GU(ジーユー)は12月10日、2020年春夏事業発表会を都内で開催し、「3つのコネクト宣言」を行った。2020年の春夏シーズン新コレクションやプロジェクトの加速化とともに、定番商品の値下げを発表。さらに発表会後、同社初となる公開型商品検討会も開催された。

  • 事業戦略とともに新コレクションや値下げなども告知されたGUの事業発表会

2020年のGUが目指す姿

「YOUR FREEDOM 自分を新しくする自由を。」をブランドメッセージに掲げ、旬のアイテムを着やすく、おしゃれでかつ使えるというファッションを低価格で届けてきたGU。2019年8月期には売上収益2,387億円、営業利益281億円と過去最高の業績を達成。2020年度はさらに成長を加速させるべく「ファッションと低価格化の一層の強化」「国内外の出店やECの推進」「海外事業の強化」の3つを柱に事業を展開していく。

ジーユー 代表取締役社長 柚木治 氏は「ファッション業界全体がいま、変革の時を迎えています」と語る。例としてアパレル・ファッションを含めた産業界の重要な課題である地球環境問題や、ファッションの自由化・多様化・高度化を挙げ、「人々が服に求める価値やアパレル業界への社会の要請が大きく変わりつつある」と説明した。

  • ジーユー 代表取締役社長 柚木治 氏

このようにアパレル業界が転換期を迎えている中、GUがこれからの大きな方向性として示したものが「3つのコネクト宣言」だ。GUは「生活者」「生産者」「地球」にコネクトすると宣言し、具体的な戦略について説明を行った。

  • GUがこれからの方向性として示す「3つのコネクト宣言」

新たなコレクションラインとプロジェクト

GUはモバイル会員や多数の顧客、インフルエンサーやSNSといった生活者の声を起点としたものづくりを行っている。柚木氏は「トレンドを分析する上でも、今や生活者が最先端。生活者にコネクトすることが重要」と説明。2020年春夏に2つの新しいコレクションラインをデビューさせるとともに、顧客の声をもとに商品開発を行うプロジェクトをさらに進化させると発表した。

MIXMANIA

「MIXMANIA」は18~24歳の女性をメインターゲットとしたコレクションで、テーマは「一人十色」。ヤング層の声に耳を傾けたところ「GUはベーシック」という意見が集まったことを受け、いままでよりもエッジをきかせたアイテムを取り入れたという。ディズニーやパックマンなどとのコラボ製品も用意されており、2020年1月より49アイテムから展開を開始していく。

  • 18~24歳の女性をターゲットにした「MIXMANIA」

AND LOVELY

「AND LOVELY」はファッションに本格的に興味を持ち始めた、小学校高学年から中学生女子をメインターゲットとしてコレクション。ローティーンとその親たちの「キッズだと子供っぽい、ウィメンズは大人っぽすぎる」という声を受け、ピンクやイエローといった色遣いや、ロゴの使い方で特徴を出しているという。2020年2月より58アイテムから展開を進める。

  • 小学校高学年から中学生女子をターゲットにした「AND LOVELY」

GU SHOES LAB

今年8月に始動した顧客の声をもとに商品開発・改善・改良を行うプロジェクト「GU SHOES LAB」もさらに進化させる。2020コレクションの「マシュマロパンプス」は履き心地の良さがセールスポイントだが、その一方で「脱げやすい」「カンカンという音が気になる」という声があったという。これらの点を改善するとともに、アーチ構造を見直し立ち姿が美しくなるよう改良を施している。

  • 8月に始動した「GU SHOES LAB」

GU BAG LAB

2020年春夏コレクションからは、新たなプロジェクト「GU BAG LAB」が開始される。シューズ同様に、顧客の声をもとにバッグの開発を行うプロジェクトで、当日は原宿の「GU STYLE STUDIO」で顧客の声を聞く公開型商品検討会も行われた。

  • 2020年春夏に始動する「GU BAG LAB」。当日は公開型商品検討会も行われた

生産者とのフェアな関係と創意工夫が低価格化を実現

GUは、主力となる生産工場数社への集約を進めるとともに、継続的な取り組みを強化する。ものづくりの構造的な改革を進め、生産工程における無駄を排除。さらに多く長く売れるベーシックな商品はボリュームを持って長期生産を行い、稼働の少ない時期には短期生産を組み合わせてスケジュールの最適化を行っていくという。また、これまで縫製が主だった東南アジアに素材の生産をシフトさせ、生産の全体的な最適化も行っていくそうだ。

こういった生産者との関係の強化と創意工夫から実現したのが、商品の低価格化。2020年春夏から、定番アイテムが大きく値下げされる。代表的な例がスウェットイージーパンツで、1,990円(税別)が990円(税別)になる。この他、ワンピース、クロップドレギンスパンツ、ブロードシャツ、エアリーシャツ、7Pショーツなども990円(税別)に価格が変更される。

  • 2020年春夏商品から定番商品の値下げが実施される

新技術によって生まれたサステナブルジーンズ

GUは需要を正確に把握し、無駄な服の生産や輸送、販売を抑制するとともに、環境負荷の少ない商品の導入を進める。

その取り組みの一つが、サステナブルなジーンズの生産と販売。ファーストリテイリンググループ全体の取り組みとして、2020年までに生産するすべてのジーンズの加工工程における水の使用量を最大99%削減する新技術を導入する。2020年の春夏では、GUで販売するジーンズのうち、約50%がサステナブルなジーンズになるという。

  • 環境負荷に考慮したサステナブルなジーンズ

さらに、ペットボトルをリサイクルした再生素材「REPREVE」を使用したバッグの販売を2020年春夏よりスタート。また使い捨てプラスチックの削減を推進するため、ショッピングバッグやパッケージなどを紙製に切り替えていくという。ファーストリテイリンググループ全体で、2020年度中に全体の85%にあたる7,500トンの削減を目指す。

  • ペットボトルをリサイクルした素材「REPREVE」を使用したバッグ

柚木氏は最後に「2020年はGUにとっての転換期と捉えております。『生活者』『生産者』『地球』という3つの視点でコネクトする、そしておしゃれで使える製品を『高品質』『低価格』『サステナブル』に提供し、皆さまを少しでも笑顔に、そしてより自由になるファッションをお届けしたいと考えております」と述べた。