今年4月に「働き方改革関連法」が施行された。有給が消化できない、残業があって帰れない、子育てとの両立が大変……など、仕事に対する不満は老若男女さまざまであり、そんな不満を解消しようという法案である。

同法の施行に伴い、各企業でさまざまな「改革」が行われているだろうが、職場では具体的にどのような変化がみられたのだろうか。そこで今回、マイナビニュース会員316名に「あなたの職場の『働き方改革』」をテーマにアンケート調査を実施。本稿では改革によるメリットにまつわるエピソードを紹介する。

  • 働き方改革のメリットとは?

    働き方改革のメリットとは?

Q1.あなたの職場で実践されている「働き方改革」を教えてください

1位: 有給休暇取得の促進(71.2%)

2位: 時間外労働(残業)の上限規制(45.3%)

3位: 「ノー残業デー」の制定(41.1%)

4位: 時短勤務などのフレックス勤務制導入(25.9%)

5位: 定年の延長(23.1%)

Q2.実施している働き方改革にメリットは感じていますか

1位: はい(75.3%)

2位: いいえ(24.7%)

■有給休暇取得の促進

・「有給休暇をきちんと取れるようになると、普段は行けない役所や銀行窓口に行けるので」(37歳女性/医療・福祉・介護サービス/事務・企画・経営関連)
・「以前は有給休暇を取りにくい雰囲気が職場全体にあって、有給休暇を取らない人が評価されていました。特にシフト勤務ですと、まとめての休暇がなかなか取れませんので、年1回でも長期休暇が取れるのは、とてもいいことだと思います」 (39歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「有給休暇が取れるようになり、家族と一緒にいられる時間が増えて、仕事にもさらに前向きになることができました」(42歳男性/専門店/営業関連)
・「皆が仕事の幅を広げて、フォローしながら仕事ができるようになった」(41歳男性/住宅・建材・エクステリア/技能工・運輸・設備関連)
・「支給される有給休暇の50%を計画的に取得するよう義務付けられた。有給休暇の取得に抵抗感がなくなった」(40歳男性/コンピューター機器/メカトロ関連技術職)

■時間外労働(残業)の上限規制

・「残業の上限規制があることで、過重労働にならない」(46歳男性/フードビジネス/事務・企画・経営関連)
・「上司や同僚に気兼ねなく定時退社して、私生活の充実が図れた」(58歳男性/その他金融/営業関連)
・「残業を減らすよう会社全体で退勤時刻の管理。自分の時間や家族との時間を増やすことができた」(29歳男性/サービス/営業関連)
・「無駄なサービス残業が減って帰宅時間が早くなりました」(41歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)

■「ノー残業デー」の制定

・「趣味に充てる時間ができた」(38歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「平日に遊べる」(41歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「定まった勤務時間内の業務密度が濃くなり、比較的意味のない残業がほとんどなくなった。定時退社することへの理解も深まった」(50歳男性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「子どもがいるので助かる」(28歳女性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)

■時短勤務などのフレックス勤務制導入

・「時間短縮によって行動にゆとりができた」(35歳男性/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
・「在宅勤務やフレックス制の導入により、働きやすくなり、仕事のメリハリがつきやすくなった」(60歳男性/サービス/専門職関連)
・「フレックス制度で時差出勤して通勤が楽になる」(57歳男性/ガラス・化学・石油/その他技術職)

■定年の延長

・「年金が60歳からもらえないため、60歳定年だと生活できない」(66歳男性/信用組合・信用金庫・労働金庫/事務・企画・経営関連)

■総評

調査の結果、実施されている働き方改革に対して、約4人に3人(75.3%)と多くの人がメリットを感じていることがわかった。「働き方改革関連法」により実際に行われている改革の1位は「有給休暇取得の促進」で、実に7割以上の人が挙げており、唯一半数を超えた改革でもあった。メリットを感じる理由としては、「普段は行けない役所や銀行窓口に行ける」という声のほか、「家族と一緒にいられる時間が増えて、仕事にもさらに前向きになることができました」など、仕事のモチーベーションが上がるという声も聞かれた。

2位と3位には、「時間外労働(残業)の上限規制」(45.3%)、「『ノー残業デー』の制定」(41.1%)と、残業に関することが続けてランクイン。「子どもがいるので助かる」と子育てに対するメリットを挙げる人や、「業務密度が濃くなり、比較的意味のない残業がほとんどなくなった」と、より効率化が図られた効果を指摘する人もいた。

働き方改革にメリットを感じている人が7割以上にのぼるというのは、目を見張るべき数字だろう。私生活が充実することで、仕事自体もうまくいけば、個人にとっても勤め先にとっても、ダブルでメリットがある。今後も細かい意見を拾い上げ、よりよい改革を進めてほしい。

※写真と本文は関係ありません

調査時期: 2019年6月15日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 316名(男性262名 女性54名)
調査方法: インターネットログイン式アンケート