2019年に公開されたアメリカ映画『フォードvsフェラーリ』。主演のマット・デイモンとクリスチャン・ベールの好演もあって、非常に高い評価を受けた作品だ。同作は同時に、「フォード」と「フェラーリ」という異なったキャラクターを持つ2つの自動車メーカーの間に、かつてあった確執を浮き彫りにして大きな注目を集めた。
ともに魅力的な車を作り続けてる両社だが、購入するとすればどちらを選ぶだろう。今回はマイナビニュース会員404人にアンケートを実施し、「フォード」と「フェラーリ」ではどちらが欲しいかを聞いてみた。
Q.あなたは車のメーカーやブランドに強いこだわりを持っていますか?
「はい」(66.1%)
「いいえ」(33.9%)
Q.「はい」と答えた人にお聞きします。以下の2つの車を購入できるとなったら、どちらが欲しいですか?
「フォード」(21.0%)
「フェラーリ」(79.0%)
■フォード派の意見
・「フェラーリは乗りにくそうなので、自分に合わない」(48歳男性/旅行・観光/販売・サービス関連)
・「フェラーリは、車好きの走り屋のイメージがあるので。フォードはお洒落なイメージ」(39歳男性/流通・チェーンストア/営業関連)
・「フェラーリは、座り心地があまり好みではなかったから」(34歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「フェラーリは若い人向きで、カッコイイとは思うが自分には不釣り合いな感じがある」(61歳女性/医療用機器・医療関連/専門サービス関連)
・「どちらも日中の道路事情に合うとは言えないが、フェラーリよりはフォードの方が乗りやすそうな印象」(51歳男性/ビル管理・メンテナンス/技能工・運輸・設備関連)
・「フェラーリはミーハーとか成金のイメージが強いので……」(41歳男性/通信関連/事務・企画・経営関連)
・「フェラーリは乗りにくいし、日本では実用的じゃない」(47歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「映画で見て、フォードの方に肩入れしたくなった」(44歳男性/サービス/専門サービス関連)
■フェラーリ派の意見
・「やっぱり夢のフェラーリでしょ!」(57歳女性/サービス/専門サービス関連)
・「イタリアの高級車の代名詞は、フェラーリでしょう。これに乗りたいのに決まってます」(59歳男性/サービス/専門サービス関連)
・「文句なくフェラーリでしょう。誰もが目を向ける、赤い車体にエンブレム、そしてエンジン音!」(46歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「フェラーリはイタリアの高級ブランドなので、昔、スーパーカーとして憧れました」(52歳男性/不動産/その他・専業主婦等)
・「高級車といえばフェラーリ。ぜひ乗りたい、欲しい車の一つですね。フェラーリのあの独特のエンジン音はたまりません! 絶対に乗りたいです。加速した時のGもたまらないです」(47歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「F1・ハイクラス・セレブリティなど、完璧な車!」(49歳女性/設計/建築・土木関連技術職)
・「夢のようですが、フェラーリですね。高級車であり、注目度があります。でも、乗っている人が緊張しそうですね」(46歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「イタリアンデザインによる華麗なアウトアピアランスや、フェラーリミュージックと言われる官能的なエンジン音に魅了される」(56歳男性/専門商社/事務・企画・経営関連)
・「F1の影響かもしれませんが、フェラーリは『速い』『カッコイイ』というイメージがある。赤というイメージカラーも良い。漫画の影響も多少あり」(51歳男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/営業関連)
・「美しいフォルムと、一目見ただけでフェラーリとわかるデザイン。エンブレムを外したとしても、フェラーリと認識できるデザインはとても魅力的です。パフォーマンスの面でも、過去の車種を見ても遅い車種は一つもありません。数々のレースに参戦した実績が活かされていると思います」(52歳男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「フェラーリは、スポーツカーとしてほぼ究極。フォードは、GT40でしか勝てない」(52歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「2カ月ぐらい乗りたい。その後、転売」(53歳男性/医療・福祉・介護サービス/その他・専業主婦等)
■総評
調査の結果、「フォード」を購入したい人は21.0%、「フェラーリ」は79.0%と、「フェラーリ」が8割近い支持を集め圧勝した。男女別に見てみると、男性では「フォード」16.9%/「フェラーリ」83.1%、女性は「フォード」37.0%/「フェラーリ」63.0%と、相対的には「フォード」への共感は女性の方が強いという結果となった。
それぞれ、その車を選んだ理由を尋ねた。「フォード」では、「乗りやすそう」「実用的」「お洒落なイメージ」などのワードが見られた。一方の「フェラーリ」は、「高級車の代名詞」「完璧」「速い」「カッコイイ」「究極」などが印象的だ。
総じて「フォード」を推す人の意見としては、フェラーリは「乗りにくそう」「ミーハー」「恥ずかしくて乗れない」「自分には合わない」「若い人向き」なので、そのカウンターとして「フォード」を選ぶ、という思考が存在しているようだ。「フェラーリ」には、「究極のスポーツカーなので、乗れるなら乗ってみたい」という、どこか現実離れした感覚がつきまとう。
今回、「フォード」と「フェラーリ」の2つを対比させるかたちでどちらがより好みを聞いたが、自動車メーカーとしての成り立ちは相当に違っている。1900年代の初頭にヘンリー・フォードによって創業された「フォード」は言うまでもなく、アメリカを代表する大衆車メーカー。自動車の大量生産工程、いわゆるフォード生産方式「フォーディズム」は製造業に革命をもたらし、現在まで続く自動車産業の隆盛に決定的な影響を及ぼしている。
一方の「フェラーリ」は1947年、元レーシングドライバー兼レーシングチームオーナーであったエンツォ・フェラーリによりイタリアで創業。以来、一貫してレーシングカーと高級スポーツカーのみを製造し、現在まで4ドアセダンを作ったことはない、とされる。いまに至るも、「きわめて高性能かつ高価格のスポーツカーを製造するメーカー」というステイタスにまったく揺るぎはない。
上記のように、本来はまったくフィールドが異なる両社だが、冒頭でも触れた映画『フォードvsフェラーリ』(Ford v Ferrari)によって、その因縁めいた関係性が大きくクローズアップされることになった。映画は「フォード」サイドに多分に感情移入した作りになっていることもあり、レース史におけるフォードの存在感の大きさを改めて認識した人も多いかもしれない。今回寄せられたコメントの中にも、フォード派「映画で見て、フォードの方に肩入れしたくなった」や、フェラーリ派「フォードはGT40でしか勝てない」といった、映画の内容を踏まえたものも見られた。
また、先に触れた「フォード」への共感が女性でやや強い理由としては、70年代の日本でのスーパーカーブームの際に神格化された「フェラーリ」のイメージが、かつての少年たちほどには少女たちには響いていなかったことも理由かもしれない。「フェラーリって乗りにくそう」という至極真っ当な感想は、現実的な女性目線からすれば当然のものだろう。
折からの新型コロナウイルス騒動で、外出もなかなかままならない毎日。間もなくソフトが発売予定となる『フォードvsフェラーリ』を見て、男たちが繰り広げる熱きドラマに見入るのもいいかもしれない。
調査時期: 2020年4月16日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 404人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません