――天星は、亡くなった祖父・浩(こう)さんの影響を受けてギターの練習を始めますが、濱田さんはどのくらいギターを練習されたんですか?

半年くらいかけて練習しました。天星が初めてギターを弾こうとするシーンは「自分も最初は弦を上手く押さえられなかったな」と思いながらやっていましたね。左手の指先がすごく痛くて硬くなるんですが、ギターをやっている人の指だなあと思って、少しうれしかったです。

――演奏を披露するシーンでは、緊張されましたか?

すごいプレッシャーでした。共演のオーケストラの皆さんやスタッフさんたちも、実際の天星さんの演奏を知っているので、余計緊張しました。現場に入るときは「今すぐホテルに帰って寝たい」と思ってしまうくらいでした。でもすごく素敵なシーンになったと思うので、ぜひ見ていただきたいです。

――今回は、福岡弁にも挑戦されましたが、難しいセリフはありましたか?

話を聞き返す時に使う「なん?(何?)」というセリフに一番苦労しました。短い言葉だからこそ、イントネーションの違いがはっきり分かってしまうんです。方言指導の方に毎回直してもらっていました。

――福岡での撮影でしたが、グルメは堪能できましたか?

ラーメンが大好きなので、3~4回は食べに行きました。1杯500円くらいで食べられるのがすごいですよね! 屋台のシーンでは、僕と矢本(悠馬)さんは紅生姜を入れたりして、本気で味わっていました。めちゃくちゃおいしくて、2人で替え玉までして食べてましたね。

一度、お母さん役の西尾(まり)さんと一緒にラーメンを食べに行ったんです。食べるのに集中し過ぎて、2人とも無言でした。無言で食べて、無言でお店を出ました(笑)

■一途に捧げる愛「めちゃくちゃカッコいい」

――天星は、浩さんの生き方を知り、その気持ちに応えようとすることで、人生が大きく変わっていきます。濱田さんにとって、今まで転機となった作品はありますか?

作品でいうと『ウルトラマンジード』(17年)です。ウルトラマンになりたいという自分の夢がかなった作品でもあります。放送が終了してもシリーズは続いているので、イベントに呼んでいただけたり、映画が作られたりするんです。子供たちにとって、僕はウルトラマンでもあることが、自分の中でとても大切なものになりました。

自分がそうだったように、小さな子供たちが僕を「ウルトラマンだ、カッコいい!」と思ってくれる。それは、時が経っても変わらないものだと思うんです。その笑顔を守っていかなければいけない。ウルトラマンであり続けるためにも、役者として生涯現役でいなければ!という気持ちを持つことができました。

――『天国からのラブソング』は、浩さんの一生を通じた夫婦の愛の物語でもあります。19歳の濱田さんには、どう映りましたか?

こういう夫婦っていいなあと思いました。男性が一途に愛を捧げて、死んでも奥さんのことを守り続ける。自分が歳を重ねて、こういうことができたら、めちゃくちゃカッコいいんだろうな思います。料理もして、奥さんに尽くして、愛情を伝えられるのがすごいですよね。女性目線からはどう思うんだろうなというのが気になります。

完成した映像を見て、本当に素敵な作品になったと思いました。演奏シーンも素晴らしいので楽しんでいただきたいと思います。浩さんの口癖の「お好きにどうぞ」という言葉があるんですが、その意味を知ってもらって好きになってもらえたらうれしいですね。

●濱田龍臣
2000年生まれ、千葉県出身。大河ドラマ『龍馬伝』(10年)で幼少期の坂本龍馬役、実写版『怪物くん』で市川ヒロシ役を演じたことで一躍有名に。16歳で『ウルトラマンジード』(17年)の主人公に抜てき。そのほか、ドラマ『モブサイコ100』、『花のち晴れ~花男 Next Season~』、映画『記憶にございません!』などに出演。今年は『劇場版ウルトラマンタイガニュージェネクライマックス』が3月6日に公開予定。夏には三谷幸喜 作・演出の舞台『大地』への出演も控えている。