新型コロナウイルスの影響により、多くのドラマ収録が見合わせとなっている中、NHKは打ち合わせやリハーサル、本番収録も、直接会わずに行う“テレワークドラマ”『今だから、新作ドラマ作ってみました』(総合テレビ)を制作。きょう8日、女優の柴咲コウが主演を務める第3夜「転・コウ・生」(23:40~24:10)が放送される。

  • NHK『今だから、新作ドラマ作ってみました』第3夜「転・コウ・生」に出演する柴咲コウ、ムロツヨシ、高橋一生、ネコ(左上から反時計回り)

■見どころは俳優たちの熱演「お芝居そのものに支えられている」

同局は「こんな状況だからこそ、ホッとできる時間をドラマでお届けしたい!」との思いで、ほっこりしたり、じんわりしたり、腹を抱えて笑ったり……そんなドラマを企画。放送を前にリモートで取材に応じた編成局編成センター副部長の岡本幸江氏は「先が見えず不安な気持ちになるときに、ちょっとでもいろんなことを忘れて笑ったりすることが…私自身の人生を振り返ってもそうやって物語に支えられてきた気がするので、視聴者の方にエンタメでもって何かお役に立てれば」と語った。

4日に第1夜「心はホノルル、彼にはピーナツバター」(出演:満島真之介、前田亜季)、5日に第2夜「さよならMyWay!!!」(出演:小日向文世、竹下景子)が放送され、きょう8日にラストとなる第3夜「転・コウ・生」(出演:柴咲コウ、ムロツヨシ、高橋一生)が放送される。

企画が動き出したのは4月上旬。社内で内諾を得てから、脚本家と打ち合わせし、キャストへのオファーを行い、2週間後には撮影が始まるという、急ピッチで進んだという。撮影機材はNHKが用意し、キャストそれぞれの場所で自らカメラをセッティングして撮影。衣装とメイクはキャストの自前で行われた。

岡本氏は「俳優とはモニター上で緊密に連絡をとって正直にお互いぶつけあって、できることをお互いに探っていった」と撮影を振り返り、「マルチなスタッフとして俳優部に助けられた」と俳優たちに感謝。見どころは、そんな俳優たちの熱演だという。「登場人物が少ない。舞台設定が変わるわけでもなく、みんな家にいる状況の中、俳優さんのお芝居そのものに支えられている。ものすごい熱のこもったお芝居をしてださっていて、熱演はぜひご覧いただきたい」と力を込め、その貢献度は「120%」と話した。

■新たな挑戦にもひるまない、“座長”柴咲コウの頼もしさ

第3夜は「転・コウ・生」は、「会いたい」と思った人と魂が入れ替わる珍事が発生し……シバサキコウがむろつよしと入れ替わり、今度は、タカハシイッセイとも入れ替わって大混乱するというファンタジー・コメディ。柴咲コウ、ムロツヨシ、高橋一生が出演し、脚本は森下佳子氏が担当。大河ドラマ『おんな城主 直虎』(2017)の脚本家とキャストが再集結した。

『直虎』で制作統括を務めた岡本氏は、「大河ドラマでお世話になった森下さんに相談したら知恵を貸してくれると。そのときの俳優たちにも相談したらぜひ協力したいと言ってくれまして、制作のほうも有志が若手を中心に参加してくれ、制作体制に入ることになりました」と経緯を説明。

また、『直虎』チームの絆について、「年に1回くらい新年会をやったりするくらい。それも全員集まっているわけではありませんが、1年以上一緒にスタッフ、キャストでやってきて、どこかで何かまた新たなチャレンジをしたいという思いはみなさん持っていてくださっていたのかなとは思います」と語りつつ、「今回はそのつながりもあったかもしれませんが、何よりNHKがこういうときにこういった作品を作りたいという思いにすごく共感してくださったのかなと思っています」と推測した。

再びタッグを組んだ柴咲の“座長”としての頼もしさも改めて感じたようで、「やはり、すごく芯の通った女性。新たな挑戦にもひるまないし、一緒に作り上げるんだという思いを…本当にそこが頼りになる方で、すごく芯の強い女優さんだなと思いました」としみじみ。「こういったときにこういったものを作ることが必要なんだという、発信力も非常に優れた俳優さんだなと思いましたし、体力的には本当に大変だったと思いますが、最後まで疲れた顔一つ見せずに走り切ってくださるそのお姿も、座長というか、中心にいるべき女優さんだなと、とてもとても思いました」と感謝の思いを込めながら語った。

そんな柴咲の熱演、そして『直虎』キャストの息の合った芝居に期待がかかる第3夜。ムロのアドリブも飛び出したのか気になるが、岡本氏は「ムロさんって実はものすごく台本に忠実。台本をうまく膨らましていく方なんです」と前置きした上で、「インスタライブのシーンでちょっとした工夫をされていました。柴咲コウさんと入れ替わるのですが、“柴咲コウが中に入ったムロツヨシ”が壮絶に面白くて、本番になるにしたがってお芝居が大きくなっていって、みんなゲラゲラ笑いながら見ていました」と注目のシーンを紹介してくれた。

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