JR東日本は3日、高輪ゲートウェイ駅(2020年春開業予定)の概要を発表した。田町~品川間に開業する同駅では、JR東日本グループのさまざまな「やってみよう」を盛り込み、AIやロボットなどを活用した最新の駅サービス設備の導入や実証実験を進める。これまでにないエキナカ店舗も誕生するという。

  • 2019年11月時点の高輪ゲートウェイ駅(JR東日本提供)

駅のデザインは、隈研吾氏をデザインアーキテクトに迎え、国際交流拠点の玄関口として、随所に「和」を感じられるデザインとした。折り紙をモチーフにした障子を想起させる大屋根の下、象徴的な吹抜けや大きなガラス面を設け、駅と街が一体的に感じられる空間を実現する。

また、さまざまな環境保全技術(エコメニュー)を駅に導入する「エコステ」として、膜屋根採用による温熱環境向上と照明電力量の削減を図るほか、東北の木材を使用して環境に配慮し、東京方ホーム屋根部に太陽光パネルを設置。線路脇に小型風力発電機を2基設け、緑化空間や壁面緑化パネルを整備し、LED照明器具を採用する。

  • ホーム階から吹抜け部を望む(JR東日本提供)

  • 太陽光パネルを設置(JR東日本提供)

駅構内では周辺施設の案内や乗換案内をはじめ、駅前で行われるイベント情報の案内も行う。AIを活用した案内ロボット・デジタルサイネージを試行導入し、不審物などを検知する警備ロボット、駅構内の清掃を行う清掃ロボット、案内や広告宣伝を行う自律移動型ロボット、駅構内での移動を支援するロボットも試行導入。実証実験を実施する。

サービス機器では、ICカードのタッチ部分の形状を工夫し、車いす利用者も使いやすくした自動改札機の試行導入と、QRコードによる改札機利用のモニター評価実験を行う予定。周囲の喧噪音の変化に合わせ、放送音量を聞き取りやすく、かつ適切な音量に自動制御する放送システムを試行導入し、列車運行情報などを表示するデジタルサイネージのほか、券売機上部の地図式運賃表に液晶ディスプレイモニターを設置するなど、多様なデジタルサイネージも導入される。

  • 導入される自動改札機のイメージ図(JR東日本提供)

駅構内店舗では、2階(改札内)に無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」が常設店として初めて誕生。無人AI決済店舗は大宮駅・赤羽駅での過去2回にわたる実証実験を経て、商品を手に取るだけでウォークスルーの買い物ができる無人AI決済技術と、JR東日本グループのノウハウを活用した商品供給により、革新的な購買体験を実現するとともに、人手不足の課題解決もめざす。

「スターバックス コーヒー 高輪ゲートウェイ駅店(仮称)」も出店。「Suica」など交通系電子マネー決済や、スターバックスの公式モバイルアプリから事前に注文決済し、レジに並ばず商品を受け取ることができるサービス「Mobile Order&Pay」を導入するほか、店内にブース型シェアオフィス「STATION BOOTH」を設置する。

JR東日本と日本航空が連携し、最新テクノロジーを活用した旅の魅力発信に関する実証実験も行われる。「五感」で旅を疑似体験できる仮想現実の技術を活用した機器を設置し、視覚・聴覚に加え、香りや風・ミストなどを活用して現地の魅力を再現し、体験者は現地ナビゲーターに誘われて、バーチャルによる旅が体験できる。