知り合いから、「アイデアはトイレで思いついた」「風呂に入ってたら、企画案が頭に浮かんだ」と聞いたことがあります。実は脳を「ぼんやり」させるとアイデアが生まれるって、知っていますか?
「情報を収集したり、作業に集中している時から離れ、カフェでぼんやりしたり、ぶらぶら歩いていると、情報が脳内でつながり、新しいアイデアが生まれます」と、『「ぼんやり」が脳を整理する』(大和書房)著者の菅原洋平さんは言います。
2つの企画提出を控えた私は「ぼんやり脳」を実現するため、菅原さんにお勧めされた方法を「星野リゾート BEB5 軽井沢」(以下、BEB)で試してきました。
どうやれば、アイデアが生まれるの?
菅原さんによると「情報を収集したり、作業に集中しているときに働く『実行系ネットワーク』と、脳内に取り込まれた情報をつないだりする『デフォルトモードネットワーク』の2つの働きを経て、新しいアイデアが生まれる」とのこと。
仕事モードの「実行系ネットワーク」が脳内で起動している時は、なかなかアイデアがひらめかず、「デフォルトモードネットワーク」になったときに、さまざまな情報を脳内で結びつける。
つまり仕事から離れて、いろんな場所でぼんやりしてみることが重要なようです!
90分単位で脳を活性化させる
まず部屋にこもって広めのソファベットや階段でアイデア出し。90分経ったら、たとえ仕事が乗ってきても、手を止めて、ぼんやりするのが脳を活性化するようです。1つ目の企画を考えているところで時間となり、ぼんやりしに行くことに。
カフェで遠い目をしてぼんやりと
パブリックスペース「TAMARIBA」には、カフェや中庭、ラウンジなどいろんな空間があり、飽きることなく、ゆったりとした時間を過ごすことができました。なんとなく、大学の学食のような雰囲気。
菅原さんより「ぼんやり脳には騒がしいカフェで、1分間どこにも焦点を合わせずにただぼんやりするのがポイントです」と言われてるので、ひたすらぼーっと時間を過ごします。
おいしいコース料理を、よくかんで味わう
「『ぼんやり』する時間を取りすぎると、集中できずにぐるぐる悩み続けてしまうので、タイミングよく切り替えましょう」というアドバイスから、先ほどの企画づくりに専念。企画の骨子ができたところで90分が経ち、夕食の時間に。
BEBのある軽井沢星野エリア内には、「ハルニレテラス」というレストランやカフェが集まる場所があり、今回は、その一角にあるベーカリー&レストラン「沢村」でコース料理を頂きます。
食事時も、ぼんやり脳をつくるためのポイントがあります。それは、少しずつ量を、よく噛んで食べること。それによって、セロトニンという分泌物が脳に増えて、気持ちが落ち着き、デフォルトモードネットワークと同じ状態を生み出すようです。
いつもせわしなく生きている私は、食事を終えるのに10分もかかりません。それゆえ、一品一品料理をよくかんで、味わう(しかもコース料理)のは、とても贅沢な時間になりました。
せっかくの機会を楽しむために、ビールも注文! 仕事のために「仕事を忘れる」のは幸せなことですね。
夜は頑張って企画出し
BEBに戻った後は、仕事を再開。普段なら夜になって脳も疲れてくる頃ですが、ずっとぼーっとするとしていたので、100%に近い状態で仕事に集中でき、企画を1本作ることができましたよ。
最初は半信半疑でしたが、確かに普段より「ひらめく」感覚を持つことができました。これは明日も期待できそう。後編に続きます。
取材協力:菅原洋平(すがわら・ようへい)
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で外来を担当する傍ら、企業研修を全国で行う。