王位戦初参加でいきなりの快挙。棋王戦の再現なるか
1月10日に東京・将棋会館で第61期王位戦予選決勝(主催:新聞三社連合)の宮田敦史七段-本田奎五段戦が行われました。結果は本田五段が勝利し、王位戦初参加ながら挑戦者決定リーグ入りを達成。同じく初参加棋戦ながら挑戦者となった棋王戦に続いての快挙です。
振り駒で先手になった本田五段は相掛かりを選択。これは本田五段の得意戦法で、採用した際の勝率は8割を超えます。棋王戦では挑戦権を獲得するまでの12局中7局採用し、棋王戦挑戦の原動力にもなった作戦です。
手厚い陣形を組もうとする本田五段に対して、後手の宮田七段は低く隙のない形から飛車を単騎で活用して横歩を取り、1歩得に成功。歩得の戦果をあげたまま、飛車が無事に自陣に生還すれば宮田七段が、飛車を捕獲できれば本田五段が優勢になるという将棋になりました。
飛車をめぐる20手ほどの攻防を制したのは本田五段でした。飛車と角の交換のため駒損にはならなかったものの、攻撃力に優れた飛車を失った宮田七段の攻めは細くなり、息切れ模様に。宮田七段の攻めがひと段落した隙を突いて鋭く反撃に転じた本田五段が75手で勝利を収めました。この勝利で本田五段は挑戦者決定リーグへ進出となります。
本田五段は1997年7月5日生まれの22歳。2018年10月1日に四段に昇段したばかりの若手棋士です。ところが並みの新人ではありません。第45期棋王戦で史上初の「初参加棋戦でタイトル挑戦」を達成。デビューから1年4か月でのタイトル挑戦は、屋敷伸之五段(当時)が第55期棋聖戦で記録した1年2か月に次ぐ、史上2位の早さでした。また、デビューからの通算勝率は7割以上であることから、棋王戦だけで突出した活躍をしているわけではありません。
記事執筆時点では、まだ紅白2つのリーグの組み合わせは発表されていませんが、王位リーグには豊島将之竜王・名人、永瀬拓矢二冠、羽生善治九段、菅井竜也七段がシード棋士として参加が決まっています。また、予選通過棋士には藤井聡太七段や、棋王戦挑戦者決定戦を戦った佐々木大地五段もいます。
間違いなくハイレベルな戦いが繰り広げられることになる王位戦挑戦者決定リーグ。ここでも棋王戦同様に本田旋風を巻き起こすことができるのでしょうか。注目していきましょう。