新型コロナウイルスの影響により、2020年の[確定申告期限は4月16日までに延長されました。現在、書類などを集めて、確定申告の準備に取り組んでいる方もいらっしゃるかもしれません。所得税の負担を軽減できる「医療費控除」について、申告を忘れているものはありませんか。今回は特に、「医療費控除」の対象となるかもしれない、眼鏡やコンタクトレンズの費用について、チェックしていきましょう。
眼鏡とコンタクトは医療費控除の対象?
近視や遠視のために、眼鏡やコンタクトレンズを使って視力を矯正している方は多いですね。また、年齢を重ねるにつれて近くのものが見えにくくなる、いわゆる「老眼」の症状のために、老眼鏡を使用している方もいます。さらに、お洒落のアイテムとして、目を大きく見せるようなカラーコンタクトレンズをつけたり、日焼け防止や花粉対策として、サングラスや伊達眼鏡をつけたりしている人もいます。
残念ながら、今ご紹介した眼鏡やコンタクトレンズは、医療費控除の対象ではありません。近視や遠視など、日常生活の必要に基づき購入するようなものは、医療費控除は受けられないことを頭に入れておきましょう。
レーシックは医療費控除の対象になる!
しかし、すべての眼鏡やコンタクトレンズが対象外というわけではありません。治療を必要とする症状があり、眼鏡やコンタクトレンズによって、医師による治療が実際に行われている場合は、医療費控除の対象となります。
具体的な目の症状としては、以下のような例が挙げられます。
■弱視
■斜視
■白内障
■緑内障
■難治性疾患(調節異常)
■不等像性眼精疲労
■変性近視
■網膜色素変性症
■視神経炎
■網脈絡膜炎
■角膜炎
■角膜外傷
■虹彩炎)
例えば、視機能が未発達の子どもが視力の発育を促すために眼鏡を購入した場合や、白内障の患者が視機能回復のために一定期間装用する眼鏡の購入費用は、医療費控除の対象となります。
また、「オルソケラトロジー(角膜矯正療法)」と呼ばれる、近視などの角膜の屈折異常を特殊なコンタクトレンズを使って、視力の回復を図る治療をする場合なども医療費控除の対象となります。
さらに、眼鏡やコンタクトレンズではありませんが、いわゆる「レーシック」と呼ばれている視力回復レーザー手術は、視力を矯正する手術なので、医療費控除の対象となります。2019年にこのような治療を受けた方は、申告をすることによって控除を受けられます。ぜひチェックしてみましょう。
医療費控除に必要な書類は?
医療用の眼鏡やコンタクトについて、実際に医療費控除を申告する場合には、疾病名と治療を必要とする症状が記載された眼鏡の処方箋の写しを確定申告書に添付するか、提示することが必要となります。
なお、確定申告の際には、「医療費控除の明細書」の欄外余白などに「発行年月日」「処方箋の名称」「医師の氏名等」を記載することにより、確定申告書への添付等を省略しても差し支えないとされています。ただし、添付を省略した処方箋の写しは、医療費の領収書とともに確定申告期限等から5年間自宅等で保存しなければならないので、なくさずにとっておきましょう。
「自分の眼鏡やコンタクトレンズの購入代金が、医療費控除の対象となるのか分からない」「具体的な書類の作成方法が知りたい」などの疑問点がある場合は、国税庁のホームページ「医療費控除の対象となる医療費」や、「確定申告特集」のページをチェックするのがおすすめです。さらに、自分の住んでいる地域の税務署に問い合わせをして確認することも可能なので、疑問点がある方は早めに相談するといいでしょう。
いかがだったでしょうか。2020年の確定申告期限まで、残りわずかとなりました。今回ご紹介した内容を参考にしながら、忘れている医療費控除がないかを最終確認して、もれなく申告するようにしましょう。
下中英恵
女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャル・プランニング技能士)。第一種証券外務員、内部管理責任者。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は東京において、資産運用や税制等多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っている。 エフピーウーマンでは、女性のための無料マネーセミナー「お金のmanaVIVA」を無料開講中!