人気バトルアクションシリーズ『HiGH&LOW』と、高橋ヒロシ(※高は、はしごだか)による不良漫画『クローズ』『WORST』のクロスオーバー映画『HiGH&LOW THE WORST』が、10月4日より公開中だ。『クローズ』『WORST』の舞台である戸亜留市と、『HiGH&LOW』の鬼邪高校が交差した世界を構築する同作。マイナビニュースでは今回特集企画を実施し、出演者・監督などに魅力を聞いていく。
今回は、メガホンをとった久保茂昭監督にインタビュー。LDHのアーティストのMVを数多く監督し、「HiGH&LOW」シリーズにも関わり続けている久保監督だが、シリーズでも初のクロスオーバー作品に、プレッシャーと喜びを感じていたという。おなじみのキャストに加え、新キャストも多数出演していた同作について、話を聞いた。
■『クローズ』『WORST』世界観を勉強させてもらっていた
――今回の『HiGH&LOW THE WORST』は、『HiGH&LOW』シリーズとマンガ『クローズ』『WORST』とのクロスオーバー作品です。2016年に『HiGH&LOW THE MOVIE』が話題になった際にも、映画『クローズZERO』も含めて、高橋ヒロシさんの作品からの影響を指摘する声はかなりありました。やはり『HiGH&LOW』においてこの影響はもともと強かった、と考えていいんでしょうか?
『HiGH&LOW』では、ドラマシーズン1に向けてHIROさんと話し合っている段階から、高橋ヒロシ先生の『クローズ』や『WORST』における仲間との絆だったり、ビジュアルイメージも含めた佇まいの部分だったりを、リスペクトしながら参考にさせてもらっていました。高橋先生の世界観を勉強させてもらって、それを『HiGH&LOW』に落とし込んでいたんです。
――つまり今作はオマージュ元とのコラボになるわけですよね。緊張感がすごかったのでは……。
プレッシャーでしかなかったですね……。『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』(以下『FM』)の編集をしている頃に「こういう企画があるんですよ」とHIROさんから聞いたんですが、そのときはオファーを受けたわけでもなかったので「そうなんですね~(大変そうだなぁ)」という感じで、ちょっと冗談かと思っていたくらいでした。その後、いざ正式にお話をいただいたときは、やらせていただける嬉しさを、プレッシャーが上回りましたね。
『HiGH&LOW』はHIROさんや平沼さん、LDHのみんな、俳優のみんなと一緒に作り上げたんだという“オリジナル感”が自分の中にあるんです。そこに、『クローズ』という巨大な存在、しかもすでに映画版が3本あるものがクロスオーバーするというのは、大変なことですよね。もちろん我々はすごくリスペクトしていますが、やはり原作ファンの方々というのは強い味方でありつつ、厳しい目を持っています。僕だけじゃなく、鳳仙を演じた役者の方たちも同じようにプレッシャーを感じていたと思います。現場でも志尊(淳/上田佐智雄役)くんと「批判覚悟で臨もう」という話をしていました。
――2つの世界観をクロスオーバーさせるにあたって、映像面でこれまでのシリーズと大きく変えた部分というのはあるんでしょうか?
『クローズ』は三池崇史監督が素晴らしい映画を2本撮っているので、むしろそこにはない世界感を出そうと考えて、原作マンガでの鳳仙をすごく勉強しました。鳳仙という学校の持つ空気感を出すために、『HiGH&LOW』ではまず使ってこなかった色味やトーンを取り入れていこう、というところには気をつけていました。
――『ザム』のとき……あ、すみません。これは非公式の略称でした。
そういうのは全部わかるんで、大丈夫ですよ(笑)。
――失礼しました。監督の過去のインタビューによると、もともとは『THE MOVIE』の内容までが、ドラマのシーズン1で描かれる予定だったんですよね?
そうなんです。最初にホン(脚本)ができたときは、『THE MOVIE』までの話をシーズン1の全10話で撮るというとんでもないものでした(笑)。今だから言っていいと思いますが、最初に読んだ脚本では、1話30分の中で5ラウンドも10ラウンドも戦いがあったんですよ。「ノリさん(脚本家・平沼紀久さん)、これどうすんの?」「どうしようねぇ」って話してましたね。結局、いろんな人の手を借りて、それをうまくドラマシリーズ2本と映画1本に分散できました。だから、『HiGH&LOW THE MOVIE 2 /END OF SKY』(以下『EOS』)『FM』を撮っているときが“シーズン2”という感覚でしたね。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のようにいうと“フェイズ2”です。
――では、今回の『THE WORST』はフェイズ3にあたるわけですね。
新しい世代が登場して新しい物語を築いていく、フェイズ3が始まった感覚はすごくありますね。