スーパー戦隊シリーズ『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018年)で、パトレン1号/朝加圭一郎を演じた俳優の結木滉星が、日本最高峰のアクションチームが放つ本格忍者アクション作品『下忍 青い影』(公開中)で主演を果たす。

  • 結木滉星(ゆうき・こうせい)。1994年生まれ、大分県出身。映画『一礼して、キス』(2017年)や、『ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」"進化の夏"』(2017年)などの舞台に出演。『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018年)のパトレン1号/朝加圭一郎役で子どもから大人まで、幅広い年齢層から熱い注目がそそがれた。その後も連続ドラマ『カカフカカ-こじらせ大人のシェアハウス-』『あおざくら 防衛大学校物語』などで活躍。出演舞台『里見八犬伝』が全国各所にて公演中。11月15日公開の『下忍 青い影』では主演を務める。撮影:大塚素久(SYASYA)

近年まれに見る熱いレッド・朝加圭一郎を好演し、大きな注目を集めた結木。過去のマイナビニュースのインタビューでも、俳優として役に対する真摯な姿勢について語ってくれていた。そんな彼が次に挑戦するのは、『ルパパト』とは打って変わって闇に生きる「忍者」――。

さまざまな野心と思いが錯綜する激変の幕末を舞台とした本作では、勝海舟役の津田寛治、因縁のライバルである薩摩藩士役の須賀貴匡らベテラン俳優陣と繰り広げるシリアスな演技を披露。さらに、映画『キングダム』(2019年)に出演した坂口拓がアクション監督を務めたワンカット長回しをはじめとする臨場感溢れるアクションシーンも大きな見どころとなっている。

――結木さんは今回が時代劇初挑戦だとお聞きしました。

そうなんです。だから、時代劇の人物を演じるというのは少し不安だったんです。ちゃんとその時代の人に見えるのかどうか。でも、忍者ってルールがない……というといいすぎですが、解釈に自由を許してくれるところがありますよね。それに、『下忍 青い影』はエンターテインメント性の高い作品ですから、楽しむことができました。撮影する前は「勉強することがたくさんあるんじゃないか」と身構えていたところもありましたけど。

――ワンカット長回しのアクションシーンが話題になっています。

急遽だったので、それを聞いたときは「マジか……」って。最初は「そんなことできないんじゃないか」と不安が先にありましたが、楽しみにしていただいている期待には応えたいので、頑張りました。ミスったらまたイチからやり直しですからね。スタッフさんにも迷惑かけてしまう。その分、OKが出た時の達成感、疲労感みたいなものはなんとも言えないものがありましたね。疲れてるんだけど、心地いい疲れというか、役者でも普通ではなかなか味わえないことを今やれてるなという実感がありました。

――結木さんが演じる尚という役どころについて、山口義高監督とはどのようなお話があったのでしょうか?

ホン(台本)読みで初めて尚を自分なりに演じたあとで監督に「尚をこういう感じで考えているんですけど、今日どうでしたか?」と聞いた時に、「いいと思うから、それをベースにして、あとはお互いが現場でやりたいことを話し合っていこう」と言っていただけたのが印象的でした。役者に寄り添ってくれる監督で、すごく心強かったです。

――『ルパパト』の圭一郎は人々を守ることが真ん中にあり、それによって怒りを露わにすることもありましたが、尚はまたまったく異なることで動かされていくんですね。

尚は昔に辛いことがあって、復讐することが原動力になっています。そこは大きな違いですね。尚というキャラクターは、過去と今が全然違う、別人のように見えるのが魅力だなって感じているんです。過去があったから、今の尚になっている。だから、彼の気持ちになって、一緒に考えながら映画を見てくれたら、一段と楽しめるんじゃないでしょうか。 もう一つは、取り組むにあたって、一年間をかけて役と一緒に成長していける戦隊シリーズとは違って、今回は考える期間が短い分、最初から完成していなければならないなという意識はありました。尚というキャラクターに対して、一番時間をかけることができるのは自分なので、一番理解しよう。そうして準備していくんだけれど、現場で監督と話していると、さらに新たな発見があることが多かったので、それがおもしろかったですね。今後の役者人生に大切なことに気づけてるな、力になっているなって。成長を実感できるような期間もなかったんですけれど、成長できていたらいいなと思っています。

――『下忍 赤い影』で主演を務め、『青い影』でも共演されている寛一郎さんの印象は?

かんちゃん(寛一郎)は僕より若いんですけど、落ち着いていて、彼の持っている雰囲気が僕はすごく好きなんですよ。それが竜というキャラクターだったからなのかはわからないのですが、いい意味でリラックスして、力んでいないんですよね。役として力むのは全然いいと思うんですけど、僕はそうでないところで力が入っちゃう瞬間がまだあったりするので、かんちゃんを見ていて見習いたいなと思います。

――ベテランの津田寛治との緊迫感のある芝居も見どころですね。

津田さんはカメラが回ってないときは、本当に気さくで、お父さんとかお兄さんみたいなんですよ。でも撮影に入ると目力がすごくて……、にらまれるシーンがあったんですけれど、圧倒されちゃって。でも「俺からは絶対に目をはなさないぞ」と僕も負けん気で取り組みました。そうしたシーンでも津田さんに引っ張っていただいたところがたくさんありました。今回は作品が時代劇であることもあり、アクションもリアルなアクションで、本当に難しさを感じました。でも、新しく挑戦したことは、役者として成長できたなと思いますし、今後にも生かしていきたいですね。

――結木さんのそうした役者としての向き合い方の原点はどんなところにあるのでしょう。そもそも、最初はなぜ俳優になろうと思われたのですか?

最初はモテたかったからなんです(笑)。スターダストっていう事務所の名前を出せばモテるかなと思って、モテたいがために事務所に入ったんですよ。

――でもかえって制約がある気もしますが……。

でも言えますからね。事務所がスターダストだって(笑)。

――そこから役者としてやっていこうと思うきっかけはどのようなものだったのでしょう。

鈴木勝秀さんという演出家さんに出会ったことがきっかけです。スズカツさんと初めて舞台をやらせてもらった時に、お芝居ってこういうことなんだって気づかせてもらえました。考えて、台本を自分なりに広げていく。その根本を教えてくれたのがスズカツさんでした。だから、スズカツさんに出会ってなかったらこの仕事を続けていたかわからないですね。

――役者として目標にされている方はいらっしゃるのでしょうか。

藤原竜也さんみたいな役者になりたいですね。その役に入り込むんですけれど、どこかに藤原竜也さんの部分があるんですよね。そこが素敵だなって。どんな役を演じていても、その人自身の魅力が出る。そういう役者になりたいですね。

――気が早いですが、今後取り組んでみたい役柄は?

尚はどちらかというといい人じゃないですか。いままでにもそういう役が多かったので、救いようのないクズを演じてみたいですね。最初が正義、それも"THE正義"みたいなキャラでしたから(笑)。

――それでは最後に、あらためて『下忍 青い影』の見どころを教えていただけますでしょうか。

一つの作品で、物語のお芝居とアクションが別物じゃないというところがすごく見どころだなと感じています。お芝居の中にアクションがある。アクションに向かっていく尚の決意が描かれていて、アクションに深みを与えています。そうしたところも目に焼き付けていただけたらうれしいですね。

●公開情報
映画『下忍 青い影』
シネマート新宿ほかにて公開中

映画『下忍 赤い影』
12月4日(水)DVDレンタル開始