キリンは10月29日、「一番搾り とれたてホップ生ビール」を今年も数量限定で発売する。価格はオープン、市場予想価格は350缶が228円、500缶299円。飲食店など向けに500ml中瓶、633ml大瓶も提供される。
「一番搾り とれたてホップ生ビール」は、とれたての岩手県遠野産ホップを急速凍結して使用した商品。今年で発売16年目を迎える「一番搾り とれたてホップ生ビール」の発売に先立ち、凍結ホップを体験してきたので、紹介しよう。
凍結ホップって一体何なの?
今回は、ホップ博士こと村上敦司さんが凍結ホップについて解説してくれた。村上さんは、世界に6人しかいないドイツホップ研究協会の技術アドバイザーとしても活躍している。
ホップとはビールづくりには欠かせない重要な原料。ビールの多様性を決定づけるのは、ホップだという。ホップには主にビールの苦味や香りを生み出す効果などがある。通常のホップは、乾燥したハーブや草木を想起させる香りだ。一方、生のまま凍結したホップからはフローラルな香りが漂う。収穫直後の青草や果実のような香りを凍結することで香り成分を閉じ込めることができるからだ。こうして、通常の「キリン一番搾り生ビール」とは異なる香りのビールが完成するそうだ。
乾燥させない生のホップを使用することで、香りを際立たせることが可能になった「一番搾り とれたてホップ生ビール」。村上さんは「ホップ=香りの新時代へと突入している」と説明する。
実際に飲み比べてみた!
「一番搾り とれたてホップ生ビール」と「キリン一番搾り生ビール」を飲み比べしてみることに。
普段から飲み慣れている「キリン一番搾り生ビール」と比べて、すっきりとしていて、より飲みやすい。爽快感あふれる柑橘系を匂わせるフルーティーな味わいが印象的だった。「一番搾り とれたてホップ生ビール」は、おいしいところだけを搾る「一番搾り製法」によって作り出された「一番搾り麦汁」だけを使用している。そのため、上品で透き通った味わいが強調されている。
このほか、ビールにぴったりのおつまみだという岩手県遠野産の野菜「パドロン」も試食してみた。パドロンは、スペイン原産で、枝豆のような立ち位置で親しまれているそうだ。遠野市の町づくりを加速させるきっかけにもなったパドロンは、塩っけが効いていて歯ごたえもありやみつきになりそうだ。
ホップの生産地でもある岩手県遠野市は、キリンと共にホップを通じた地域活性に向けた取り組みを展開している。ホップを栽培する農家の方々の高齢化が問題になっていたが、ビール関連イベントや若者による農業参入の傾向が強まり、再び活気を見せてきている。「ホップの里からビールの里へ」というスローガンを掲げ、今後も地域活性化を図っていくようだ。
なお、キリンビール9工場では、現在"凍結ホップ"を体験することができる。この企画は、キリングループがホップ生産地の方々と共にホップを守る取り組みを紹介するというもの。凍結ホップの香りを体験できたり、「一番搾り とれたてホップ生ビール」を試飲することも可能だ。その際、「キリン一番搾り生ビール」と「キリン一番搾り<黒生>」との飲み比べもできる。開催期間は、10月22日から11月10日まで。