができます。

2:一定期間の返済額を減らす
「いつからいつまで」というように一定期間内の月返済額を減らすことができます。

3:ボーナス返済を見直す
ボーナス返済の取り止め、毎月分・ボーナス返済分の返済額の内訳変更、ボーナス返済月の変更などができます。 ボーナス返済分をなくす、減らす場合は毎月返済額が増えますが、ボーナス月のまとまった返済をしなくて済むようになります。

なお、これらを組み合わせることも可能です。変更するためには収入など一定の条件を満たす必要があります。返済中の金融機関または最寄りの住宅金融支援機構支店に連絡してください。

変更手数料の無料化も

フラット35以外の住宅ローンでも、返済期間の延長など柔軟な対応をする金融機関もあります。非常時の特別措置として、ローン返済条件を変更する際にかかる変更手数料を無料化する金融機関もあります。借り入れしている銀行に返済意思をきちんと伝え、相談しながら状況を乗り切ってください。

「貯金取り崩し」は慎重に

トータルでの返済額が増えるのを避けるため、返済方法を見直しするより、当面は貯金を取り崩そうと考える方もいるかもしれません。貯金の取り崩しは困難な状況を乗り切る1つの方法ですが、新型コロナウイルス対策に至っては、長期的視点で慎重に検討するようにしましょう。

たとえば、今はボーナスカット程度の収入減でも、収束までの期間がさらに長びけば、休業、失業というように困難な状況がジワジワと大きくなっていくかもしれません。その時になって貯金額が大きく減っていたということになっては困ります。

もしくは、コロナ問題は収束したものの、後日別の借り入れが必要になる可能性も考えられます。たとえば、子どもの進学資金などが必要になったときに貯金が足りず、後々教育ローンや奨学金の利用が必要になるというようなことがあるかもしれません。

何がベストな方法かは家庭の状況にもよるため一概には言えませんが、住宅ローンを含め、まずは家計支出全体を見直すことが大切です。これまで気づかなかったムダな支出が見つかるかも知れません。その上で、一定期間だけ返済額を減らすようにすれば、総返済額の増え方も抑えることができるのではないでしょうか。

著者プロフィール: 續恵美子

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター
ファイナンシャルプランナー(CFP)

生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢見て退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに--。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動している。エフピーウーマンでは、女性のための無料マネーセミナー「お金の(学び場)」を無料開講中!