テレワークで多いのが「仕事気分になり切れない」という人と、反対に「24時間就業中気分」という人だ。どちらも原因は、オン・オフの切り替えがうまくできていないこと。そこで、在宅ワークの先輩でもあるインテリアコーディネーター&整理収納アドバイザーの中西八枝佳さんに、仕事もプライベートも充実させるテレワーク生活のコツを伝授してもらった。

【Step01】オフには仕事をシャットアウト

「今までオフタイムを過ごしていた場所で仕事をするのですから、最初からうまく切り替えられなくても仕方ありません」と、中西さん。特に1Kやワンルームの場合、終日ずっと同じ部屋にいることになるため、余計にオン・オフの境が曖昧になりやすい。オフタイムになったら物理的に仕事と距離をおき、気持ちを切り替えることが大切だ。

「いつまでも仕事の資料や道具が見えていると、気になって24時間オンタイム状態になりやすいです。仕事が終わったら一式すべて片付け、視界に入らないようにしてしまいましょう。この時、まとめて同じ場所に収納するようにすれば、『あの資料、どこにしまったっけ?』ということもなくなります。オンタイムにはそこから取り出せばいいのですから、仕事を始める時もスムーズ。収納場所はファイルボックスや箱、手持ちのカバンなどで十分です。資料などが多い場合には、普段は使わないスーツケースやキャリーバッグを活用してもいいでしょう」

他にも、「お茶を飲み終わったら仕事開始」「15時にストレッチ」「仕事が終わったら散歩」のように、オン・オフの合図となるようなルーティンを作ると気持ちを切り替えやすい。通勤着に着替えたり、メイクをしたりするのも効果があるので、部屋着のまま仕事をしている人は試してみてもいいだろう。

  • テレワークではオンとオフの区別を意識的につけることが大切

【Step02】部屋の雰囲気を変える照明テク

ずっと同じ部屋でも気持ちを切り替えやすいように、オンとオフとで部屋の雰囲気を変える工夫もしてみたい。聴く音楽を変える、オフタイムになったらアロマを焚くといった方法もあるが、部屋全体の雰囲気を変えるならポイントは照明だ。スタンドライトひとつでも、けっこう変化をつけられる。

「上からの光は日中活動する時のためのものですから、オフタイムはなるべく低い位置から、間接照明を使うとリラックスしやすくなります。大切なのは、直接光源が目に入らないようにすること。間接照明を持っていない人も、デスクライトを持っていれば、その光を壁やカーテンに向けるだけで、それっぽい雰囲気を作ることができます。オンライン会議の時には顔映りをよくするために使えますし、首が動くスタンドタイプのデスクライトはひとつ持っておくと何かと便利です。仕事にも使うことを考えるなら、ライトの色は太陽光に近い昼白色にしておくといいでしょう」

もっと雰囲気を変えたいのなら、スマホアプリで光の色や明るさを変えられるLED電球もおすすめだ。手持ちの照明器具で使える上に、製品によっては変えられる色は1万色以上。オンタイムからオフタイムまで、その時々に合った雰囲気の空間を手軽に演出できる。

  • デスクライトはオンにもオフにも役立つ便利アイテム

【Step03】仕事中もLet's Exercise!

最後に、在宅ワークの先輩として特に気をつけた方がいいことを中西さんにうかがったところ、回答は「運動不足」。

「テレワークでは通勤がなくなりますから、思った以上に体を動かしていない可能性が高いです。そのため、簡単な運動ができるスペースも確保しやすくしておいた方がいいでしょう。最近はオンラインフィットネスがはやっていますが、トレーナーの指導が受けられるように受講者側の部屋を映す場合が多いと思います。オンライン会議のために用意した『映ってもいい場所』は、こういうシーンでも役に立ちます」

仕事中も、意識的に体を動かすことが大事だ。同じ場所でずっと座って作業をしていると、自宅でもエコノミークラス症候群になりかねない。定期的に休憩をとったり、可能なら、時々作業場所を変えて、違う姿勢で仕事をするようにしたい。

「オンラインでの会議や打ち合わせ以外は背景なんて気にする必要がないわけですから、キッチンでスタンディングで作業したり、ベッドやソファで作業したり。ベランダがある人なら、椅子を持ち出してそこで仕事してもいいでしょう。もっと運動したいという人なら、椅子の代わりにバランスボールに座って作業してみるのもいいと思います」

オンでもオフでも充実した時間を楽しもうと思ったら、まずは心身の健康が大切。健康を保ちながら仕事ができる作業環境を整えることが、快適なテレワークの一番のカギと言えそうだ。

  • ベランダ、キッチンなど、時折作業場所を変えてエコノミークラス症候群を予防