新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ほとんどのテレビ番組の収録が休止状態にある中、タレントと同様に仕事が減ってしまっているのが、バラエティやドキュメンタリーなどで欠かせないナレーターの人たちだ。

最近は、タレントが自宅などから“リモート出演”するケースが増えているが、それはナレーション収録でも可能なのだという。『電波少年』や『めちゃ×2イケてるッ!』で知られ、現在は『がっちりマンデー!!』『芸能人格付けチェック』などのナレーションを担当する木村匡也氏に話を聞いた――。

  • 「これだけでゴールデンタイムの番組ナレーションができます!」とアピールするナレーターの木村匡也氏

    「これだけでゴールデンタイムの番組ナレーションができます!」とアピールするナレーターの木村匡也氏

■自宅からでも放送品質に

現在、スタジオやロケ収録がほとんどの番組で休止状態になっていることに伴い、ナレーション収録も「ほぼ止まっています。期末期首の時期だったので、いくつか特番の発注もあったんですけど、これもなくなっている状況です。主にやっているのは、再放送や総集編の放送にあたっての修正のナレーション収録ですね」(木村氏、以下同)。

編集室にナレーターを呼んで感染させてしまうなどのリスクを恐れ、ロケ収録が完了したにもかかわらず、放送で出せないケースもあるそうだ。周囲のナレーターたちも、同様の状況だというが、木村氏は「ナレーションは、テレワークでできます」と訴える。

そのやり方は、映像を見ながら、パソコンにつないだ感度の高いコンデンサーマイクで録音し、そのデータを編集室に送信するという手法。これにより、自宅からの“リモート録音”でも、放送品質に仕上げることができると胸を張る。

LINEやSkypeなどで通話しながら作業を進めれば、録り直しや演出の指示も、リアルタイムで対応可能。「ビデオ通話にすれば顔を合わせてやり取りできますし、今までの現場と違うことを挙げるとすれば…スタジオにいないことくらいですね(笑)」と環境は整っている。

■マイクの価格は1万円程度

マイクをつなぐのは、iPhoneでも大丈夫だそうで、「世界のミュージシャンが、iPhoneやMacのパソコンを使って、ニューヨークのギター、サンパウロのドラム、ロンドンのサックス、東京のボーカル…という感じで演奏したり歌ったりしてセッションできるような仕組みがいっぱいあって、そのおかげで機材やアプリがものすごく発達しているんです」と、その背景を語った。

木村氏が使っているマイクは、IK MULTIMEDIAの「iRig Mic HD」という機種で、価格は1万円程度。「だから誰にでもできるんです。私が知ってるだけで、10人くらいは導入していて、2~3人は番組にも使っていますし、青空文庫の小説を朗読してYouTubeにアップしている声優さんもいらっしゃいますね」と、周囲では広がりつつある。