公開初日を迎えた東映Vシネクスト『仮面ライダージオウNEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』(監督:諸田敏)の舞台挨拶が2020年2月28日、東京・新宿バルト9にて開催され、主演を務める押田岳ほか『仮面ライダージオウ』の主要キャストが集まり、つめかけたファンの前で作品の撮影秘話や苦労話などを語り、大いに盛り上がった。

  • 左から兼崎健太郎、板垣李光人、奥野壮、押田岳、大幡しえり、紺野彩夏、諸田敏監督

『仮面ライダージオウNEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』は、2018年から2019年にかけて放送された『仮面ライダージオウ』のスピンオフ作品。仮面ライダージオウ/常磐ソウゴと共に"アナザーライダー"と戦った仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツ(演:押田岳)を主人公にして、テレビシリーズ最終回の"その後"の物語が描かれる。

歴代仮面ライダーの力を手に入れ「魔王」となった仮面ライダージオウ/常盤ソウゴ(演:奥野壮)が作り出した「新しい時空」、それはソウゴ、ゲイツ、ツクヨミ(演:大幡しえり)たちが"ふつうの高校生"となり、ウォズ(演:渡邊圭祐)も知らない未来を生きる世界だった。ストーリーはソウゴやツクヨミと共に高校生活を送っていた明光院景都(ゲイツ)が、ふたたび「時の救世主」として邪悪な"敵"と戦うべく、仮面ライダーゲイツに変身する……という内容。『ジオウ』テレビシリーズでも活躍していた諸田監督は、本作ではゲイツやソウゴたちの高校生活にウエイトを置いた「学園青春ドラマ」のテイストを導入し、明るく楽しく、少しほろ苦いゲイツたちの青春群像を活き活きと描いている。

MCを務める篠宮暁(オジンオズボーン)の呼び込みで、『ゲイツ、マジェスティ』の主要キャストがステージに現れた。

仮面ライダーゲイツ/明光院景都(ゲイツ)を演じる押田岳。

仮面ライダーツクヨミ/ツクヨミ役・大幡しえりは、トレードマークだった長く美しい黒髪をばっさりカットしてショートヘアとなって登場し、新たな魅力をふりまいた。

オーラと常に行動を共にする高校1年生・ウール役の板垣李光人。

強気な性格のお嬢様で、景都に思いを寄せるオーラを演じる紺野彩夏。

景都が通う光ヶ森高校の教師で、やたらと"圧"がすごいと評判のスウォルツを演じる兼崎健太郎。

サプライズゲストとして仮面ライダージオウ/常磐ソウゴ役の奥野壮がかけつけ、客席からは大きな拍手と歓声が巻き起こった。

本作のメガホンを取った諸田敏監督は「1年間、同年代のキャストが互いに"切磋琢磨"し、それぞれが"自分はこうやっていく"といった個性の出し方が備わってきた」と、キャストそれぞれの"成長"ぶりを称えた。本作については「シンプルに"高校生"の話を楽しく撮ろうとしています。同じ人物なのに設定が違うというのは面白いですから、そんな楽しさが表現できればと思いました。現場では、ふとしたとき過去の人物設定に戻ってしまわないように"高校生だよっ!!"と叫び続けていました(笑)」と、押田や奥野が敵を目の前にした瞬間などで、ついヒーローのようにカッコよく構えてしまう部分に対して、ふつうの高校生らしいリアクションをするべく注意をうながしたと語った。

本作には仮面ライダーバース(仮面ライダーディケイド)、仮面ライダーアクセル(仮面ライダーW)、仮面ライダーカイザ(仮面ライダー555)、仮面ライダーディエンド(仮面ライダーディケイド)と、4人の"2号ライダー"がゲスト出演するのも大きな話題。諸田監督は「今回、ゲイツたちはなかなか仮面ライダーになりませんが、その合間にレジェンドライダーたちが活躍しています。強く意識したのは、ゲイツがレジェンドライダーたちの"背中"を見て成長していくこと。ゲイツと直接関わらないカイザの草加雅人以外は、彼らの背中を撮るように努めました」と、歴代2号ライダーの力と魂を受け継ぐゲイツを印象付けるべく、演出に力を入れたことを明かした。

歴代2号ライダーの力を受け継いでゲイツが「ゲイツマジェスティ」になることについて、押田は「僕やソウゴはテレビシリーズでレジェンドのみなさんから仮面ライダーの力を宿した"ライドウォッチ"をもらってきました。事務所の先輩でもある仮面ライダー鎧武の佐野岳さんから"ライドウォッチを託すというのは、仮面ライダーの卒業式みたいなものだから"と言われていたんです。そんなみなさんからの"重み"を感じて芝居をしましたし、平成をしめくくる仮面ライダーにふさわしい役者になれたらいいなと思います」と真摯にコメントした。

隣の奥野はすかさず「その(佐野の)話、直接してもらったのはオレだけどね」とささやき、押田は奥野から佐野の言葉を伝えてもらったことを明かして、はにかんだような笑顔を見せた。

また押田は「僕の事務所には"特撮"出身者が多く、いろいろなことを教えてもらいました。『ジオウ』でみなさんと同じ画面の中に立つことができて、ひとつの目標が達成できたのはうれしい」と語り、仮面ライダー鎧武の佐野岳、仮面ライダーガタック(仮面ライダーカブト)の佐藤祐基、仮面ライダーチェイサー(仮面ライダードライブ)の上遠野太洸、そして仮面ライダークイズ(仮面ライダージオウ)の鈴木勝大と、数多い「仮面ライダー」経験者の先輩俳優にリスペクトをささげた。

テレビシリーズ最終回を受け、ふつうの高校生となったゲイツを演じるにあたっては「ゲイツというキャラを1年間演じてきて、体に染みついているものがあるので、そこは自分の感覚に任せて演じていました。あとは"引き算"といいますか、カタいゲイツのキャラをどう"崩して"いくか考えました」と、未来世界のレジスタンス戦士から柔道に打ちこむ高校生へと大きく変化したキャラクター設定に合わせた演技を考えていたことを打ち明けた。

奥野は本作の感想を聞かれて、「テレビ本編とは別物として観られる作品。戦っているときのゲイツはカッコいいですし、また新たなゲイツの姿が見られたかな」と出来栄えに太鼓判を押した。

『仮面ライダージオウ』のテレビシリーズ開始から現在まで、およそ1年半もの月日が流れた。奥野はこれまでの日々をふりかえって「いままで経験したことのないことばかりで、毎日が楽しかった!」と語り、押田とともにうなずきあった。

本作で、かつての戦いの記憶を一切持たない高校生のソウゴを演じたことについては「諸田監督から、今までのソウゴのことを忘れて、ただの学生だというのを意識して、と言われました。根っこの部分だけは残しつつ、ほとんど別人のソウゴを演じました」と、キャラクターの変化を強く意識しながら演じたことを話した。

本作では、ゲイツがツクヨミにほのかな想いを寄せていて、そんなゲイツにオーラが憧れているといった、青春ドラマ風のキャラシフトが敷かれている。これについて紺野は「設定を聞いたとき、(大幡と)2人で"面白いね!"と言いながら、楽しんで演じていました」と語し、大幡は「『ジオウ』のテレビシリーズではほとんどなかった恋愛エピソードなので、撮影するのが楽しみでした。ゲイツ、ツクヨミ、オーラの関係に加えて、ウールもオーラのことが好き、みたいな"四角関係"の雰囲気もあって、とても楽しくお芝居することができました」とニッコリ笑顔で感想を述べた。

テレビシリーズではソウゴやゲイツの"敵"だったのが、一変して女の子らしい役になった感想を聞かれた紺野は「1年間"強い"オーラを演じてきたわけで、今回ゲイツに恋する"可愛い"女の子を演じるのにはなかなか難しかった」ととまどいがあったことを明かしつつ「今までのオーラを一回忘れながら演じようとしましたが、あまり忘れすぎるとウールに強くあたれなくなっちゃうので、どうしようかと考えていました(笑)」と、タイムジャッカーだったときのウールとオーラの人間関係を今回の作品にある程度匂わせながら、演技をしたことを説明した。

オーラを慕い、役に立とうと頑張っているのに、けっこう邪険な扱いをされているウール。板垣は今回の役柄を「以前のウールとオーラの関係性がある程度引き継がれていたので、ウールについては特にキャラを変更した意識がなかったです」とふりかえった。ウールがオーラからペットボトルの水をかけられるシーンは台本にはなく、現場で諸田監督から出されたアイデアだったという。水びたしになり災難だった板垣だが「でも僕はテレビシリーズで"池"とかに落ちてはいなかったので、被害としては少ないです」と、俳優をよく水中に落とす"諸田演出"にちなんでコメントし、笑いを取った。

板垣の言葉を受けて、奥野が「俺なんて、(諸田監督に)すごく汚い藻だらけの池に落とされたんだよ!」とこぼしたら、すかさず諸田監督が「まだまだ甘い!」と、画面作りに対し常に妥協を許さない演出家ならではのコメントを飛ばした。

高校教師として今回の作品に登場しながら、テレビシリーズでの"悪役"スウォルツの印象が残りすぎているのでは? と問われた兼崎は「そもそも台本の役名が"スウォルツ"のままでしたからね。今回ゲイツはちゃんとした本名が明かされましたけど、スウォルツ、ウール、オーラはそのまま。僕らも"本名"が知りたかった(笑)」と話しつつ「僕の高校時代は体育会系で"怖い"先生がたくさんいました。そういう実体験の中で"こういう先生いたなあ"みたいな感じで教師を演じました」と、リアリティを高めるべく自身が高校時代に出会った独特な雰囲気の教師をモデルにしたことを明かした。

もしも本作の"続編"があれば、どんなストーリーがいいか?という質問では、奥野は「ゲイツとツクヨミのダブル主演で"未来"の戦いを描くレジスタンス編」、押田は「スウォルツが"体育教師"だったら、という学園ドラマ」、板垣は「タイムジャッカーの3人をもっと掘り下げるドラマ」、兼崎は「今回の"恋愛"要素を発展させ、誰と誰が結ばれるかなどの"濃い""ギトギトした"やつが見たい」とそれぞれの願望を語った。

兼崎の言葉を受け、大幡と紺野は「学園ドラマの続きはやってみたい」といいリアクションを返し、大幡は続けて「今度は渡邊圭祐さんも学生か先生かわからないけど(笑)、学校生活に絡んできたらいいなと思っています」とウォズ役の渡邊も積極的に学園ドラマに関わってほしいとリクエストした。諸田監督は「僕自身も『ゲイツ、マジェスティ』の続きの物語に興味がある」と乗り気の姿勢を見せ「過去の(戦士としての)記憶を取り戻したゲイツだけど、いまの記憶も残したまま日常生活を送らなければならない。そんな苦労をゲイツがウォズに愚痴っているシーンとか、撮ってみたいね」と"新作の構想"を楽しそうに語った。

最後に登壇者を代表してマイクを握った押田は「ほんとうに、いい作品を作ることができたと思っています。『ゲイツ、マジェスティ』をみなさんに楽しんでいただいて、これからも『仮面ライダージオウ』を忘れないでいてくれたらうれしいです!」と一言一言に心を込めながらあいさつし、客席からの大きな拍手にさわやかな微笑みを向けた。

Vシネクスト『仮面ライダージオウNEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』は2020年2月28日より全国29館にて期間限定上映が行われている。また4月22日にはBlu-ray&DVDが東映ビデオから発売される。

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