2018年10月、エイベックス・ピクチャーズとSHOWROOMの合同企画として開催された「女性バーチャルタレント限定」オーディション。優勝に輝いたのはSHOWROOM歴わずか1カ月の吉七味。だった。
吉は、水樹奈々らへの楽曲提供で知られるElements Gardenのプロデュースでアーティストデビューを果たし、現在放送中のTVアニメ『賢者の孫』のエンディングテーマを担当している。今回は吉にインタビューを実施。知られざる彼女の"リアル"に迫った。
■第4形態の予定あり
――吉さんは「女性バーチャルタレント限定」オーディションで優勝して、アーティストデビューを果たしました。まず、オーディションを受けたきっかけは?
もともとアニメや歌うことが大好きだったので、参加しました。SHOWROOMを始めたのが9月でオーディションが10月だったので、活動してすぐだったんですよ。
――オーディションはどういった内容でした?
歌唱とセリフ、そして面談ですね。歌唱審査では緊張しすぎて歌詞を飛ばしちゃったんです。歌詞は手に持っていたんですけど、震えちゃって……。面談では、今後どういった方向性で活動していきたいかなどを聞かれました。そこでは「ロックシンガーとして活動していきたいです」と答えたんです。合格はメールでの発表だったんです。SHOWROOMのメール受信箱に「優勝決定」ってメールが届いて。それを見た瞬間に涙があふれて。めちゃくちゃうれしかったです。
――合格してからはどういった活動を?
ボイストレーニングなどはもともと自分で通っていたんですよ。なので、楽曲をいただいて、それをレコーディングまでに自分で歌いこんでいきました。
――それがデビュー曲の「圧倒的 Vivid Days」ですね。
「圧倒的 Vivid Days」は最初から最後までノリノリで格好良い楽曲なんです。後半に差し掛かるにつれて、どんどん盛り上がっていくので、聴いていて飽きない曲です。歌うときはサビが難しかったですね、噛んじゃって。滑舌に気をつけながらリズムに遅れないように歌っていきました。
――初めてのレコーディングはどのくらい。
2時間くらいですね。ずっとハイテンションで歌っていたので楽しかったです。「後半になるにつれて力強さを増していくように」とディレクションを受けました。最初の1フレーズは『賢者の孫』のエンディングで流れるので、後半から歌い方を変えて、自分の魂を入れていきましたぜひフルで聴いていただきたいです。
――MVはいかがでした?
目隠しをされて大きい城に連れていかれて「ここで踊ってみて」と言われたのを覚えています。とても広いお城みたいな場所でしたね。ただ、私はバーチャルなので、動きに制限があるんです。ちょっと気を抜くと腕が服に貫通してしまうので、そのあたりは何回か撮り直したりしました。
――そんな「圧倒的 Vivid Days」を初めて披露したのは「AnimeJapan 2019」の『賢者の孫』ステージでしたね。
緊張しました。でも、「やっと届けられた」という想いが強くて、お披露目できたのが嬉しかったです。あと、もっと自分の歌唱力を上げていきたいと思いました。
――『賢者の孫』ではエンディングテーマだけではなく、ミランダ=ウォーレス役も担当されていますね。
初めてのアフレコなので、マイクの入り方やメモのとり方もわからなかったんですけど、現場ではほかの声優さんたちが優しく教えてくださいました。演技指導もしていただいて、本当に感謝しています。
――オーディション時のコメントで、「『賢者の孫』に出演したら、お父さんとお母さんが戻ってきてくれる」ということを言っていて……。
ずっと行方不明なんですよ。まだ帰ってこないんです。私は捨てられたんです。
――ご両親を見つけたいんですか?
もういいかなあと。SHOWROOMの人たちもいるので、寂しくはないんです。ひとりで強く生きていけたらな、と。そういった想いをロックに込めています。
――魔法使いになりたい、というお話もお伺いしたのですが。
ゆくゆくは魔王になりたいんですよ。ロックシンガーは過程です。支配したいんです。
――世界をですか?
はい。MVの背景みたいなところに住みたいんですよ。
――たしかに魔王は一軒家とかアパートとかには住まないかも。
畳の部屋には住まないですよね。
――そもそも吉さんがSHOWROOMを始めたきっかけは?
私は引きこもりで人が嫌いで根暗だったんですけど、SHOWROOMの配信を通して色んな人とのコミュニケーションを重ねて、性格が変わっていきました。そこから、私の大好きな歌をいろんな人に届けていきたいと思うようになりました。
――吉さんの現在の姿は第3形態ですが、これはSHOWROOMでコミュニケーションを取ることで変わっていったんですよね。
はい。SHOWROOMにはルームレベルというものがあるんですけど、これが上がることでどんどん形態が進化していったんです。みなさんの応援のおかげですね。
――今後も進化はしていく?
いつになるかはわからないのですが、第4形態も目指したいですね。ファンの方からは「制服が良い」という声もいただいているんですけど、今度はアーティストっぽい衣装を着てみたいですね。
――ライブなどもありますしね。形態ごとにいろんな反響があったと思います。
第1形態は「どうした?」という声が多かったですね。第2形態は「制服着崩しすぎでしょ」とか。第3形態でさらに「制服どうした」と言われるようになりました。一番突っ込まれるのは頭のくせ毛ですね。どんどんハネていくんです。