いよいよ11月30日に迫った相鉄・JR直通線の開業を前に、相模鉄道は11月25日、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)とともに、羽沢横浜国大駅の駅構内で「発車式」を開催した。
相鉄・JR直通線は、相鉄線西谷駅と羽沢横浜国大駅の間に連絡線を鉄道・運輸機構が新設することで、この連絡線を使用して相鉄線・JR線が相互直通運転を行う。11月30日の開業後は海老名駅から新宿駅まで直通し、一部列車は埼京線武蔵浦和・大宮・川越方面まで足を伸ばす。
この新しい路線が開業することで、横浜市西部や海老名市・大和市といった神奈川県西部と都心部を結ぶ鉄道ネットワークができ、所要時間の短縮や乗換回数の減少などといった効果が生まれるという。
記念式典は羽沢横浜国大駅の1階コンコースで行われた。鉄道・運輸機構理事長の北村隆志氏は、「沿線地域の多くのみなさまに末永くご利用いただけますように」と挨拶。相模鉄道代表取締役社長の千原広司氏は、「相鉄・JR直通線の開業を前に、沿線再開発や新車両、広報に力を入れてきました。直通線開業を沿線の発展につなげたい。羽沢横浜国大駅は20年ぶりとなる26番目の新駅。近くの横浜国立大学など多くの学生や、地域住民に親しまれてほしいと思います」と述べた。
国土交通大臣の赤羽一嘉氏も挨拶し、「この相鉄・JR直通線は2005年の都市鉄道等利便増進法にもとづいた第1号の認定事業であり、それから14年の月日が経ちました。当時は鉄道事業者同士の連携が進んでおらず、ここまできたことは良かったと思います。既存ストックの有効利用として成果のあった事例です」とこの事業を評価した。
神奈川県知事の黒岩祐治氏は、「神奈川県民にとってなくてはならない鉄道が新たな時代を迎えます」と開通を歓迎し、大学や勤務先に二俣川駅から通っていた時代のことを振り返った上で、「当時は不便を感じていましたが、これで便利になります。一方で新たな戦いも始まります。便利になったからといって、みんなが東京に行ってはダメ。東京から人を引っ張るようにしないといけない」と今後の展望を示した。
横浜市副市長の平原俊英氏は、市長の林文子氏の挨拶を代読。「横浜市民悲願の直通線。活力ある横浜を支える生命線です」とのメッセージを伝えた。記念式典では挨拶を行った来賓以外にも、JR東日本代表取締役社長の深澤祐二氏らが招かれていた。
その後は記念のテープカットとくす玉割りが行われ、出席者らは地下1階の上りホームへ移動。羽沢横浜国大駅の駅長と運転士、車掌への花束贈呈と発車式が行われた。
上りホーム(2番線)には相鉄・JR直通線用の新型車両12000系が在線し、種別・行先表示器に「特急 新宿」の表示を出していた。駅長の「出発進行」の合図でいったん武蔵小杉方面へ向かった後、停止し、式典の招待者らを乗車させ、「そうにゃん」と「貸切」の表示を出して西谷方面へ向かった。
上りホームは折返し運転のできる構造となっており、早朝に羽沢横浜国大~西谷間で区間運転を行う列車はこのホームを使用する。そのため、このホームは上下どちらに向かっても発車できるように、モニターやカメラが備えられている。
ホームにはベンチや自動販売機などが備えられ、運転間隔の空く時間帯でも待つことが苦にならないように工夫されていた。
相鉄線が他社との相互直通運転を行う日がもうすぐやって来る。今回の発車式で、そのことに対する並々ならぬ期待が感じられた。