JR西日本と瀬戸内海汽船は、瀬戸内エリアに投入する観光型高速クルーザーの新造に着手すると発表した。2020年夏の東京オリンピック・パラリンピック開催時期に合わせた竣工・お披露目をめざす。

  • 「SEA SPICA」外観イメージ

両者は今年5月に締結した「せとうちエリアの海事観光の振興に向けた連携協定」にもとづき、観光型高速クルーザーの開発・導入について具体的な検討を進めてきた。今回、クルーザーの船舶名やデザイン、仕様などが決定。船舶名称は「SEA SPICA(シー・スピカ)」と発表された。「スピカ」は豊穣の女神を象徴する乙女座の一等星の名前。瀬戸内の海で青白く美しい輝きを放ちながら、乗船客を自由で開放的な旅に誘いたいとの思いを込めて命名したという。

外観は濃い青色と真っ白なボディとの対比を基調に、瀬戸内の夕焼けをイメージする金色をポイントとして取り入れる。客室は特注のソファ型の座席を配置し、各席にテーブルやドリンクホルダーを設置。窓側の座席を少し外側に傾け、背ずりもやや低くすることで、窓からの景色が見やすいように配慮する。

座席定員は、旅行会社によるチャーターにも対応できるように90人程度とする。Wi-FiやAC電源に加え、訪日外国人旅行者にも対応できる高音質・高画質の案内設備も備える。2階にはフリースペースとなる屋外デッキを設け、瀬戸内の島々をイメージしたソファを設置。1階から車いすでも上れるバリアフリー対応とする。

  • 1階客室イメージ

  • 1階客室イメージ

  • 2階デッキイメージ

瀬戸内海汽船グループの瀬戸内シーラインとJR西日本イノベーションズによる共同出資会社「瀬戸内島たびコーポレーション」と鉄道・運輸機構が建造主となり、広島県尾道市の瀬戸内クラフトで建造する。完成後は瀬戸内シーラインが運航主体となり、広島港(宇品)と三原港とを結ぶ「とびしま海道・しまなみ海道」エリアを「瀬戸内しまたびライン」の航路名称で運航する。

これに合わせ、瀬戸内エリアを拠点とするAKB48姉妹グループ「STU48」の「SEA SPICA」アンバサダー就任も発表された。