筆者はつねづね「外食エンゲル係数の高さは、貯まらない度に比例する」と実感してきました。なぜなら貯めている人は、圧倒的に“おうちごはん派”だからです。

とはいうものの、貯めている人でも、外食を利用することはもちろんあります。疲れているときや時間のないときに、ムリしておうちごはんにすると、ストレスがたまって逆効果だからです。

その際に、外食先を使い分けるのも節約テクのひとつ。最近では、お弁当やスーパーの総菜などの“中食(なかしょく)”が充実しているので、それを活用するのも手です。同じメニューでも、どこで食べるかで値段が変わってきます。安くておいしい外食(または中食)をセレクトするのが、賢い外食術。

今回は、「かつ丼」を例にして比べてみました。

コンビニ弁当の場合

コンビニ弁当と言えば中食の代表。都心では30メートルも歩けば、3軒は見つけられるほど、コンビニはどこにでもあり、利用するには便利です。そして、お弁当は日替わりで選んでも、全種類を食べきれないほど種類豊富です。

そんなコンビニの大手3社かつ丼弁当を比べました。

ローソン 「とろーりたまごの三元豚厚切りロースカツ」 598円
セブンイレブン 「お肉たっぷり!特製ロースかつ丼」  537円
ファミリーマート 「だし香る!ロースかつ丼」     550円

3社とも500円台。ワンコインでは食べられません。利便性に優れている分、コンビニ商品の値段設定は若干割高。また、弁当以外の品ぞろえも豊富なので、デザート用にアイスやスイーツ、お菓子などをつい買ってしまいそうです。コンビニのかつ丼は、あまり節約向きとは言えないようです。

お弁当屋さんの場合

コンビニほど店舗数が多くはありませんが、「中食」となれば、お弁当専門店のお弁当ははずせません。種類の豊富さはコンビニ弁当に勝るとも劣りませんし、手作り感や出来立て感が際立っています。

人気の3社を比べました。

ほっかほか亭 「得ロースかつ丼」 490円
オリジン弁当 「かつ丼」     490円
ほっともっと 「ロースかつ丼」  490円

3社とも示し合わせたかのように値段は490円。ワンコインでおつりがきます。豚かつの大きさも大きく、価格・味・ボリュームの三拍子がそろって、節約向きの外食(中食)といえます。

コンビニでお弁当のかつ丼を買うよりも、近くにお弁当専門店があったら、そちらの方がお得といえそう。

立ち食いそば店の場合

おそば屋さんでは、なぜかかつ丼が定番メニューになっています。そばつゆベースの味つけは間違いありませんし、揚げ物も慣れたもの。そばだけでは物足りないという人向けに、ミニかつ丼をセットにして提供するお店もあるようです。

大手3社を比べました。

名代 富士そば 「かつ丼」   490円
小諸そば 「ヒレカツ丼」   510円
ゆで太郎 「ジャンボかつ丼」 620円

ゆで太郎の「ジャンボかつ丼」はその名の通り、豚かつが大きいので、その分値段が高くなっています。名代 富士そばと小諸そばは、500円前後とお手頃価格。小諸そば「ヒレカツ丼」はやわらかい肉質のヒレカツが3個乗っていて、名代 富士そば「かつ丼」との値段の差は20円ですが、それ以上のコスパの良さあります。

丼ものチェーン店の場合

丼物チェーン店でかつ丼が定番メニューになっているお店を2つ比べました。

なか卯 「カツ丼」(並) 590円
かつや 「カツ丼」(梅) 529円
    「特カツ丼」   702円

なか卯「カツ丼」(並)は超シンプルで上品な味付け。「かつ丼チェーン店と言えば」の、「かつや」では、「カツ丼」(梅)はリーズナブル価格が推しで、「特カツ丼」は豚かつをとじた卵のほかに温泉卵がトッピングされている豪華版です。

ちなみに「箸で切れるやわらかなかとんかつ。」のフレーズで知られている、豚かつの老舗「まい泉」の「黒豚かつ丼」は1680円。ひと言に「かつ丼」を外食すると言っても、値段はピンキリです。またスーパーの総菜コーナーで売っている豚かつを買って、あとは自宅で手作りするという手もあります。

外食、中食、総菜+手作りを組み合わせることで、同じメニューでもラクして節約できます。値段の違いを知って、ぜひいろいろ工夫してみてください。

村越克子

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。