NTT東日本と情報処理推進機構(IPA)は4月21日、新型コロナウイルスに関する政府の緊急事態宣言や在宅勤務への社会的要請を受け、国内の感染拡大防止と事業継続を支援するため、契約不要・ユーザー登録不要で利用可能な、無償のシンクライアント型VPNを活用した「シン・テレワークシステム」を開発し、提供開始した。Webサイト、ダウンロードはこちらを参照

同システムは、10月31日まで実証実験として開放し、アプリケーションを職場や大学などで利用しているパソコンにインストールするだけで、自宅パソコンから職場パソコンの画面にVPN接続して作業できるようになるという。各種インターネット回線で利用を可能とし、同社との契約やユーザー登録は不要。

インターネットに接続されているパソコンであれば離れたところにあるパソコンに対して、どこからでも接続ができ、すべての通信がSSLにより暗号化される。また、グローバルIPやルーター/ファイアウォールの設定は不要となり、一般的な企業で導入されているHTTPプロキシ型のファイアウォールにも対応している。

  • 「シン・テレワークシステム」によるリモートアクセスイメージ

    「シン・テレワークシステム」によるリモートアクセスイメージ

同システムは、NTT東日本 新型コロナウイルス対策プロジェクト 特殊局(仮設)およびIPA産業サイバーセキュリティセンター サイバー技術研究室が共同で構築し、筑波大学OPENプロジェクト、KADOKAWA Connected、ソフトイーサなど複数組織の連携協力によるもの。

これらの連携協力組織で研究、開発または整備されてきた各種ソフトウェア技術や実験用通信インフラを1つに統合して、緊急で構築したものであり、無保証かつ非営利で一時的に開放するもの。

同システムは、オフィスをはじめパソコンやファイルサーバなどにアクセスしなければ継続困難な仕事や研究を実施している各企業の社員や大学の学生・研究者が新型コロナウイルスの感染リスクのある時期に出勤をすることなく、できるだけ普段通りに活動継続できるようにすることを目的として、研究開発中の技術の実証実験を兼ねて緊急的に無償提供する、ソフトウェアおよびVPN 通信システム。

同社によると、新型コロナウイルスの急激な感染拡大下においても、企業や大学の多くは本格的なシンクライアントやVPNなどのテレワークシステムは十分に整備されておらず、ユーザー登録や契約、課金などの事務手続きに時間を要するなど、本格的なソリューションの導入には時間的余裕が不足していると指摘している。

このような緊急時においては、即日、ユーザー登録不要で、誰でも利用可能なシンクライアントの仕組みが必要とされているという。そこで各者が連携し、同システムを短期間で構築・提供開始することにした。