女優の戸田恵梨香(31)がヒロインを務める2019年度後期のNHK連続テレビ小説『スカーレット』(毎週月~土曜8:00~)が、いよいよ30日にスタートする。101作目の“朝ドラ”となる同作は、焼き物の里である滋賀・信楽の女性陶芸家・川原喜美子が主人公。ものを作り出す情熱と喜びを糧に、失敗や挫折にめげずに生きていく姿を描くオリジナルストーリーだ。

放送を前に戸田にインタビューし、4月のクランクインから撮影してきた感想や、演じる喜美子の魅力を聞いた。15歳から50歳まで演じる“朝ドラ”ならではの経験を通して、女優としてどのように成長したいか、自身のキャリアについての話も。さらに、運動・食事による体作りと陶芸の稽古についても語ってくれた。

  • スカーレット

    『スカーレット』主演の戸田恵梨香

――ここまで撮影してきていかがですか?

5カ月間がものすごいスピードであっという間に過ぎていて、15歳から始まって今20代を演じていますが、5カ月という長さを感じないくらい充実した日々を送っています。

――演じる喜美子の魅力はどう感じていますか?

愛情深さが魅力で、周りに幸せを与えられるような存在。自分も周りに深い愛情を送れるような人間になりたいなと思っています。また、元気でにこにこと笑顔でいる姿、何か疑問を感じたときに徹底的に答えを見つけ出す妥協しない姿も魅力だなと思います。

――同じ人物を長期間にわたって演じるということは、女優のキャリアとしてどのように考えていますか?

それが知りたくてやらせていただくことにしました。11カ月間、同じ女性を演じたときに自分がどう進化しているのか知りたくて。今、約5カ月経て感じているのは、まったく飽きないということ。そして、たくさんの人たちのお芝居の流派を見る楽しさだったり、共演者の方の愛情だったり、いろんなものを受けて、こんなにも愛おしくてこんなにも愛をもらえるんだなと、約3カ月の1クールでは味わえないような贅沢な時間を過ごしています。

――幅広い年代を演じられますが、演じ切ったときの自分はどうなっていると思いますか?

15歳の喜美子を演じたときは体力を使いました。10代の持っている無敵さ、エネルギッシュさを、全身を使って表現したので、終わったあとに息切れを。まだ15歳から20代なので、この先どうなっていくかわからないですが、喜美子の意志の強さや芯の通った姿は変わらないと思うので、そこはブレないように大切に持ちながら演じていこうと思っています。そして、たぶん私の中でいろんな踏ん切りがつくのではないかなと予想しています。底の見えない、壁の見えない、広い精神を持てる人間になれたらいいなと思います。

――新しいことに挑戦する恐怖心はありませんでしたか?

恐怖心はあまりなく、興味が一番強かったです。今まで1つの作品をやるにあたって約3カ月間、映画だと1~2カ月携わって、どの現場も濃厚で濃密な時間でしたが、(朝ドラは)その倍以上の時間を費やす。今までの私は、場数を踏むことによって実力や精神性が成長すると思っていましたが、この作品をいただいたときに考え方が変わって、そんな贅沢なことはないなと。11カ月1つの作品に携わったときに、ものすごく大きい成長があるんじゃないかと感じ、これはやるしかないなと。自分には合わない可能性もあったと思うんですけど、今のところそんなことは1秒も感じないくらい、喜美子と一緒に成長できていると思います。

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――“朝ドラ”の撮影期間は長いですが、体力面もしくはモチベーション維持のために取り組んでいることはありますか?

日々食べる食事には気を付けて、しっかり食べるようにしています。モチベーションは、喜美子に出会いと別れがあるように、撮影の中でも出会いと別れがあって、うれしい気持ちになったり、寂しい気持ちになったり、たくさんの共演者とのコミュニケーションがすごく楽しくて、みなさんから元気をもらっています。セリフの量が膨大で追い詰められる瞬間はあるんですけど、共演者のみなさんやスタッフさんの顔も思い出すとそれだけで頑張れる自分がいて、人の力ってすごいって日々感じながら楽しくやれています。

――体力作りなど事前の準備は具体的にどのようなことをされましたか?

週2でジムに通い、陶芸の稽古は約3カ月行いました。また、太りにくい体質なので病院に行って自分の体質を調べ、そこから食生活を一気に変えて、おなかがムカムカするくらい食べ続けました。あとは、髪の毛を伸ばしたり、前髪を切ったりしました。

――食事はどんなものを積極的に食べていますか?

15歳からスタートしたので、15歳の丸みが欲しくて、タンパク質より炭水化物をより多く摂っていました。お米は1食1合半に。もう少し年を重ねたら、炭水化物よりタンパク質を増やして、陶芸をしている筋肉質な体にしていけたらなと考えています。

――陶芸の稽古はどのようなことをされましたか?

約3カ月間の稽古でお茶碗や花瓶、平皿など20点近く作り、先生に焼いていただいて共演者の大島優子さんにお茶碗をプレゼントしました。陶芸は男の仕事で女性陶芸家は少ないと伺っていて、なんでだろうと疑問に思っていたんですけど、稽古を始めると本当に体力仕事で、先生が練られている土の固さだと力が足りず練られなかったんです。そのときに男の仕事の世界なんだと実感しましたし、喜美子が陶芸家としてやっていこうと決めた勇気、決断力に改めて驚きました。

――吹き替えなしで陶芸シーンをやると聞いたときはどう思いましたか?

度肝を抜かれました。やるんだろうなと思いつつ、何かフォローがあるかもしれないって淡い期待があったんですけど、本当に全部自分たちでやっているんです。ただ、ずっと稽古をしてきたので、視聴者のみなさんに見ていただきたいです。

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