東京2020組織委員会は11月27日、東京都八王子市立別所小学校において、東京2020教育プログラムの一環として「東京2020算数ドリル」野球実践学習会を開催。子どもたちは五輪に出場した元野球選手と交流を深めるとともに、投球スピードから「時速」の計算方法を学んだ。
競技から算数を学べる「東京2020算数ドリル」
2019年度に東京都内の全公立小学校1,273校の小学6年生に配布された「東京2020 算数ドリル」は、オリンピック・パラリンピックの競技に関連した問題から、自然に算数を学べる教材。A巻がオリンピック版、B巻がパラリンピック版となっており、オリンピアン、パラリンピアンが算数問題の解き方をアシストする内容になっている。
元日本代表選手の球の時速を求めよう
実践学習会には、千葉ロッテマリーンズの投手として活躍し、2004年アテネ五輪で銅メダルに輝いた小林雅英さんと、千葉ロッテマリーンズの捕手としてチームを支え、2008年北京五輪の野球日本代表として活躍した里崎智也さんが参加。別所小学校の6年1組、2組、3組、おおぞら学級の児童93人は、憧れの野球選手を大きな拍手で迎えた。
今回の学習内容は、小林さんと里崎さんが投げたボールがキャッチされるまでのタイムをストップウォッチで計測し、距離と合わせて計算することで「オリンピック 野球元日本代表選手の球の時速」を求めるというもの。
小林さんの記録「18.4mを0.56秒」、里崎さんの記録「18.4mを0.59秒」からそれぞれ秒速を求め、その数値を分速、時速へと変換。スピードガンがなくても子どもたちが勉強してきた算数で球の時速を導き出せることを伝えた。
里崎さんを捕手に迎えたキャッチボール教室
さらに里崎さんが捕手となり、各クラスを代表する3人も投球にチャレンジ。3人は元野球選手に向けて自慢のピッチングを披露し、その投球の時速も計算された。
小林さん、里崎さんも参加したドッヂボール対決!
算数の授業が終わったあとは、子どもたちお待ちかねのドッヂボールを開催。全クラスと小林さん、里崎さんに加え、校長先生もが参加した大ドッヂボール対決では、途中からボールが2個に増加。思いもしない方向から飛んでくるボールをキャッチしようとして、思わず里崎さんが倒れ込むワンシーンもあり、寒さで冷え込んだ体育館もあっという間に熱気と楽しい笑い声で包まれた。
小林さんと里崎さんが子どもたちにエール
今回の野球実践学習会を振り返り、里崎さんは子どもたちに「勉強でもスポーツでも難しいことはいっぱいありますが、今日みたいにちょっとやり方や取り組み方を変えたら、楽しかったり、面白かったりするものです。苦手なことにもいろいろなやり方があるので、先生や友達、お父さんお母さんと協力しながら、答えを導いていったらいいと思います。今日の学習会を参考に頑張ってください」とアドバイス。
小林さんは「短い時間ですけれども楽しい時間を過ごすことができました。今日やった内容はいつもの教室の授業とは全然違います。この時速を求める計算は、みんなはきっと一生忘れないと思います。この2人のおっちゃんの顔を見たら、この計算式が出てくると思うと、一緒に勉強できてとてもうれしいです」と今日の感想を述べたあと、「僕らは野球が大好きでみんなの前にこうして立つことができたのですが、スポーツでも勉強でも何でもいいので今やってることを大好きになってください。大好きになることが、努力すること、うまくなること、すべてにつながります」とエールを送った。
野球実践学習会を終えた子どもたちからもコメントを伺った。
6年1組の花村宏太郎くんは「いつもはもっと(球速が)遅いのに、小林選手が横で見ていてくれたので気持ちよく投げられて、予告した球速が出せました」と投球に関してコメント。6年2組の藤井勇翔くんは「小林選手と里崎選手が実際に投げて算数の授業をしてくれたのがすごく面白くて、自分でもまたやってみようかなと思いました」と学習に意欲を見せた。
6年1組の福代亜由美さんは「野球選手が投げる姿には迫力があって驚きました。もともと算数はあまり得意じゃないんですけど、野球を使って時速を計算するのが楽しかったです」と今日を振り返り、6年2組の土屋紗菜さんは「私は算数が好きだったのですが、時速を工夫して求めるのがとても楽しかったので、さらに算数が好きになりました」と感想を話した。