いよいよ幼児教育・保育の無償化が10月からスタートします。“無償化”という言葉はインパクトがありますが、すべての子どもを対象に、すべての費用が無償になるわけではありません。これまでと何がどう変わるのか、制度の概要をご紹介します。

  • 幼児教育・保育の無償化スタート! 何がどう変わる?(画像はイメージ)

    幼児教育・保育の無償化スタート! 何がどう変わる?(画像はイメージ)

そもそもなぜ幼児教育・保育の無償化が実施されるの?

幼児教育・保育の無償化制度は、「新しい経済政策パッケージ」 (平成29年12月8日閣議決定)、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)のなかにある"人づくり革命"の取り組みの一つです。

消費税率の引き上げによる財源を活用することで、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと、一気に大きく転換することを目指しています。

子育てや教育にお金がかかりすぎることを理由に、望んでいるにも関わらず、子どもを持たない選択をする人たちが増えている現状を踏まえ、幼児教育・保育の無償化で家計の負担を減らすことで、少子高齢化に歯止めをかける狙いがあります。

また、人格形成の基礎を培う大切な時期に、子どもたちに質の高い教育を保障するためともされています。

その一方、「少子高齢化対策として、もっとほかに優先順位が高いものがあるのではないか」といった声や、「幼児教育・保育無償化が質の高い教育に結びつくのか」といった、制度の効果を疑問視する声も聞かれます。

制度の対象になるのは何歳? 対象となる施設・事業に制限はある??

この制度では、基本的には3~5歳児クラスの幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する子どもたちが無償化の対象となります。ただし、住民税非課税世帯であれば、0~2歳児クラスの子どもも無償化の対象となります。

利用している施設・事業によっては制限がある場合もあるので、注意が必要です。

〇幼稚園(※)、保育所、認定こども園の場合

3~5歳児クラスのすべての子どもたちを対象に利用料が無償化されます。

無償化の期間は、通常、満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間ですが、幼稚園の場合は入園できる時期にあわせて満3歳からとなります。

幼稚園、保育所、認定こども園に加え、地域型保育、企業主導型保育事業(標準的な利用料)も同様に無償化の対象となります。

0歳から2歳児クラスの子どもについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無償化されます。

さらに、現行制度に引き続き、保育所等を利用する最年長の子どもを第一子とカウントして、0歳から2歳までの第二子は半額、第三子以降は無償となります(年収360万円未満相当世帯については、第一子の年齢は問いません)。

※子ども・子育て支援新制度へ未移行の幼稚園(私学助成幼稚園)については、無償となるのは月額2.57万円までとなります。

〇幼稚園・認定こども園(1号)の預かり保育の場合

お住まいの市区町村から「保育の必要性の認定」を受けている場合、無償化の対象となります。

園の利用に加え、利用日数に応じて、最大月額1.13万円までの範囲で預かり保育の利用料が無償化されます。

〇認可外保育施設等の場合

お住まいの市区町村から「保育の必要性の認定」を受けている場合、無償化の対象となります。

3歳から5歳までの子どもたちは月額3.7万円まで、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもたちは月額4.2万円までの利用料が無償化されます。

認可外保育施設に加え、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業も対象となります。また、無償化の対象となる認可外保育施設は、国が定める基準を満たすことが必要ですが、基準を満たしていない場合でも無償化の対象とする5年間の猶予期間があります。

〇就学前の障害児の発達支援の場合

3歳から5歳までの利用料が無償化されます。

実際に払うお金はどう変わる?

無償化といえども、実際に支払うお金がゼロになるわけではありません。

これまで保護者が直接施設に支払っていたお金(通園送迎費、食材料費、行事費など)については、基本的には今後も保護者負担となります。

保育園等に通っている場合、子どもの副食費はこれまで保育料に含まれていました。今後は、主食費と同様、施設に直接支払うことになります。国が示す副食費の目安額は4,500円なので、無償化=支払うお金がゼロだと思っていると驚くことになるかもしれません。

ただし、食材料費のうち、副食費については認定こども園、認可保育所、幼稚園に通う、年収360万円未満相当世帯もしくは全世帯の第三子以降は免除されます。

また、無償化となる費用の受け取り方は、施設によって異なります。

〇幼稚園(子ども・子育て支援制度対象)、保育所、認定こども園、就学前の障害児の発達支援

市区町村から施設に直接利用料が支払われるため、利用料を支払う必要がなくなります。

〇その他の施設

利用されている施設によって異なりますので、お住まいの市区町村にご確認ください。

制度を利用するにはどんな手続きが必要?

利用している施設・設備によって、必要な手続きも変わります。

〇幼稚園(子ども・子育て支援制度対象)、保育所、認定こども園

新たな手続きは必要ありません。

〇幼稚園(子ども・子育て支援制度未移行)

無償化のための申請が必要です。基本的には通園している幼稚園から配布され、幼稚園を経由して市区町村に申請します。

〇幼稚園・認定こども園(1号)の預かり保育

「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。基本的には通園している幼稚園から配布され、幼稚園を経由して市区町村に申請します。

〇認可外保育施設等

「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。申請書類は、直接、市区町村に申請することになります。

〇就学前の障害児の発達支援

新たな手続きは必要ありません。

子どもの年齢や利用している施設・事業によって、対象となるかどうかや手続きも異なるので、複雑に感じるかもしれません。

幼児教育・保育の無償化特設ページも公開されており、実際にどんな支援が受けられるのかのシミュレーションもできるようになっています。ぜひ活用してみてくださいね。

長谷部敦子

ラーゴムデザイン代表、ファイナンシャルプランナー、マスターライフオーガナイザー、メンタルオーガナイザー
父親の看取り介護、自身の結婚を通して、「心」と「お金」の整え方を知ることの必要性を感じ、学びを深める。2012年・2014年の出産を経て、2015年に「しなやかな生き方をデザインする」をコンセプトに起業。家計・起業・扶養などに関わるお金の悩みや、働きたい女性のメンタルについての相談・講師業を中心に活動。働く母の目線で、日々のくらしを快適にする仕組みづくりについての執筆も行っている。「生き方デザイン」