俳優の窪田正孝が主演を務めるNHKの連続テレビ小説『エール』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか)が30日にスタート。窪田にインタビューし、本作で描かれる夫婦の形や、妻役の二階堂ふみについて話を聞いた。
朝ドラ102作目となる本作は、全国高等学校野球大会の歌「栄冠は君に輝く」や阪神タイガースの歌「六甲おろし」など、スポーツシーンを彩る応援歌の数々を手掛けた福島県出身の作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)氏と、妻で歌手としても活躍した金子(きんこ)氏をモデルに、音楽とともに生きた夫婦を描く物語。古関氏をモデルにした主人公・古山裕一を窪田、妻となる関内音を二階堂が演じる。
■妻役・二階堂ふみの“説得力”ある演技を絶賛
男性が朝ドラの主演を務めるのは、玉山鉄二が主演を務めた2014年度後期の『マッサン』以来6年ぶりとなるが、窪田は「主役だからどうという考え方はあまりなく、僕の中で一番の朝ドラの顔はふみちゃん。彼女が一番輝ける瞬間をたくさん作れたらいいなと思っています」と語る。
そして、二階堂演じる音のモデルである金子氏について「古関さんよりもどんどん前にいく方だと聞きました。先にレコード会社と契約して、『うちの旦那なめんじゃないよ!』って、すごい奥さんだなと。いつの時代にも強い女性はいると思うし、この夫婦像が戦前の日本にもやっぱりあって、金子さんは先駆けの女性だなと思います」と印象を述べ、「精神の強さもそうだし、自分に嘘がつけないまっすぐな人だったとお聞きしていて、ふみちゃんがそこをすごく説得力を持って演じてくれるので、違和感なく、きっと金子さんってこういう人だったんだなと思いながら横で見ています」と、二階堂の演技に信頼を寄せる。
さらに、二階堂について「すごく臨機応変に対応される方で、人を立てるのがうまい女優さん。考えるよりも感覚で、今ここにいないほうがいい気がするとか…」と絶賛。「吉田(照幸)監督も瞬発的な方で、みんなの意見を聞いて臨機応変に対応してくださる。みなさんそれぞれ、人に言われたら自分が持っているものを流そうという感覚があるなという印象は感じます」と、キャストもスタッフも柔軟性を持って作品作りをしているようだ。
■理想的な夫婦の形「お互いにないものを補い合っている」
また、裕一と音の夫婦の形は理想的だと感じているようで、「同じ音楽だけどジャンルが違って、作曲家と声楽家というところで、お互いにないものを補い合っているのはすごく理想。自分が作曲している曲を、音が夜食を持ってきてくれたときに『一瞬歌ってくれない?』って歌ってもらって、そこからヒントを得たり、すごい理想ですね。同業者の夫婦だといろいろ話せることもあるし、理解し合えることもあるし、その部分ではすごく強みだと思います」と語った。
続けて、「音さんはきびきびしていて、自分のやりたいものを明確に導いてくれる奥さんなので、迷ったときでもこの人がいてくれるだけで…。でも外に出たら、ちゃんと後ろに下がっている。そして基本的には横で手をつなぎ合っているというのはすごくいいことだなと思います」と話し、「ケンカもすごくするんですけど。あんまり怒らせちゃいけないなと。すごくふみちゃん演じる音さんが怖いんです(笑)。突き放され方がショックでした。そのシーンの前までラブラブだったのに」と補足。「やっぱ平和が一番だなと思います」と笑った。
裕一と音は文通で愛を育んでいくが、「手紙から始まる交流、とてもいいと思います。中学生のときにちょっとだけ文通していたことがあって、思い出しますね。文通っていいなって」と照れ笑い。「今はメールとかLINEとか便利ですけど、音さんからの手紙はいまどきのハートや音符が描いてあったりしてかなりおしゃれ。実際にそうだったみたいで、いろんなデザインが描かれていてかわいらしく、ちょっと照れくさくもなりました」と打ち明け、「文章だと厳格な感じがあるんですけど、紐解いて読んでいくとすごいイチャイチャしている。出会うべくして出会ったんだろうなと感じました」と、文通の内容からも2人の運命を感じ取ったようだ。
窪田正孝
1988年8月6日生まれ、神奈川県出身。2006年にドラマ『チェケラッチョ!! in TOKYO』(フジテレビ)で初主演を務める。2012年、映画『ふがいない僕は空を見た』でヨコハマ映画祭最優秀新人賞、高崎映画祭最優秀助演男優賞。2014年度前期NHK連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインに想いを寄せる青年・木場朝市を演じ、お茶の間の注目を集める。主な出演作品は、ドラマ『平清盛』(NHK)、『ケータイ捜査官7』(テレビ東京)、『Nのために』(TBS)、『デスノート』(日本テレビ)、『ヒモメン』(テレビ朝日)、『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ)、映画『東京喰種トーキョーグール』など。
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