スタイリストの真価が問われる採寸

生地が決まったら、次は採寸です。タブレット端末に身長と体重を入力した後、正面と側面から写真を撮影。これらのデータを統合して、最終的にユニークなサービスが実現するわけですが、この詳細については最後に紹介します。

  • タブレット端末では、正面と側面から写真も撮影しました

スーツの型紙は、流行のスリムなタイプを選択。いよいよバスト、ヒップ、パンツウエスト、肩幅、首回り、総丈、ジャケットウエストといった具合でパーツごとの細かな採寸をしていきます。その途中、ひとつの身長に対して複数のサイズが用意されているという『見本服』も試着。全部で56種類のサイズに対応しているとのことで、なるほど、クローゼットの中には無数のジャケットが並んでいました。

  • クローゼットの中には無数の『見本服』が並びます

ゆき丈についても、両腕の長さをしっかり測っていきます。というのも、人は利き腕が長い傾向があるそう。また「普段、ジャケットの前は開けて着ていますか」「お尻はどの程度、隠れるようにしますか」「お仕事では座っている時間と立っている時間、どちらが長いですか」といったヒアリングがさりげなく行われます。「事務職と営業職では、ウェスト周りのサイズ感も変わってくるんです」と中野さん。スーツの利用シーンまで見越して、ベストなサイズを追求していくその姿勢に好感が持てます。

  • 単純に長さを測るだけではない、その人にとっての心地良いサイズ感を追求

「パンツの裾丈は、どのくらいの長さが良いのでしょう」というこちらの質問には、「最近はハーフクッションという、靴に乗っかるくらいの長さがトレンドです。ここは完全に個人の好みになります。仕事で使うなら(ビジネスシーンにも依りますが)短すぎない方が良いでしょう」。

  • 専任スタイリストの豊富な知識に助けられる場面がたくさんありました

裾上げのデザインをシングルにするか、ダブルにするか。「ビジネスではどちらでも構いませんが、ビジネス以外にフォーマルでも使うという場合はシングルが本来なのでオススメです。もっとも、こだわらない方も多いです。着こなしのルールをお伝えしますので、あとはお客様に判断いただければ」と中野さん。その知識と経験、細かな心遣いに触れつつ採寸も無事に終えました。

つい欲張ってしまう多彩なオプション

残りはオプションを決める作業。ボタンの数と素材、襟のカタチ、ポケットの数、袖口の切羽について、順番に決めていきます。ちなみに仕立ての良いスーツは切羽、台場、ステッチを見れば分かるそう。ジャケットのウラ側を「総裏」にするか「背抜き」にするか、について相談してみると「背抜きにすると通気性が良いんですが、汗がしみやすく生地が痛みやすくなります。最近ではクールビズで夏場にジャケットを着なくなったので、初めから秋冬に照準を合わせて、総裏にする方も増えています」。

  • オプションでも悩んだすえに……

ここでも悩んだ挙げ句、実はちょうど良い『オプションパック』が用意されていることを知ります。AMFステッチ+本切羽+本水牛ボタンを選んでも格安の内容。これを選び、会計はトータルで税込61,270円となりました。

今回はスリーピースにしてベストを追加したため、やや予算をオーバーしましたが、ジャケットとパンツだけなら予算の50,000円前後でおさまった計算です。まぁせっかくの機会ですし、今月は残業時間を増やそう、と密かに心に誓う瞬間でした。なお、来店からここまでの所要時間は、1時間きっちりでした。

  • THE SUIT COMPANYのiOS / Android向けアプリをインストールしてログインすると……

最後にTHE SUIT COMPANY & UNIVERSAL LANGUAGEの公式アプリをインストールしてログインすると、なんと全身を採寸した結果が3Dアバターで把握できるようになっていました。指で操作すると、アバターがグルグルと回ります。これがあれば、今後スーツやパンツを新たに注文するときに大助かりです。実際、2着目以降は、Webで購入が可能になります。

  • 採寸したデータは公式アプリから確認可能。全身の採寸結果が3Dで表示される。採寸のときに全身写真を撮影していたのは、このためだったんですね。2着目以降は、こちらの採寸データを使ってオーダー可能です

オーダーメイドスーツとなると、注文する側にも相応の知識が求められます。だから初めてのオーダーメイドスーツは、敷居も高く感じてしまうもの。その点、何でも相談できる専任スタイリストが店舗に常駐するTHE SUIT COMPANYでは、安心感が得られました。さて次稿では、ドキドキの仕上がりチェックを行っていきます。

  • 実際の仕上がりは如何に? 次稿で詳しく解説していきます