NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)で、織田信長の父・織田信秀役を熱演してきた俳優の高橋克典。念願の大河初出演となった本作で、本木雅弘演じる斎藤道三との激しい戦いや、染谷将太演じる信長に対する激怒シーンなど、迫力ある演技で存在感を放ってきた。今川勢との戦いで重傷を負い、自分の命が長くないことを悟ってからの葛藤や切なさも見事に表現。5日に放送された第12回「十兵衛の嫁」でついに息絶えた信秀を演じきった高橋が、本作への思いや撮影エピソードを語った。

  • 『麒麟がくる』織田信秀役の高橋克典(手前)と帰蝶役の川口春奈

高橋は、本作の信秀について「番組プロデューサーより今まで言われていた信長のイメージを信秀が請け負ってほしいと言われました」と明かし、「その割には、戦に出て行っては負け、気持ち切り替えて勢いよく出て行くけど、また負けるという(笑)」とツッコミ。「信秀は疲れきっていて、もう運もなく、体には毒も回ってきている。それを自分でも見切っているんですよね」と説明する。

そして、「それでも力を振り絞って元気には見せていますが、内側はどんどん痩せていきます。ですから、あまり剛毅なところが見せられなかったので、少し残念でした。もうちょっと暴れたかったですね」と本音を吐露しつつ、「自分は元気だと見せながらも内側はどんどん弱っていき、さらに息子たちを見るとふがいなくて『ああこの運も俺かぎりかな』と思ってる信秀を、自分なりには精いっぱい演じました」と語った。

ついに第12回「十兵衛の嫁」で息絶えた信秀。高橋は「今回は信秀の最期が描かれました。信秀から信長へと時代が変わっていくところですが、ここからが新しい時代の幕開けです」と解説し、「撮影初日に撮ったシーンでしたが、なかなかいい死に方をさせていただきましたし、そんな信秀の最期を演じることができて、寂しいながらもとてもうれしく光栄に思っております」と胸を張る。

また、主演の長谷川を「非常に爽やかで、滑舌がよくて歯切れよくセリフが入ってくる俳優さん」と称賛。「今はまだ若く爽やかですが、いろんなことが周りで起きていき、彼の中で沈殿していって最後があるんだと思います。今はいろんな人に出会っていて、経験と出来事がその人を作っていきますので、そこの無垢さをよく演じられているなと思っています。光秀のこれからの成長がとても楽しみです」と今後への期待も述べた。

さらに、帰蝶役の川口春奈についても「かわいくて、でもまっすぐで芯の強さがありました。本当のじゃじゃ馬のような感じではなく、純粋さを感じました」と共演した印象を告白。ラストシーンについて誇らしげに語っていた高橋だが、「それにしても信秀としてもうちょっと出演して、いろんな方とお芝居をしたかったですね」と、まだまだ初の大河出演を楽しみたかったようだ。

(C)NHK