俳優の古川雄輝が、主演を務める配信ドラマ『LINEの答えあわせ ~男と女の勘違い~』のプロモーションで訪中した。そこで、10月6日に中国・上海で行われたイベント「bilibili world 2019」登壇後の古川を直撃。ドラマのキーワードである「既読スルー」を例に自身の恋愛経験談や、中国で「男神(憧れの男性)」と呼ばれるほど絶大な人気を誇る理由を聞いた――。
■LINEで実践する焦らし作戦
当日の会場には1,000人を超えるファンが集まり、歓声と熱気に包まれた。約3年ぶりの訪中となった古川は「中国らしい熱量の高さを感じることができて、すごく楽しめました」と、まずはイベントの成功を笑顔で語る。
ドラマ『LINEの答えあわせ ~男と女の勘違い~』の内容を日本に先駆け、古川自らが明かし、反応の良さに手応えも感じている様子だった。
「今まで演じたことのない役柄になります。LINEのやり取りが下手なモテないキャラクターです。今まで出演した作品のようなイケメンでカンペキな役ではありません。今まで演じてきたキャラクターとの違いから“ギャップ萌え”につながってくれればと思っています。ラブコメですから、見やすく、日本、中国のみならず世界中の人が楽しめる内容だと思います」
同ドラマは、東京カレンダーWEBで17年4月から連載されている人気企画を原作に、LINEのメッセージに対する“男女の捉え方の違い”をエピソード仕立てで描いていくもの。これにちなみ、イベントでは、古川の経験談からSNSを使った恋愛Tipsも披露された。その中で最も盛り上がった話題は「既読スルー」の捉え方。会場の反応を振り返りながら、古川は戦略的な一面をみせた。
「既読スルーにならないように、既読をつけずにトーク内容が読めるピーク機能を使っています。読んでもすぐには返事を返さない方がいいと思っていて。2時間待って、やっと返事が来る方が相手は絶対にうれしいですよね? 1週間後の会う約束の連絡を1日で終わらせず、ゆっくり焦らしながら日にちをかけてやり取りするんです(笑)」
「そのやり方で実際に恋は成就するのか?」とさらに質問を投げると、「僕はそう思っています。すぐに手に入らないと思うもののほうが欲しくなるのと一緒じゃないでしょうか?(笑)。恋愛は駆け引きが決め手になる。中国では“好きだ”“きれいだね”といった直接的なワードが好まれるようですが、日本人はあえて言わずに、ピンポイントで伝えたほうが響くのかなと思います」と、ドラマさながらの恋愛テクニックを教えてくれた。
■語学力の強みを生かす
同作は、日本と中国の合同プロジェクトとして立ち上がったことも注目点だ。TSUTAYAプレミアムと中国の大手配信プラットフォーム・bilibiliで、来年の日中同時配信を予定している。中国版ツイッター・Weiboのフォロワー数は340万人以上と、現地でも人気のある古川に期待される役割は大きい。
会場に集まったファンに古川の魅力について話を聞くと、「2013年から応援しています。世界でいちばんイケメンでチャーミングです」(上海在住、21歳女性)、「東京在住で英語が堪能な点がパーフェクト。Weiboの発信をいつもとても楽しみにしています」(上海在住、18歳女性)と、支持されている様子が分かった。
そんな声に対し、「ファンの方の顔を覚えているので、中国のファンの方の顔も、日本からいらっしゃってくれた方の顔も舞台から見えて、うれしかったです。両国でファンの方々の前に立つ機会を頂くことは勉強にもなります」と、日中を股にかける俳優らしい発言を見せる。
また、国際的に活躍するための心構えも教えてくれた。
「自分という人物を周りがどう見ているのかを意識しています。日本の方の見方と、中国の方の見方はそれぞれ違うはずです。だから、自分をどのように見てもらいたいかを考えたりします。どの作品で認知していただいたのかを、知ることも重要です。俳優は作品によってイメージが異なるため、役柄に合わせて振る舞いを変えることも必要になるのかなと思っています。臨機応変に対応することは、人前に出る仕事として求められることの1つだと思っているからです」
古川の場合、英語力もある。会場では日本語と英語、中国語の3カ国語を駆使しながらあいさつしていた。「言語は大切です。イベントやインタビューによっては英語の通訳を介さずに対応しています。日本では英語ができる役者は限られています。イベントに呼ばれて、その場で話せる役者も限られています。機会を頂くたびに、自分の強みとして生かしていければと思っています」。
■日本だけに縛られる時代じゃない
海外にも活躍の場を広げる日本の俳優・女優は数の上ではまだまだ少ないが、時代の変化と共に今後、可能性の広がりが期待される。
「今は配信作品の時代で、自分が見たい好きなコンテンツにお金を払うのが当たり前になってきました。中国ではテレビはほとんど見られないみたいです。日本はそういう流れから遅れているように感じます。でも、今回のような日中同時配信といった試みも増えると、俳優も海外に出やすくなります。日本語のセリフの作品も海外で展開され、海外と携わる仕事が今後も増えてくるんじゃないでしょうか。今は⽇本だけに縛られる時代じゃないです。⽇本は⽇本の良さがあるけれど、留まる時代じゃないのかもしれません。まだまだこれからいろいろな経験ができるのではないかと楽しみにしています」と、最後に力強い言葉が聞けた。