=特撮テレビドラマ『仮面ライダービルド』のスピンオフ作品であるVシネクスト『ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス』(監督:中澤祥次郎)の完成披露上映会が20日、東京・新宿バルト9にて実施され、主演の仮面ライダーグリス/猿渡一海役・武田航平をはじめとする主要キャストと中澤監督が舞台挨拶を行った。
『ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス』は、2018年8月に幕を閉じた特撮テレビドラマ『仮面ライダービルド』のスピンオフ作品。地球外生命体エボルトの陰謀により命を失った多くの人々を救うため、仮面ライダービルドこと天才物理学者・桐生戦兎(演:犬飼貴丈)は「新世界」を創り出すことに成功するが、そこで旧世界の記憶を持ち続けている者は戦兎、そして仮面ライダークローズ/万丈龍我(演:赤楚衛二)だけとなっていた。2019年4月に東映ビデオからBlu-ray&DVDが発売されたVシネクスト『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』(監督:山口恭平)では万丈龍我を主役に置き、平和になったと思われた新世界に未知の脅威が襲いかかり、ふたたび仮面ライダーたちが過酷な戦いに挑むもようが描かれた。このとき、旧世界で"人体実験"を受けた者だけが過去の記憶を甦らせる現象が起き、仮面ライダーローグ/氷室幻徳(演:水上剣星)や仮面ライダーグリス/猿渡一海(演:武田航平)たちも旧世界の記憶を取り戻した。
本作『仮面ライダーグリス』はこのような舞台設定の中、一海、そして彼を「カシラ」と呼んで慕う「三羽ガラス」こと赤羽(演:栄信)、青羽(演:芹澤興人)、黄羽(演:吉村卓也)がメインで活躍する作品となった。もちろん、一海の憧れのアイドル「みーたん」こと石動美空(演:高田夏帆)も本作のヒロインとして物語に深く関わっている。
マッドサイエンティスト・浦賀啓示(演:趙民和)が変身する最強の敵「メタルビルド」がグリス/一海の前に立ちはだかるほか、一海と三羽ガラスの"絆"の力が強く作用したと思しき仮面ライダーグリスの最強フォーム「グリスパーフェクトキングダム」が登場するなどの話題性も豊富にあり、全編に笑いと興奮と感動をもたらすエキサイティングな作品が出来上がっている。
上映終了後の舞台挨拶では、中澤祥次郎監督と共に、ひさびさに再結集を果たした『ビルド』の主要キャストが登壇。今回の主役・武田航平を盛り上げるべく、軽快なトークを繰り広げた。
劇場に集まったファンからの熱い拍手と声援を浴びながらステージに立った武田は「平成仮面ライダーの申し子、武田航平です! よろしく!」と、自身の強い"仮面ライダー愛"をうかがわせる"仮面ライダーの申し子"というキャッチフレーズを発しながら挨拶。主演作品が作られたことについては「まさか自分が仮面ライダーの主役をやらせていただけるとは……。そもそも僕が『ビルド』に参加したときは、主演の(犬飼)貴丈をかついで頑張ろう!と思っていたので、まさかこういう場所(主演作)に立てるとは思いもしませんでした」と、主演作品の完成に率直な喜びを示した。
高田は、ネットアイドル・みーたんの決めゼリフ「みんなのアイドル、みーたんだよ!」をひさびさに言いながら、客席からの「おかえり!」という声に満面の笑顔で応えた。本作は『ドルオタ、推しと付き合うってよ』と題された短編作品が同時上映されるスタイルだが、この短編の主役はもちろん、一海と美空である。武田とのデートシーンを演じた高田は「プライベートでも"告白"をしたことがなかったので、すごく恥ずかしかった。"初めての告白"だったんですよ」と武田にはにかんだ笑顔を向けると、武田から「ありがとございまっす! 高田夏帆の"初めて"いただきました!」と喜びのコメントが飛んだ。その"告白"シーンはカメラを見すえた「一海の主観映像」として撮影されたが、カメラの後ろにはしっかり武田が居てくれたという。この場面について高田は「武田さんはずっとニヤニヤ、ニヤニヤしていて(笑)、それが私にとって"幸せ"でした」と語り、武田のナイスパートナーぶりを称えた。「付き合ってよ」という美空のセリフについては「最初はツンツンした感じで、突き放したようにしゃべっていましたが、男性陣のリクエストがあって、あのような可愛い感じになりました」と、中澤監督や男性キャスト陣からの要望によって可愛い感じの告白シーンが生まれたことを明かした。
旧世界の「北都」で一海と共に農業に従事していた"三羽ガラス"の1人・赤羽を演じた栄信は「これが最後の、カシラの祭りだーーっ!!」と、カシラこと一海の名セリフを引用しながら豪快にポーズを決めてみせた。
三羽ガラスの1人・ヒゲがトレードマークの赤羽を演じた芹澤は「芹澤です! がんばれーっ! がんばれっ!」と、特殊なテンションで気合いを入れながら挨拶した。
三羽ガラスの1人で、いつも陽気さを忘れない黄羽を演じた吉村は「北都のアイドル、黄羽たんだよ!!」と高田の決めゼリフをもじってにこやかに挨拶し、客席を沸かせた。
一海と三羽ガラスの撮影で、特に印象に残ったことは?という篠宮の問いについて吉村は「撮影の最終日に、4人で"温泉"に入ったこと。あれは辛かった!」と、最終日の三浦半島ロケでの苦労をしみじみ語った。芹澤は「天然温泉という設定で俺たち入っていましたが、あれって冷たい"海水"だったんです」と、意外なロケ現場の事実を明かした。続けて吉村は「しかも、その日は記録的な寒波が到来していて、そんな日に監督は俺らを温泉という名のただの"潮だまり"に肩まで漬からせて、ケタケタ笑っている。まさに"悪魔"でしたね!」と、中澤監督の優しい笑顔の中に潜んでいる"画作りに対する厳しい姿勢"に恐れおののく姿を見せた。武田は「撮影が終わったあと、近くの温泉(本物)に入れてもらったんですけど、ぜんぜんあったかくならなかったもんな」と、極寒の潮だまりに肩まで入っていたことが影響して、体が芯まで温まらなかったことを辛そうにふりかえった。
仮面ライダーマッドローグ/内海成彰は、前回の『クローズ』では旧世界の記憶を取り戻すことなく「難波機械製作所」なる会社で新製品の製造・開発にいそしんでいたが、今回ようやく記憶が戻り、マッドローグへ変身することができるという。人体実験を受けていなかった内海がどのようにして旧世界の記憶を取り戻すのかは、本作を観てのお楽しみとしてほしい。内海を演じる越智は「今までは杖をへし折ったり、造ったりしていたので、今回もそういう感じになるのかな、と思っていたら……幻徳さんや紗羽さんと絡んだ面白いシーンを演じることができてよかった」と、生真面目な内海のキャラクターを活かしたコミカルシーンでの活躍を、強くアピールした。
仮面ライダーローグ/氷室幻徳役の水上は「犬飼です。よろしくお願いします」と、桐生戦兎役の犬飼貴丈の名を騙りつつ挨拶して笑いを取り、MCのオジンオズボーン篠宮暁から「エボルトに顔を変えられたんですか?」と、『ビルド』劇中設定を巧みに活かしての絶妙な合いの手を入れられた。幻徳といえば一海からつけられたニックネームのとおり「ヒゲ」がトレードマークだが、本作ではヒゲをきれいに落とした幻徳が活躍している。この理由を聞かれた水上は「プロデューサーから連絡をもらったのが撮影に入る2日前で、すでにヒゲを剃っていたのでどうすることもできなかった」と、撮影スケジュールが原因だったことを説明。すかさず武田が「剣星さんが大森プロデューサーと"ヒゲがないんですけど"と、現状をLINEのテレビ電話でやりとりしていたのが面白かった」と、ヒゲのない幻徳を受け入れるかどうかの検討が行なわれていたことを明らかにしていた。
仮面ライダークローズ/万丈龍我を演じた赤楚衛二は「今朝もジムに行ってきました。筋肉バカの赤楚です(笑)」と、劇中の万丈と同様に自身も肉体を鍛えていることをアピールしながら挨拶。自身が主役を務めた『仮面ライダークローズ』に続いての出演となる本作では「やっぱり航平さんがアタマだと、現場の空気が面白いというか、ワイワイにぎやかだったな、という印象でした」と、『クローズ』と今回の『グリス』とのムードの違いについて語った。現場では「ずっとモニターを観ながら『航平さんあのカット、カッコいい!』みたいに、お互いを褒め合っていました(笑)」と、武田や他のキャストの演技についての感想を言い合ったり、中澤監督の映像美を称えたりしていたことを明かすと、中澤監督から「ありがと!」と感謝のコメントが飛び出した。
テレビシリーズでグリス/一海と三羽ガラスの登場回(第17、18話)を手がけた後、本作でひさびさに『ビルド』キャストと再会した中澤監督は「あれから一視聴者として『ビルド』を観ていたので、まさか自分が『グリス』をやることになるとは、とビックリしました。久しぶりにみんなと会ったとき、チームワークの強さを含めて"いいなあ"と思いました。すばらしいメンバーに恵まれた作品なんだなということを噛みしめながら撮っていました」と感想を語り、さらには「あまりにも撮影が楽しすぎて、"このまま終わりたくないなあ"と思った。こんな気持ちは初めて。できるならばグリスの"続編"を作りたい」と、本作の撮影が中澤監督にとって、非常に楽しかったことをうかがわせた。これを受けて武田が「脚本の武藤(将吾)さんが、『ローグVSマッドローグ』をやりたいって言ってましたよ!」と、さらなる『ビルド』ワールドの広がりを煽ってみせると、水上から「俺、断るわ、それ!」と苦笑まじりの"主演辞退宣言"が飛び出した。
トーク開始直後、武田はMC篠宮の服装を見て「なんですかその格好!? さっきまで黒Tシャツだったのに」と鋭く指摘し、本番間際に「一海をイメージした上着」を身に着けてステージへ出たという篠宮をあわてさせた。
Vシネクスト『グリス』が製作されたきっかけには、「グリス主役のエピソードを!」という武田の熱い要望があったという。これについて武田は「栄信と2人で酒を飲んでいて、こういうストーリーでやりたい! という思いを大森(敬仁プロデューサー)に伝えた」と裏話を明かしつつ「作品を作ってくれたスタッフ、そしてキャスト、さらには、『グリス』を作ってほしいとリクエストをしてくださったファンの方々、みんなの力によってできた作品だと感じています」と、作品に携わったすべての人々と、何より『グリス』を楽しみにしているファンの力があってこそ形になったものだと力説した。
すでに予告編でも確認できるが、本作には『ビルド』テレビシリーズ終盤で一海が"最期"を覚悟して変身を行った「グリスブリザード」も登場する。篠宮からグリスブリザード2度目の変身の感想を聞かれた武田は「最初は力が入りまして、力強く"変身!"と言ったら、監督から『うーん、一海ちょっとそれ、やめようか』と言われ(笑)、やや落ち着いたテイストになりましたが、気持ちをしっかり込めて変身しました」と、グリスブリザードにはやはり特別な思いがあることを打ち明けた。
「これが最後の"祭り"だ!」という名セリフを、テレビシリーズだけでなく本作でも使ったことについては「僕は"最後最後サギ"と呼んでいます(笑)」とジョークを発した後「いつも"これで最後"と言っていますが、今後どうなるかわかりませんからね! この映画、こんど上海で上映されますし」と衝撃的な海外進出の展望まで明かし「中国で仮面ライダーが作られたらいいかな」と、『グリス』が評判を取ることによって、武田の「仮面ライダー」活動もさらなる発展が見られるかもしれない、と期待をあおった。
『グリス』はどんな作品か?という質問に対して中澤監督は「いつもの『仮面ライダー』のテレビシリーズからは少し"大人"な方向へ、意識的にシフトしています。そして航平さんがカッコいいので、カッコよく撮ろうと心がけました」と、演出の狙いを語った。武田はまた「今回は、キャストそれぞれのお芝居のテンションを、よりナチュラルっぽくシリアスな感じにしています」と語ると、栄信がこれを受けて「三羽ガラスがベッドの上で寝ながらカシラのことを案じるシーンとかね」と、シリアスなシーンの実例を出した。しかし武田が「あそこで栄信、ふざけていたじゃないか。足をはみだしていて」と、長身の栄信だけベッドのサイズが合わないまま撮影していたことをイタズラっぽく指摘すると、栄信は「監督から"もう(足を)出したまま行こう"と言われました(笑)。しまいには"足首から先だけで芝居してくれ"とも言われた。難しいなと思いながら……」と、中澤監督からの無茶な要求があったことを打ち明けて、客席を笑わせた。
マスコミ向けのフォトセッションでは、武田と高田が手で「ハート」マークを作るポーズが観客にウケまくり、他のキャストもノリノリでハートマークを作って、にこやかな笑顔を決めてみせた。
最後にマイクを手にした武田は「今回の『仮面ライダーグリス』は、自分たちが"やりたい"と言い続け、さらに応援してくださるみなさんのお力添えがあって完成した映画です。僕たちは東映のスタッフさんたちに常々"あれをやりたい""これをやりたい"と夢を伝えていますが、その夢がひとつずつ叶っていっております。ここで、ひとつお伝えしたいことがあります。今年の初め、僕と栄信と芹澤さんで児童養護施設を訪問させていただいて、そこで "仮面ライダーが好き"だという子どもたちにたくさん出会いました。なかなか外に出る機会がないその子たちにぜひ『グリス』を観てもらいたい、という僕たちの思いを汲んでもらって、次の上映のときに子どもたちをご招待できることになりました。これが実現したのも、やはり『グリス』を作るために動いてくださった東映のスタッフさんや、情報を発信してくださる各媒体のみなさん、そして映画を観てくださるお客様のおかげだと心から思っています。"終着点"はまだまだ先でございますが、こういう作品をどんどん作り、『仮面ライダー』がずっとずっと続いていき、世界に羽ばたくようになっていろんな人の"思い"がつながっていくことができればいいなと思っています。本当にみなさまのおかげです! ありがとうございました!!」と、自分と仲間たちで育もうとしている"大きな夢"の第一歩が形になったことを明らかとし、さらなる夢をつかみ取ろうと意欲を燃やしつつ、集まったファンに今一度感謝の意を伝えた。
Vシネクスト『ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス』は2019年9月6日より期間限定上映が始まる。また11月27日には東映ビデオよりBlu-ray&DVDがリリースされる。
(C)2019 石森プロ・ADK・バンダイ・東映ビデオ・東映
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