国土交通省は鉄道分野の生産性向上に貢献する新規技術開発の課題公募を開始した。採用された課題には、そのテーマによって初年度5,000万円または1億円を国が技術開発費として補助するという。

  • 国土交通省が「地方鉄道向けの無線等を活用した運転保安システムの開発」「軌間の異なる在来線間での軌間可変技術の開発」をテーマに新規技術開発の課題公募を開始(写真は九州新幹線などを走行したフリーゲージトレイン試験車両)

人口減少と鉄道施設の経年劣化が進む中、国内の鉄道会社は鉄道運営や施設の維持管理の効率化・省力化を推進し、同時に利用者の利便性の向上にも取り組む必要に迫られている。今回の公募はこうした課題の解決につながる新技術の開発を国が後押しするねらいがある。実施にあたり、「地方鉄道向けの無線等を活用した運転保安システムの開発」と「軌間の異なる在来線間での軌間可変技術の開発」のテーマを設定した。

無線などによる列車の運転保安システムは、地上設備の削減が可能となり維持管理の効率化・省力化につながるため、首都圏などで導入が始まっているが、経営の厳しい鉄道事業者には導入が難しい面もある。そこで既存の技術を活用しつつ、鉄道会社の状況に応じた運転保安システムと標準的な仕様に関する技術開発課題を募集する。

一方、軌間可変技術の開発は、2本のレールの幅(軌間)の違いなどにより、現状では直通運転できない路線において、大規模な工事を行わずに直通運転を可能にするために設定されたテーマとなる。どちらも技術開発期間は原則5年以内とし、「運転保安システムの開発」には初年度最大1億円、「軌間可変技術の開発」には初年度最大5,000万円を技術開発費として補助する。提案要領と提案様式は国土交通省ウェブサイトからダウンロードでき、公募期間は8月13日までとされている。