立ちすくむ20代のあなたに贈る「明日のために」有効な処方箋

新型コロナが生み出した未曽有の災厄は、世界を今後どう変えていくのだろう?それはまだ誰もわからない。しかし、この体験はこれまでの価値観や働き方を間違いなく揺るがし、「Z世代」の生き方をも左右するだろう。

  • 「自分は何者か」にこだわる新世代の若者たち。それがZ世代だ(3)

やがてくるアフターコロナの時代に備え、自分のビジネスパーソンとしての免疫力をどうアップすべきかなのか?より具体的な処方箋について、ライフシフト研究所所長の豊田義博さんに聞いてみた。

「正解」がない時代。答えは仲間とともに創るもの

「Z世代」がアフターコロナを生き抜くためのヒントの1つが、リクルートワークス研究所が提示するこれからの学びのモデルだ。これは従来の机に座って先生から「正解」を聞く学びではなく、自分の疑問や気づきを発信しながら仲間と一緒に考え、新たな考えを創造していく学びのスタイルだ。

図のように前回の考動学(2) で触れた小さなアウトプット(やってみた! )→フィードバック(いいね! )→アンラーニング(それまでの考えを捨てて再構築する)→クリエーション(創造する)というサイクルを回すことで、新たな自分を発見することができる。これであなたが進化していけば、いつかクラウドファンディングでアイデアを事業化することだってできるかもしれない。

  • アウトプット型学リサイクル

    これからの学びは、発信(=アウトプット)からはじまる、4つの活動を回し続けていくプロセスに埋め込まれる。出典:リクルートワークス研究所 学びプロジェクト,「創造する」大人の学びモデル vol.2 ~アウトプットからはじまる、学びのサイクル~

人生の主人公になるための5つのステップとは

「『何者か』になるというのは、言い換えれば自分が人生の主人公になるということです。私が所属するライフシフト・ジャパンでは『ライフシフト5つのプロセス』として、主人公になるプロセスを示しています。

第1ステップが『心が騒ぐ』。つまり今の自分に対して疑問や不完全燃焼間を感じている状態。これを抜け出すには『旅に出る』というプロセスが必要です。つまり、思いついたことをすぐにやってみたり、新しい世界に積極的に飛び込んでみたりする過程です。

そこから新しい自分との出会いやより深い学びを得ることが、主人公としての自分を取り戻すことにつながります。しかし、多くの人は意外にこの『旅に出る』というアクションをしません。だからライフシフトストーリーが回っていかないんです」(豊田さん)

  • ライフシフト5つのプロセス

    主人公として人生を楽しむためには、この5つのプロセスを通じて学び行動することが必要。@ライフシフト・ジャパン株式会社

「旅に出る」という喩えには、前述した小さなステップにより「非日常に触れる」ことや「異なる人」との出会いという意味合いも含んでいる。専門の違う人、年齢の違う人、現場の違う人、国籍の違う人、考え方の違う人との出会いだ。会社の人脈やこれまで付き合いのある人たちとは異なる文化、考え方を持っている人と会い、フィードバックをもらう。それによって凝り固まったものの考え方やそれまでの価値観が変わっていく。

「新しい価値観と出会うことで、意図しなかった化学反応が自分の中で起きる。それは時にはショッキングなものだったりするかもしれません。しかし、そういう化学反応や新しい関係性を結ぶことで人は変わっていきます。そういう機会、時間を自分の中でどうやって作り出すかが大事なんです」(豊田さん)

  • 新しい自分はとの出会いは「旅に出る」ことから

    新しい自分はとの出会いは「旅に出る」ことから

あえて何もしない時間を創り、「内省」する

それまでの習慣を「やめてみる」ことも時に必要だと豊田さんは語る。

「Z世代は、自分が無為な時間を過ごしている状態が耐えられないそうです。“おうち時間”もひたすらスマホやネットで旬の話題をピックアップしたり、仲間と繋がったりしていないと落ち着かない。携帯もなかった時代には、ぼーっと何もしない、よく言えば内省する時間がもっとたくさんありました」

自分が変わろうとする時、新しい何かを取り込もうとする時間はもちろん大事だが、それだけで内省をしないため、一向に変われない人も大勢存在する。例えば半日はスマホいじりをやめると決め、仕入れた情報を消化して、それまでの考えをリセットする『アンラーニング』に徹する時間に充てることも時には必要だ。わずかな時間であっても自分との対話を1年間続ければ、自分の中で劇的な変化が起こると豊田さんは断言する。

関係性を変えるためには、まず相手を知ること

最後に日々の社内で取るべき行動についてはどうだろうか。もしも、あなたが不本意ながら上司に対し、心のシャッターは下ろしてしまった状態にあるとしたら、それはあなたにとってもメリットは何一つないはず。

「上司との関係性を改善したいという気持ちがあっても、まずは相手を知ろうとしない限り、関係性は変わりません。しかし言うは易く、行うは難しで、あなたから苦手な上司にアプローチするのはなかなか勇気がいることでしょう。ここは例えばリモート会議の空き時間にでも心のシャッターを少し上げて、『課長ちょっといいですか』と声をかけてみたらどうでしょう。

そして就活で先輩に質問したように『なぜこの会社を選んだのか』『何のために働くのか』『これからどうありたいのか』といったベタな、直球の質問を投げてみることをお勧めします。多くの上司は、おそらくその人なりの言葉で自分の生きざまを語り出します。これが職場における『小さな一歩』になるはずです」

  • 小さな一歩

まだまだ先が見えないコロナ後の社会。誰もが不安で自信をなくしているのが今の日本だろう。でも転換期のこんな時こそ、新たな価値観、働き方も生まれてくる。来るべき社会状況の変化に備えるためにも、「小さな一歩」を大切に、主人公としての自分を取り戻してほしい。

豊田義博(とよだよしひろ)

ライフシフト・ジャパン株式会社 取締役CRO/ライフシフト研究所 所長。リクルートワークス研究所 特任研究員。20代の就業実態・キャリア観・仕事観、新卒採用・就活、大学時代の経験・学習などの調査研究に携わる。著書に『なぜ若手社員は「指示待ち」を選ぶのか?』(PHP研究所)『若手社員が育たない。』『就活エリートの迷走』(ともにちくま新書)、『「上司」不要論。』(東洋経済新報社)などがある。