花粉症とは、体内に入った花粉に対するアレルギー反応。のどは痛くないのにくしゃみがある、目がかゆいなどの症状があれば花粉症の疑いが。花粉症治療を得意とする耳鼻咽喉科医のキムシノ氏にガッチリ教わってきたので、しっかり対策しましょう!

  • 花粉症対策はできていますか?

花粉症は予防投与で対処がお勧め

1月半ばぐらいから、くしゃみや鼻水をしている人が目につきますね。そう、花粉症です。キムシノ先生、暖冬のせいで花粉が早く飛びはじめていたりしません?

キムシノ氏 「そうですね。最近は症状が出る前に薬を飲みはじめる『予防投与』という治療が盛んです。通常、バレンタイン前後から行っていますが、1月ぐらいから症状が出る方が増えている印象を受けますね。花粉の量はスギの数によるので総量は変わりませんが、発症の時期は早くなっているようです。

弱い抗ヒスタミン剤などの予防投与で症状は抑えられ、シーズン中は悪化しにくいと言われています。悪化すると、強めの薬や複数の薬を飲むことになりかねません。早めに耳鼻科にご相談を」。

花粉症は火山のマグマのようなもの

ちなみに、未発症の人が発症しない方法ってありますか?

キムシノ氏 「アレルギーは火山のマグマのようなもの。今までは花粉症にならなかった方も、花粉のアレルギー反応による粘膜の抗体は準備されて蓄積されます。体内のアレルギー値の限界値を超えるまでは、蓄積はされても症状は出ないのです。でも、限界値を超えるほど溜まると症状がドンと出ます。また、女性は妊娠出産を契機に新たなアレルゲン(アレルギー反応の原因物質)が発生する方が少なくありません。

発症しないためには、マグマを溜めない生活が重要です。春になってもしばらく外出時のマスクは必須。帰宅したら鼻をかんで、手を洗ってうがいはマストです。あと、4月ぐらいまでインフルエンザが流行する年もありますので、花粉症と合わせてインフルエンザもしっかり予防しましょう」。

まさに火山の噴火だ……。自分の発症する可能性は分かるのでしょうか?

キムシノ氏 「耳鼻咽喉科で『RAST』という検査を実施しており、自分の持っているアレルギーの種類が分かります。健康保険対象で費用は5,000円前後。1回の検査で3年はデータとして信頼できます。あとどれぐらいで、花粉症を発症しそうかも分かりますよ。

そもそもスギ花粉症は、スギが植林された1960年以降に目立って出てきた病気で、1963年に論文発表されて花粉症という名前がつきました。その時期に山間部に住んでいた方は発症しやすいという説もあります」。

花粉症の民間療法は効く?

話は変わりますが、毎年さまざまな民間療法が登場しますが効果のほどは?

キムシノ氏 「柑橘類のじゃばら、甜茶(てんちゃ)やノニ茶などは、科学的な根拠に乏しいです。ただ、体調が良くなることでアレルギー症状が軽減することはあるでしょう。『鼻の中にワセリン』もよく話題になりますが、ワセリンに花粉がついて中に入りにくくなる事実はあるけれど、どれぐらいの効果があるかは不明です。ワセリンは、鼻をかんだ時の鼻の入り口の皮膚を保護する効果の方が高いでしょう。

それより、マスクがお勧めです。自分の吐く息の湿気により、十分の花粉吸着効果はあると思います。さらに言うと、鼻の中にゴミを入れない効果があるのは鼻毛。鼻毛はインフルエンザ予防でも頼りになるほどの存在なのです。その他、医学的なことだけではなく、良質の食事、適度な運動、乳酸菌やビタミンC摂取やストレスを溜めないことなどが大事です」。

取材協力 :木村至信(きむら・しのぶ)

女医。信州大学医学部卒業後、横浜市大医学部大学院にて医学博士取得。産業医・横浜市の往診耳鼻科医。夏バテの予防策や美肌、美声などについての監修仕事多数。 医師の傍らシンガーとしても活動中。